2008年12月27日土曜日

ピアノ

POD CASTで聴くワールドニュース第29回。 

年の瀬ということもあり、 
英米加のPodCastのニュースも、 
日本と同様、 
「2008年を振り返る」や「トップニュースベスト10」といった、 
総まとめシリーズばかりとなっています。 

今回のネタもそんな総まとめから。 
中国でのピアノに関するお話。 

英BBC From Our Own Correspondent から。 


'Piano Rehabilitation' 


かつて中国では憎悪の対象のような存在であったピアノ。 
しかし、今はこのように思う人はもちろんおらず、 
国中で多くの子供がピアノを普通に習っている。 

数十年前の、いわゆる「文化大革命」のとき、 
中国では、西洋音楽の楽器の中でも、 
ピアノが特に「危険」な楽器とされていた。 
「黒い棺」と例えられたり、 
西洋拝金主義者・大金持ち達の骨でできているとか 
言われたりしていた・・・ 

BBCの記者が中国でピアノについて取材をした。 

記者は、あるホテルで、ルー・シュクンさんと出会った。 
背が高く、上品な感じの男性である。 
1948年、まだ19歳の時、 
彼はモスクワで開催された、 
チャイコフスキー音楽コンクールで準優勝した。 
プロのピアノ演奏家への登竜門とされているコンクールである。 
当時、中国の音楽家が世界的な賞をもらうということは非常に珍しく、 
故郷の中国へ凱旋すると、国民から英雄のような待遇を受けた。 
当時の最高権力者、毛沢東の前でもピアノの演奏をする機会を与えられた。 

しかし、それから20年もしないうちに、状況は一変する。 
時代は「文化大革命」のさなか。 
西洋の文化が中国を腐敗させるという、 
西洋文化排斥運動が盛んとなっていた。 
多くの西洋の国々へ行ったこと、 
バッハやベートーベンやモーツァルトの音楽をピアノで演奏していたということから、 
ルー・シュンクさんは、国家の敵とみなされるようになっていた。 
「革命に反する修正社会主義者」と言われ、ひどい扱いを受けたのである。 
音楽家としての活動はできなくなり、 
仕事は、トイレ掃除のようなものしかできなくなった。 
さらに、北京のタイチェン刑務所で、毎日腐りかけの食事を与えられながら、 
6年間も拘留された。 

69歳となった今、ルーさんは、かつてのように音楽活動に専念する。 
毛沢東の文化大革命の名の下に人権を無視した扱いを受けたこと、 
そして、他にも様々な圧政を受けた80年代の歴史の記憶を忘れないよう、 
次の世代へ伝える活動をしながら。 
しかし、過去にこだわるばかりではない。 
中国各地で「ピアノ幼稚園」を開き、 
未来の音楽家の養成にも精を出す。 
多くの親が彼のピアノ教室へ子供を通わせる。 
子どもたちはそこで音楽だけでなく、国語や算数、体育の授業も受ける。 

あるピアノ屋さんで、ある工場労働者と出会った。 
彼は、10歳になる自分の娘にピアノを習わせているという。 
ピアノを通して、娘の精神的な成長を期待している。 
彼の奥さんも、ピアノの訓練が娘に高い集中力を持たせると言う。 
ある中国の音楽大学の教授がによると、 
ピアノの演奏には、 
中国の人々が古来から持つ価値観と通じるところがあると話す。 
多くの親が、この言葉を信じ、子供にピアノを習わせる。 
「ピアノを習う子供は、いい大人になる」 

(BBC From Our Own Correspondent December 27 配信分より) 


大学時代のことですが、 
「レッドバイオリン」という映画を見ました。 
この映画の中で、中国の文化大革命時に、 
多くの民衆が「西洋文化が中国を滅ぼす」と、 
自国文化高揚運動をしている場面がありました。 
西洋音楽楽器であるバイオリンも排斥の対象となり、 
ある女性が子供の頃に母からもらった大切なバイオリンをなんとか守ろうと、 
奔走している場面がありました。 
このPODCASTの話を聴いて、 
この映画のことを思い出しました。 

チベット弾圧、四川省での大地震、オリンピック開催など、 
大きな話題に事欠かなかった2008年の中国。 
また、これらの事件やイベントを通じ、 
民主化への道が徐々に開かれた年であったともいわれます。 
しかし、中国の民主化プロセスを一番はっきり表すのは、 
このピアノではないかとこの記事を聴いて思いました。 
ピアノを通じ、中国という一党独裁政権国家が、 
さらに世界へ開かれた国へとなることを願うばかりです。 

ちなみに、「レッドバイオリン」は、好きな映画の一つです。 
まだご覧になったことがない方は、ぜひ見てみてください。 
おもろいです。 

2008年12月23日火曜日

スリランカと星占い

pod castで聴くワールドニュース 第28回。 


今日のBBCのPodCastで、 
トヨタの業績赤字がトップニュースで放送されていました。 
『昨年度は最高益をあげた'Mighty TOYOTA(完全無欠のトヨタ)'が 
戦後初の赤字に陥る。 
急激な円高の影響で、他の輸出に頼る日本企業も危ない。 
日銀が政策金利を0.1パーセントに下げたが、 
効果は限定的だ』 
とキャスターが話していました。 

非正規労働者の解雇や、 
彼らの多くが住んでいた会社の寮を追い出され、 
住む場もない人も出てきているという内容のリポートもありました。 

日本の代表企業であるトヨタの業績悪化が、 
日本経済の後退入りを示しているとの印象を、 
他国にも与えてしまっているようです。 

暗い話から始まりましたが、 
気にせず行きましょう~ 

今回は、スリランカから、占星術の話題です。 


'Horoscope in Sri Lanka' 


天の星によって結婚相手が決まる・・・ 
あなたならこんな制度どう思いますか? 
占星術が強く信じられている国、スリランカ。 
インドの東側にある島国。 
ここでは、「星が決めた結婚」が普通に執り行われる。 
どんな会社に転職するかも、いつ外出すれば安心かということも、 
星占い次第で決めてしまう。 
政治家までが星占いに頼っている。 
いったいどういうことなのか? 

BBCの記者がスリランカで取材した。 

私はある結婚式に招待され、今式場に来ている。 
新郎・新婦が、伝統的な儀式の音楽の演奏の中、 
ヒンドゥー教の神の装飾に彩られた 
ステージのイスに座っている。 
ヒンドゥー教の祈祷師たちが、 
彼らを祝福する儀式を行っている。 

実は彼らはの結婚は、お見合い結婚(arranged marriage)である。 
占星術がこの結婚の決め手となった。 
新郎のジェン・ルービンさんと、新婦のウーマ・ランジェニーさんが 
お互いにふさわしい相手であると、「星」が決めたのである。 

新郎さんにインタビューしてみた。 
記者「星占いによってパートナーが決められたことについてどう思いますか?」 
新郎ジェンさん「今回の結婚は星占いによると 
85パーセントの確率でうまくいくと出た。 
お互いにうれしいし、実際うまくやっていけると思う」 
記者「星占いが当たっていなければ、 
つまり奥さんとうまくやっていけないということになれば、 
どうしますか?」 
新郎ジェンさん「また別の女性を探します(!)」 

私はある占星術師のもとにやってきた。 
彼は伝統的な衣装に身を包み、 
金のネックレスを首にかけ、 
ダイヤのついたイアリングをしている。 

ある家族がこの占星術師のもとを訪れていた。 
息子が結婚を予定しているのだそう。 
占星術師は、この家族の生まれた星の位置を調べた上で、 
息子と嫁候補の女性と、性格や体質、 
気質などが合うかどうか検討し始めた。 

詳しく話を伺った。 
占星術師「80パーセントの確率で、 
お互いに良きパートナーとなれるでしょう」 
記者「星占いで良い結果が出たと言うことですか?」 
占星術師「80パーセントというのは、とても良い結果です」 
記者「息子さん、この結果どう思いますか?」 
結婚予定の息子「うれしい結果です」 

ここに、ある人の占星術の表がある。 
表紙には、ヒンドゥー教の神の絵が描かれており、 
中には、その人の健康状態、生まれた日時などの記録がある。 
このような占星術の表は、 
生まれたときから記録票のようなものとして作られ、 
ずっと持っているのだという。 
そして、星占いをする際に、 
占星術師に見せる「人生の記録の資料」として使うのだという。 

また、結婚以外にも、人々は占星術に頼る。 
新たに仕事を始めようとする人は、 
いつから始めるのが適切か、助言を占星術師に請い、 
それに従う。 

政治家も例外ではない。 
彼らは、選挙をいつにするかということや、 
どのタイミングで家を出れば、 
選挙で良い結果が出るかなどということを 
占星術師に占ってもらうのだという。 

ここで再び冒頭の新郎ジェンさんと新婦ウーマさんの 
結婚式の場面に戻ります。 
彼らは、結婚がうまくいくよう、祈りをささげている最中です。 
彼らは、お互いのことをよく知りません。 
占星術によって知り合っただけの関係だからです。 
しかし、ジェンさんもウーマさんも、 
占星術のおかげで、 
幸せな結婚生活をずっと送れると確信しているのです。

彼らが本当に良き結婚生活を送れるかどうかは、 
まさに「星のみぞ知る」ですが・・・ 


(BBC Global News December 23 配信分より) 


民主国家に住む我々にとって、 
占星術に全てを頼るというのは、 
なかなか考えにくい話ですが。 

ただ、日本にも、いわゆる「占いやさん」は多くありますし、 
それで生計を立てる人がまだたくさんいるということは、 
占いが今の時代でも受け入れられているということなのでしょう。 
やはりある程度宗教的感性、魔術的感性に頼りたいという気持ちが、 
古代・中世・近世に生きた我々の先祖同様、 
現代に住むわたしたちにもにも残っているということなのでしょう。 

かつての中国の皇帝は時に占いによって政治を行っていたといいますし。 

それにしても、上記の新郎さん、ジェンさんは 
「占いが外れたら別の女性を探す」と言ってましたが・・・ 
新婦さんのほうはこの発言を聴いていたのでしょうか? 
スリランカ男性は軽いなーと思ってしまいました。。。 

2008年12月19日金曜日

メキシカン

POD CASTで聴くワールドニュース第27回。 


最近の自動車業界に代表される、減産、減収、人員削減。 
多くの中小企業経営者が年越しできるかどうか気をもんでいる。 
日本の経済状況に危機感を持つのは私だけではないと思います。 

しかし、このような状況にあえぐのは、 
もちろん日本だけではありません。 

今回は、メキシコが受けている金融危機の影響についての 
リポートを見つけたので、 
取り上げさせていただきます。 

メキシコ人の多くは移民として隣国アメリカへ行く。 
このせいで、日本にはない深刻な状況が生まれているようです。 


英BBC News Podから。 


'The Bad Effects on World Migrant Workers' 


アメリカでは、今年、違法侵入者を含め、 
メキシコからの移民が42%も減少した。 

アメリカに住むメキシコ人からの故郷への送金も20%減少した。 

多くのメキシコからの移民がアメリカでの生活に悲観し、 
故郷へと戻ってしまったのだ。 

BBCの記者があるメキシコの小さな村で取材した。 

メキシコ中心部に近いコファディア村。 
つい最近まで、他の多くの村と同様、 
この村でも、働く男の姿はほとんど見られなかった。 
メキシコの村の男性労働者は、 
ほとんどアメリカへ行き、 
仕事にありついていい給料を得るというのが普通だったのだ。 

しかし、今は状況が違っている。 
メキシコの村で、働き盛り世代の男性を見つけるのは、 
難しくない。 
アメリカで職がなくなり、 
故郷の村に戻ってきた男性労働者たちが多くいるのだ。 

アメリカのアラバマで建設会社を営んでいたというある男性。 
アメリカでの経済崩壊や、 
従業員として主に雇っていた移民の相次ぐ帰国で、 
会社が立ち行かなくなり、彼も帰国してきた。 

男性に話を聞いた。 
記者「あなたはアメリカに9年いたのですね。 
メキシコに戻ってきて、今どう感じますか? 
アメリカが恋しいですか?」 
男性「やはりアメリカがいい。 
ビジネスをやるならメキシコよりはアメリカだ」 
記者「村の人は、あなたをどのような目で見ていますか? 
部外者だという目で見られ、疎外感はないですか?」 
男性「そう感じる。村の出身者ではないような扱いを受ける」 

ここ数週間で多くの40以上ものアメリカへ移住していた家族が、 
村へ戻ってきた。 
この男性とその家族もそのうちの一つ。 
地元自治体は、このような「戻ってきた移民」のことで 
頭を悩ませている。 
自治体あるスタッフ「最近本当に多くの移民がアメリカからメキシコに戻ってきた。 
問題は、メキシコにも仕事が豊富でないこと。 
彼らは故郷でも職無しになってしまう」 

職無しだけが問題なのではない。 
アメリカでメキシコ人の移民が減ることは、 
アメリカからのメキシコへの送金が減ることも意味する。 
送金減の影響が特に深刻に表れるのが、 
メキシコに多くある市場(いちば)である。 
果物や野菜などの食物、 
クリスマスの装飾品なども売っているこの市場に、 
多くの人がやってくる。 

市場のあるオレンジ売りの男性は言う。 
「アメリカからの送金が減ったせいで、 
現金を持っている人が少なくなった。 
例年のように商品が売れない」 

メキシコからアメリカへ移住すると言うのは、 
大きな決断。 
しかし、故郷へ戻ってくるのにも、 
困難な生活を覚悟しなければならない。 
メキシコ移民にとって、難しい状況が続いている。 


(BBC News Pod December 19 配信分より) 


アメリカ発の金融危機。 
欧州や日本をはじめ、 
BRICSやVISTAと言われる新興経済国まで 
影響を受けているのは、 
毎日メディアによって伝えられているところ。 

しかし、一番深刻な影響を受けているのは、 
その震源地の真下にあるこのメキシコではないでしょうか。 
夢を持って氏の危険を冒してまでアメリカへ越境したのに、 
不景気で帰らざるを得なくなった。 
さらに、故郷でも部外者のような扱いを受ける。 
このような移民労働者たちは、 
震源地アメリカで金融危機の影響を直接受けた人たち以上の 
困難があるのではないかと感じてしまいます。 

金融危機の収束、世界経済の一刻も早い回復を 
ただひたすた祈るのみです。 

2008年12月15日月曜日

フランス人の労働観

POD CASTで聴くワールドニュース第26回。 


第23回分でデンマークの労働政策に関する話題を 
書かせていただきました。 
で、今回は同じヨーロッパの一国、フランスの労働問題の 
POD CASTを見つけました。 
少し興味深い話題でしたので、 
取り上げさせていただきたいと思います。 


加CBC The World This Weekend より。 


'Keeping A Job or Keeping Days Off ?' 


金融危機のこの時期、多くの国で人々が職にしがみつこうと懸命になっている。 
しかし、フランスでは、多くの労働者は休日を多く保つことに懸命になっている。 
最近、フランスの国会では、 
企業に日曜日の営業を認めるかどうかが議論の的になっている。 
しかし、フランス国会でのこの動きに、 
多くの労働組合や自営業者、 
その他多くの「休日の休息はフランス国民のライフスタイルに欠かせない」 
と信じて疑わない人々が抵抗している。 

CBCの記者のフランスからのリポート。 

私が今いるのは、日曜日のシャンゼリゼ通り。 
多くの観光客や買い物客でにぎわっている。 
しかし、この世界屈指のショッピング通りに並ぶ多くの店は、 
営業していない。閉まっている。 
フランスの法律により、観光スポットにある店や、 
レクレーション施設、文化施設などしか 
日曜日の営業を許されていないのだ。 

2年前、老舗のバッグブランド、ルイ・ヴィトンは 
パリ支店のビルの最上階に美術館を造った。 
理由は、日曜日に営業できるようにするため。 

昨年シラク氏に代わり、フランス大統領に就任した、 
ワーカホリックな新大統領、ニコラ・サルコジ。 
彼は、日曜日に営業できないと言うフランスのこの特異な法律を、 
いつも皮肉っていた。 
サルコジ「シャンゼリゼ通りの一方は、 
観光関連施設があり、 
多くのお店が日曜も営業している。 
しかし、道路を挟んだ反対側の通りは、 
日曜日はほとんどの店が閉まっている。 
滑稽な光景だ。 
観光客も不思議に思うだろう」 

フランス政府は、この現状を変えるために動き出した。 
パリ、リヨン、リール、マルセイユの四大都市に関して、 
全ての店に日曜日の営業許可を与える法律を通そうとしているのだ。 
自営業者や、多くの労働組合は、 
この法律を歓迎していない。 
ある組合のメンバー、シャレーさんはこう話す。 
「全ての店に日曜日の営業許可を与えると言うこの法律には、 
日曜に労働者を雇う金銭的余裕のないちいさな店を潰したいという 
裏の意図が隠されている。 
アメリカのような競争社会にしたいんだ。 
本当にこの法律が通ってしまえば、 
数千人が職を失うだろう」 

この法律に反対の人々は、 
小さな店と雇用を守りたいというだけではない。 
誰もが日曜は休みというこの習慣が好きだと言うのも反対する理由なのだ。 
日曜日は営業許可を与えないと言う100年も前から続くこの制度。 
別に、宗教的理由からこの制度ができたのではない。 
1906年に政教分離政策がとられた際、 
この制度もできた。 
産業革命以来、フランスの労働者は、 
1日12時間労働を、毎日休みもなくこなしていた。 
疲弊しきっていた労働者たちを考慮し、 
日曜は誰もが休みというこの制度ができたのだ。 

この制度のおかげで、 
「ファミリーサンデーランチ」という習慣が広まった。 
日曜は必ず家族みんなで外食に出かけると言う、 
家族団欒の時間である。 

シャンデリゼ通りでタバコをふかしていた60歳のコレットさん。 
彼は、今は時代が変わってしまったと言う。 
コレットさん「『サンデーランチ』をする人は今やいない。 
私はパリの郊外に住んでいるが、 
日曜日は、いつも暇で、一日することがない。 
だから、日曜はパリにやってきて、美術館巡りをする。 
美術館は日曜でも開いているからね。 
美術館巡りついでに、ショッピングでもしたいと思うが、 
お店はほとんど閉まっている」 

政府の商業政策を担当する秘書官、ルーク・シャタルさんはこう語る。 
シャタルさん「この法律は、国民に自由を与えるということなのだ。 
日曜日は誰もが店を開けなければならないと言っているわけではない。 
営業したい人は、やればいいと言うことなのだ」 

再びシャンゼリゼ通り。 
今度は、アパレルショップで働く30歳のケヴィン・ドヴィーさんに 
話を聞いた。 
ドヴィーさん「私には小さい娘がいる。 
日曜日は必ず娘と過ごす。 
このかけがえのない日曜日という休日を、 
働いて過ごすなんて。 
たとえ、給料を多くもらえるとしても日曜日は働きたくない」 

アメリカやイギリスの人々にとっては、 
多く稼ぐために多く働くと言うのが常識だろう。 
しかし、多くのフランスの人々は、 
休日を犠牲にしてまで働くと言うことはおかしいと感じているようだ。 
日曜にすべての店に営業許可を与えると言うこの法律。 
今後の推移を見守っていきたいところである。 


(CBC The World This Weekend December 14 配信分より) 


昨年5月に就任したサルコジ大統領。 
保守主義者、かつ自由主義者とされ、 
さらに親米派の政治家。 
少し前までのアメリカのように、 
規制緩和・自由競争・小さな政府路線をとり、 
フランスの労働者もアメリカの労働者のように、 
仕事に意欲を持たせるようにし、 
競争力のある企業を多く持つ国家にしたいとの意図が見え隠れしています。 

フランス人というのは、「日曜日に働けない」制度がることもあり、 
世界で一番労働時間が短いんだそうです。 
しかし、フランスはG8からロシア、カナダ、イタリアを抜いたG5のメンバーでもあり、 
OECDの加盟国でもあり、 
一流の経済国家です。 
労働時間が短いのになぜこれだけの経済力を保てるのか。 
それは、効率性によるとのことです。 
フランスの労働者は、世界で一番効率のいい働き方をするんだそうです。 
「時間内に仕事を終わらせるにはどうすればよいか」ということを 
常に考え、無駄を省いて省いて仕事に取り組む。 
労働者のこのような姿勢が、短時間労働経済国家につながっているんだそうです。 

一方、ヨーロッパでは「働き蜂」として有名な日本の労働者。 
日本の労働者は、「仕事が多いときは、とりあえず残業して終わらせよう」 
と考える傾向が強いようです。 
仕事量が増える=残業という構造がすぐに思い浮かんでしまうようで、 
なかなか「どうすれば時間内に仕事を終わらせられるか」という 
効率性を考えるところにはいきつかない。 
「一生懸命精を出して働く」のが日本人の美徳の一つであると言うのも 
理由であるかもしれません。 

会社を19年連続の増収増益へ導いたトリンプの社長、吉越浩一郎氏。 
この偉業の秘訣は、「残業ゼロ政策」にあったと言います。 
彼は、「就業時間内の社員の集中力を高めることで 
全社的な仕事の効率が上がり、 
従来以上の価値を生み出す投資になる」 
と「日本の論点」で書いていました。 

長時間労働による自殺者も絶えない日本。 
フランスや吉越さんの考えに基づき、 
働き方を根本的に変えることも考えなければならないと思います。 

ちなみに、約2年前、パリに旅行に行きました。 
確かに日曜は美術館などを除き、 
どこの店もしまっていました。 
確かに不便でしたが、 
「いいなー」と感じてしまいました。 
精神的にゆとりがあると言うか、焦ることのないと言うか、 
そんなライフスタイルを羨ましく思いました… 

2008年12月11日木曜日

こだわりトイレット

POD CASTで聴いたワールドニュース第25回。 


突然ですが、あなたにとってトイレはどんな存在ですか? 
普段何気なく使っているトイレですが、 
海外の目には、 
日本のトイレ、さらに日本国民のトイレに対するこだわりは、 
他に類をみないほどものすごいものであると 
映っているようです。 

イギリスのBBCのPOD CASTのニュースで、 
日本のトイレに関するリポートがありましたので、 
紹介させていただきます。 

海外から日本の文化や考え方がどのように 
見られているかもわかるリポートであると思います。 
少し長いですが・・・ 


英BBC From Our Own Correspondent より 


'A Sophisticated Set Of Luxury Opportunity' 


日本人にとってトイレとは特別な存在。 
彼らにとって、トイレは時に優雅な落ち着きの時間を与えてくれる空間(?!)。 

東京は、世界で最も清潔な都市のひとつ。 
ここではトイレで用をたすということは、 
時に格式高い儀式になる(?!)。 

BBCの記者が東京で取材をした。 

日本人ほど、トイレにこだわり持つ民族はいない。 
温かくなる便座付きのトイレ、ビデつきのトイレ、 
様々なパターンで温水を放出するウォシュレット機能つきのトイレ。 
このような多くのハイテク機能を持ったトイレが 
オフィスビルやデパート、家庭にあるのが当たり前になっている。 

最近、ある多忙なサラリーマンの書いた俳句に似たポエムが多くの人々の心を捕らえた。 
(いわゆる「サラリーマン川柳」のことと思われます) 
'The Only Warm In My Life Is The Toilet Seat' 
(「人生で/温かいのは/便座だけ」といったところでしょうか) 

しかし、日本のトイレは、使用者に「温かい」だけではない。 
驚くようなハイテク機能を備えたトイレがある。 

日本のリーディングカンパニーの一つ、パナソニック。 
BBCの東京支部ビルの近くにある、 
パナソニックの東京ショールームを訪れた。 
航空機のキャビンアテンダントのような衣装に身を包んだ若い女性社員が 
最新機能を持つトイレ製品を案内してくれた。 

人が近づくと、蓋が自動で開く。 
さらに、近付いた人の性別を自動で判断し、 
男性であれば、便座も自動で上がる(!)。 
さらに驚くのは、このトイレに内蔵されているスピーカー。 
便座近くのタッチパネルを操作すると、 
ヒーリング効果のあるようなクラッシック音楽が流れ出す。 
まるで春のうららかな日に小鳥のさえずりを聞きながら、 
トイレで過ごすよう。 

パナソニックのパブリックリレーション部のイシイキョウコさんによると、 
このような多機能のトイレを購入するのは、 
年配の女性が多いという。 
高齢化が進む日本で、 
このような「ハイテク」トイレは、成長の見込める分野であるという。 
イシイさんはさらに、便利さや清潔さを強調することも重要と付け加えた。 
ちなみに、このハイテクトイレは、工事費込みで約30万円。 

日本のトイレに関して、もう一つ驚くことは、 
外国人ではなく、日本人の女性がホテルでトイレの清掃をしていることである。 
先進国では、通常、トイレ掃除のような仕事は、移民が行う。 
しかし、外国人労働者が少ないここ日本。 
移民は全人口のほんの1.5%ほどしかいない。 
ただ、移民が少ないから女性でさえトイレ掃除をせざるを得ないというのは、 
本当の理由ではない。 
日本人にとって、清掃とは、見下されるような、恥ずべき仕事ではない。 
日本では小学生は、放課後に学校内の清掃をし、 
校庭のゴミ拾いをしてから帰宅する。 
タクシードライバーは、勤務後に必ず自分の車を洗ってから帰る。 
レストランでは、食事の前に必ず手を清めるためのお手拭きを出す。 

先日、大阪のある小さな会社を訪ねた。 
社長の杉本氏は、景気後退の波を意識し、 
従業員により一層精を出して働くようせっぱをかけていた。 
社長は営業用に使うプレゼンのスライドを私に見せてくれた。 
その中にあったある1枚の写真が私の心をひきつけた。 
従業員たちが、ひざまづき、便器を清掃している写真である。 
杉本氏は、みんなで清掃するということが、 
従業員の一体感を強めるのに必要だと言う。 

多くの日本人にとって、トイレは、癒しであり、友人であり、 
また、しつけや精神的昇華に必要な存在なのである。 
これだけトイレへのこだわりを持つ民族もなかなか見られないだろう。 


(BBC From Our Own Correspondent November 29 配信分より) 


たしかに、日本のトイレというのは、 
他国のトイレに比べ非常に優れていると思います。 
上記のパナソニック製のトイレは、 
聴いてて正直「本当にこんなトイレあるのか?」 
と思ってしまいました。 
利用者の使いやすさを追求して、とことんこだわる。 
利用者を思いやると言う、日本人の持つ「おもてなし精神」が 
トイレ作りにもあるのでしょう。 
アメリカやイタリアやフランスや中国などに行ったことがありますが、 
トイレといえば、どこも殺風景。 
イタリアでは、公共トイレは有料でしたが、 
日本ほどきれいというわけではありませんでした。 
中国のトイレは…あえて書かないでおきます。 

女性がトイレ掃除をしているのに驚いたと言う箇所は、 
少し意外でした。 
日本では、掃除といえば、躾の面が大きくあると思います。 
自分の部屋や家だけでない、 
みんなが使う公共のスペースをきれにすることの重要さを知ることを通し、 
他人への気遣いや思いやりの持てる人間へ精神的に成長する。 
学校での放課後清掃というのは、このような狙いがあるのではと思います。 
他の国にはないこの掃除-躾の文化。 
大事にしていかなければならないと思います。 

2008年12月7日日曜日

トリュフの問題

Pod Cast聴くワールドニュース第24回。 


以前、トリュフのオークションの話題を書かせていただいたことがありますが、 
今回「トリュフ狩り」を詳しく伝えるリポートを見つけましたので、 
紹介させていただきたいと思います。 


加CBC The World This Weekend より。 


'Diamond Fungus' 


イタリアのタスコニ地方。 
白トリュフのシーズンがやってきた。 
「食の王様」とも言われる白トリュフは、 
地中に育つ「菌類のダイヤモンド」である。 
世界で一番高級な食材の一つ。 
秋から冬にかけてのこの時期、 
世界中から白トリュフを求めて 
このタスコニ地方に「ハンター」が集まる。 
白トリュフを見つけるのは至難の業。 
しかし、年々一層見つけにくくなっているという。 

CBCの記者が取材をした。 

タスコニ地方のある森で 
「トリュフ犬」を連れて白トリュフを探すウルバーノさん。 
68歳の彼は、地元でトリュフハンターのベテランとして知られる。 
トリュフハンター歴48年。 
20歳からやっている。 
ウルバーノさん「祖父が白トリュフのハンターでした。 
父もその影響でハンターとなりました。 
父は私や兄弟にトリュフの話をいつもしていました」 

ウルバーノさんは毎日夜明けの時間から正午まで、 
森に入ってトリュフを探している。 
連れていくトリュフ犬のバッフィーナ君は 
トリュフのにおいをかぎつけるために訓練された犬。 

ウルバーノさん「このトリュフ犬は、 
白トリュフを嗅覚で探し、 
見つけると口にくわえて私の所へ持ってきてくれる。 
一つの白トリュフの大きさはピンポンボールほど。 
とっても優秀なトリュフ犬です」 

ウルバーノさんは、これまで巨大トリュフを見つけた経験がある。 
1984年に700グラムの'monster'トリュフを見つけた。 
その数年後には400グラムの物を発見した。 
ウルバーノさん「巨大白トリュフを見つけた時は、 
神からの贈り物だと感じました。 
それ一つで、一般の労働者の一か月以上の稼ぎになりましたから」 

白トリュフの森から車で少し行ったところにある、 
中世の雰囲気を残す丘の町、サンミニアート。 
ここは、トリュフ市場となっている。 
トリュフ商人のコマ・シャンティさん。 
グラスに入ったトリュフを通行人に売っている。 
小さめのトリュフだと、今年は1kgで約$2,000(約20万円)で 
取引されている。 
発見が難しい大きめのトリュフになると、 
1kg約$3,000。 
これだけの高価な食材。 
いったいどんなお客が買っていくのか。 
トリュフ商人「ほとんどは外国のお客だ。 
中東地域からのお客もいる。 
石油で儲けた『新興成金』のやつらさ」 

しかしそれにしても、 
世界で一番高価なfungus(菌類)であるこの白トリュフの 
魅力は一体何なのか。 
トリュフハンターやその家族で作るある団体のリーダー、 
サルバトーレさんはこう話す。 
「見つけるのが難しいことが何よりの魅力かな。 
特定の場所にしか育たない。 
気候も関係している。 
見つけた時の感激と言ったら、 
言葉では言い表せないさ。 
そういう意味で、トリュフは、美しい女性のようだと言えるかな。 
見たとたんに、恋に落ちる。 
そんな存在さ」 

しかし、そんな白トリュフに、実は大きな問題が訪れようとしている。 
農学者であるグイドさん。 
トリュフの森とその周辺地域の白トリュフの生息状況を 
ここ10年間調べている。 
彼によると、白トリュフの収穫量は 
ここ10年で半分ほどまでに落ちてしまったという。 
土地開発などで、白トリュフの生息できる土地が 
汚染されていることや、 
トリュフハンターの増加等が原因であると彼は推測する。 
農学者グイドさん「10年前、ハンターたちは、 
毎日約500グラムものトリュフを見つけていた。 
しかし、今は、良くて1日50グラム程度、 
ときには全く収穫のない日もある」 

白トリュフには、ある謎がある。 
白トリュフ狩りはここ1世紀ほど行われおり、 
値段も高く人気があるが、 
どういうわけか、シイタケのように培養ができない。 
研究者もこの謎だけは解明できないという。 

トリュフの森が、10年前の状態に戻り、 
再びトリュフにとって生息しやすい環境を取り戻すこと。 
これが白トリュフを見つけ続けられる唯一の道。 
時間と自然の力に頼るしかない。 


(CBC The World This Weekend  December 6 配信分より) 


松茸やトロやカニよりも高価な白トリュフ。 
私は食べたことはありません。 
おいしいんでしょうか。 

環境の変化や乱獲が白トリュフにまで脅威を与えているんですね。 
日本へ入ってくる量も将来的に減ってしまうのでしょうか。 
そういえば、クロマグロも日本人が高く買ってくれるということで 
世界中で乱獲が問題になっており、 
捕獲量が制限され、 
日本への輸入量が減るのではと言われています。 

ミシュラン東京で星の数でパリを上回り、 
名実ともに「食の首都」となった日本。 
しかし、肝心の高級な食材がなければ、 
そんな輝かしい名誉もすぐに消え失せてしまうかもしれない。 
それ以前に、 
日本の食料自給率は40%という危機的な数字がある。 
食糧のほとんどを海外からの輸入に頼っているというのが 
日本の食の現実。 
他国との関係が悪化し、 
食料を売ってくれなくなったら、 
たちまち日本人が餓えてしまいかねない。 

ほんの数十年前までは、 
食料自給率は70%台でした。 
日本の農業を「復活」させ、 
かつてのように国産食材をより気軽に簡単に手に入るようにすること。 
こうして初めて日本が本当の「食の首都」になれるのではないでしょうか。 

2008年12月4日木曜日

デンマークの職業訓練プログラム

POD CASTで聴くワールドニュース第23回。 

この間のGuardian Weekly Pod Castのニュースで、 
日本の出生率低下に関する特集放送がありました。 
「日本の労働者は働きすぎ。 
配偶者を見つける時間もなく、 
見つけても、夫婦で一緒に過ごす時間をほとんど持てない人が多い。 
企業は、残業を減らし、社員が自分の時間をもっと持てるようにすべきだ」 
とあるイギリス人コメンテーターが言っていました。 

しかし、この自分の時間をもっと持てるということが 
現実のものとなるかもしれません。 
最近の、金融危機による、特に自動車業界に多く見られる、 
非正規雇用者リストラの動き。 
正社員にも、残業を減らすよう命じる会社が増えてくるなど、 
正規労働者にもリストラの波が 
押し寄せてくるのではという風潮が見られます。 

今の日本の失業率が4%台。 
この数字が5%や6%台に上る可能性も否めないところだと思います。 

しかし、この世界的金融危機による失業危機の時代にも、 
失業率がわずか1%代を維持している国があります。 
デンマークです。 
ノルウェーやフィンランドなど、北欧の国は福祉の先進国と言われ、 
中でもデンマークは雇用に関して手厚い策を政府がとっています。 

この、EU内でいちばん失業率が低く、 
多くの国がその政策を研究するデンマークでの 
労働福祉政策に関するリポートがありましたので、 
取り上げさせていただきました。 

英BBC News Pod から。 


ちょい長いです。 


'Flex-Security' 


ヨーロッパで失業率の一番低い国デンマーク。 
イギリスをはじめ、多くの国が、この国の雇用政策に注目している。 

BBCの記者が首都コペンハーゲンで取材した。 

デンマークで労働者を解雇するのは、 
他のヨーロッパの国々同様、簡単ではない。 
しかし、実際に職を失ってしまった場合、 
失業保険として、 
毎月£1,600(約22万6千円)もらい続けることができる。 
これは、世界でもトップレベルの金額。 
ただし、もらい続けるには、ある条件がある。 


失業者は、国の職業訓練対策に参加しなければならないのだ。 
しかし、この失業者らが無料で参加できる職業訓練プログラムこそが、 
デンマークの失業率を低く抑える秘訣なのだ。 

職業支援訓練係として働くハンソンさんに話を伺った。 
「失業者が特別なスキルを得るための訓練や、 
ビジネスマンとしてのマナーを学ぶ講座などを担当しています。 
ときには、アルコール中毒者の治療にも参加します。 
訓練施設には、運動場もあり、 
ここでメンタルヘルス対策や、 
体重を減らすためのトレーニングなどもできるのです」 

この施設で、他の業種でもすぐに即戦力として仕事を始められる人材になれるよう、 
綿密にプログラムされた訓練を受けられるのだ。 

ただ、この訓練施設で訓練を終え、 
いざ企業への就職面接の際に現れなかったり、 
1年に2度以上会社を辞めた人は、 
この職業訓練プログラムには参加できなくなる。 

ハンソンさん「訓練を受けたからには、きちんと社会に出て 
働いてもらわなければなりません。 
そうでなければ、当然制裁があります。 
企業はどんどん技術力の高い労働者を求めて来ています。 
我々もその要求にこたえられるよう、 
レベルの高い職業訓練プログラムの提供に努めています」 

イラク出身のアラ・フセインさん。 
デンマーク国籍を取得した、 
資格も持つ技術者である。 
彼も職業訓練プログラムを受けている。 
デンマークの企業風土や労働習慣などに 
すぐに溶け込めるようにするためだ。 
来週から会社勤めとなる予定。 
フセインさん「どのようにデンマークの人々とコミュニケーションをとって 
うまく溶け込んで働けるようになるか、 
新人がどうやって会社の風土に馴染めるようになるか、 
そんなことを教わってきました」 

このような職業訓練プログラムのおかげで、 
デンマークはEUの中で失業率は最も低い。 
1%代である。 
そしてもちろん、 
デンマーク政府はこのプログラムに多大なお金をかけている。 
毎年の歳入のうち4,5%もの額のお金を福祉に費やしている。 
ちなみにイギリスは1%。 
福祉政策に非常にお金がかかっている。 

そしてそれゆえに、政府のこの政策を批判する人も多い。 
「このような労働市場におけるセーフティーネットの過度な充実は、 
就職するために自ら努力をしようとするという 
インセンティヴを奪ってしまうことになりかねない。 
いわゆる一種のモラルハザードだ。 
まず失業中の手厚すぎる給付金を減らすことは必要であると思う」 
デンマークのシンクタンクで働くルービンさんはこう述べる。 
デンマークの労働者たちは、 
政府の職業訓練システムなどの手厚い失業対策に「甘やか」され、 
一生懸命職探しをしよう、 
職に就けるよう自ら研鑽しようという意思を 
なくしてしまっていると彼は考えている。 

一方このシステムを支持する労働大臣、 
フレデリックソンさんはこう述べる。 
「この職業訓練システムを通し、 
多くの人々が様々なスキルを身につけ、 
労働市場で価値ある人材として巣立っていった。 
他のどんな国にもないシステムだ。 
もちろん、非常にお金はかかる。 
しかし、目に見えていい結果が出ている」 

ある労働者がまったく別の業種へ移って働くというのは、 
ここデンマーク以外では非常に難しいことであろう。 
これほど労働者を手厚く保護・支援・訓練する政策をとるのは非常に難しく、 
他の国はこれをただ参考にしたり、 
一部のシステムを取り入れてみるだけというのが現状である。 


(BBC News Pod December 3 配信分より) 


社会福祉政策が非常に進んでいるデンマーク。 
この職業訓練システムは、 
日本も見習うべき点が大いにあるかもしれません。 
以前総理大臣だった安倍氏が「再チャレンジできる社会」 
という発言をしていましたが、 
デンマークで実施されているこのシステムにより 
まさしくこれが実現されていると思います。 

ただ、これだけの社会福祉システムを実施するための財源が 
どこにあるかと聞かれれば、 
答えられる人はいないというのが現状だと思いますが… 
実施するには大増税は免れないでしょう。 
実際、デンマークの労働者は、 
給料の約半分が税金などで消えてしまうと言います。 
しかし、生活に困るということはないようですが。 

日本では、20代前半にある企業に就職し、 
転職せずに一生そこで働き続けるのが 
給料面や福利厚生面などで1番メリットが大きいと 
言う専門家が未だに多くいます。 
長く続いてきた年功序列や終身雇用システムの名残でしょう。 
一方、デンマークでは、労働者の平均転職回数は、 
生涯で6回。 
中には、50回も転職を繰り返した人もいるといいます。 
また、平均勤続年数も約8.3年だそうです。 
これは上記の失業中の手厚い(手厚過ぎるほどの)金銭支援や、 
職業訓練システムなど、 
失業者を放置しない政策による結果であると思われます。 

このような状況を良いと思うか、 
それとも日本の伝統的な雇用態勢に合いかねるので 
ただ参考とするのにとどめるべきか。 
政治家の皆さんにじっくり考えてほしいところです。 

2008年12月1日月曜日

ミニバン輸送サービス

PodCastで聴くワールドニュース第22回。 

インドで発生した同時多発テロ。 
相変わらず英米加のニュースはこの事件を中心に放送しています。 
BRICsの一つとしての成長に陰りの見えかかったインドに更なる混乱を招くことは必死です。 

ちなみに、アフリカにも、インド以上に政治的混乱が見られる国が。 
ジンバブエです。 

このジンバブエと南アフリカを結ぶある輸送ビジネスが注目されているとのことです。 

というわけで、今回は南アフリカから。 


英BBC Business Dairyより。 


政治及び経済的危機にあるジンバブエ。 
最近のコレラの蔓延がこの国を更に追い込む。 
インフレ率は230millionパーセント(2億3千万パーセント)。 
50万ジンバブエドルは、アメリカドルにしてわずか30セント。 
この札束いっぱいの50万ジンバブエドルのお金で 
パン1斤の半分も買えない。 
政治では、与党と第一野党との対立が長く続き、 
安定政府の成立する見込みもない状態。 
現大統領であるロバート・ムガベに対する国民の不信感は強い。 
大統領・与党への孤立政策を訴える政治家も国内にいるほど。 
しかし、孤立政策は、他国に住む親族からの 
金銭援助や食料・薬品等の供給路を経つことも意味する。 
これらの援助の多くは、南アフリカからやってくるといい、 
南アフリカからジンバブエへ物資を送るビジネスが活況だという。 

BBCの記者が南アフリカの首都ヨハネスブルクで取材をした。 

ここは、南アフリカの首都、 
ヨハネスブルクのある「パークステーション」。 
ジンバブエからの出稼ぎ労働者を乗せたバスが次々と到着する。 
しかし、そこから少し離れた箇所に、 
もう一つの重要な「パークステーション」がある。 
ジンバブエからの出稼ぎ労働者が、 
故郷の家族へ物資を送るのを請け負う車がたくさん停まっているのだ。 
約20台ほどのミニバンが、 
「ジンバブエ行き」の看板を出して利用者を待っている。 
何台かのミニバンは、 
すでに食料や石油や電化製品の入った段ボール箱がいっぱいに積まれている。 

ジンバブエでは危機的状況が日増しに深刻になっている。 
南アフリカで働くジンバブエからの出稼ぎ労働者が 
故郷へ物資を送る唯一の確実の方法が、 
このミニバン輸送なのだ。 

一人のミニバンドライバーにインタビューしてみた。 

ドライバー「ジンバブエは危ない状況。 
出稼ぎ労働者はそう頻繁にジンバブエへ帰ることはできない。 
物資を送るために私のやってるような 
ミニバン輸送を使うジンバブエ人は増えている」 

記者「このミニバン輸送の仕事をどこで知ったのですか?」 

ドライバー「求人広告で見つけたんだよ」 


この「ミニバン輸送」サービスは決して安くない。 
小さな段ボール一個を輸送するだけでも$50(約五千円)かかる。 
ミニバン輸送のドライバーは、現金の「輸送」も請け負う。 
ジンバブエでは、銀行を使った送金が農村部では不可能だからだ。 

この「ミニバン輸送」サービスを二年間使っている 
ある塗装工の26歳の男性に話を伺った。 

男性「毎月家族に会いにジンバブエへ帰ることは難しい。 
ミニバン輸送は便利なサービスだ」 

記者「故郷ジンバブエであなたの家族は 
どんな暮らしをしているんですか?」 

男性「暮らしは大変だ。 
まず、お金がない。 
お金があっても、今度は何も売ってない」 

記者「ミニバン輸送サービスがなければ、 
故郷の家族は生きていけないですね…」 

男性「正直最初はこのミニバン輸送サービスは信用できませんでした。 
本当に家族に物資や現金を届けてくれるのか不安でした。 
ただ、故郷の家族はきちんと受けとってるということが分かり、 
安心して使っています」 

今も多くのジンバブエ行きのミニバンが「パークステーション」に列をなす。 

ジンバブエでの危機的状況が改善されない限り、 
この車の列はずっと続くことであろう。 


(BBC Business Dairy November 28th 配信分より) 


与党と野党との対立がなかなか解消されないジンバブエ。 
今年の6月頃は、イギリスのニュースでこのジンバブエの危機が毎日のように放送されていました。 

一方、南アフリカはアフリカ大陸で最も経済・産業発展が進んでいる国の一つ。 
BRICsの次にくると言われる経済新興国群、いわゆる‘VISTA’にも南アフリカは入っています(Vietnam、Indonesia、SouthAfrica、Turkey、Argentine)。 
再来年にはワールドカップも開催されることもあり、建設ラッシュにも沸くこの国は、 
出稼ぎにはもってこいの国なのかもしれません。 

ただ、やはり出稼ぎ労働などしなくてもいいように、 
ジンバブエに政治の安定が早期に訪れるのを期待したいものです。 
ちなみに、アフリカ人の英語は非常に聞き取りにくかった… 

今回は時間がかかりました。。。 
ちなみに、 
ロシア人やイタリア人の話す英語も 
癖があって非常に聞き取りにくいです。 

ただ、様々な国の人が訛りはあっても英語を話すのを聴くと、 
英語は本当にGlobal Languageなんだなと実感させられます。 

2008年11月28日金曜日

源氏物語

POD CASTで聴くワールドニュース第21回!!!! 

日本語文学の最高峰といわれるこの作品が 
イギリスのBBCのニュースで取り上げられていました。 


英BBC Global News から。 



'The Most Famous Work Of Japanese Literature' 

日本文学最高傑作と言われる源氏物語。 
今年はこの作品の誕生から、な、な、な、なんと!!! 
1000年にもなるというのです。 
日本では小学生でさえ知っているというこの作品。 
世界初の長編文学といわれています。 
なぜこの源氏物語がこれほど日本で親しまれているのか。 

BBCの記者がケンブリッジ大学の日本文学教授、 
リチャード・バウリンさんにインタビューをした。 

バウリンさん「日本人が彼らの独自の文字で文章を書けるようになるまで、 
非常に時間がかかった。 
文字体系を発展させるのに手間取ったからだ。 
文字体系の発展は、850年ごろに起こった。 
Genji(源氏物語)は1008年ごろの成立。 
この整然とした文学作品を作り出せるようになるまで、相当の時間を要した。 
Genjiの出現は日本の文化にとって、極めて重要な出来事であった」 

記者「日本の文学作品はもちろん日本語で書かれていますいますが、 
その日本語はもともと中国が由来。 
同時代の中国の文学作品とGenjiは 
それほど大きく違わなかったのではないのですか?」 

バウリンさん「ぜんぜん違いますよ。 
それゆえに私は日本の文学をこれほど愛するのです。 
当時の日本の文学作品がprose(散文体)であったということが重要なのです。 
当時は散文体は中国では歴史書でしか使われなかった。 
さらに、当時中国では、fiction(小説)はある程度見下されていたのです。 
これが大きな違いです。 
日本での記念すべき最初の文学は、 
prose(散文体)のfiction(小説)だったのです。 
日本と中国の文化の違いがここにはっきり表れています」 

記者「これがGenjiが世界最初の小説といわれる所以なのでしょうか? 
近代・現代の文学にあるような、 
人物描写や心理描写といった特徴をGenjiが持っているのですか?」 

バウリンさん「もちろんです。 
Genjiは、ただのファンタスティックな偉業の作品なのではありません 
素晴らしい技巧にあふれた作品というのではないのです。 
Genjiは、人々の世俗的な日常を描いています。 
また、人々の行動より、心理描写に焦点を当てているのも特徴です。 
なぜ人物がこのような行動をするのかということを詳細に表わしています。 
英語の現代語訳でGenjiを読めば、 
これがどれほど近代・現代文学と 
つながる点があるかお分かりいただけるでしょう」 

記者「そう聞くと、リスナーの皆さんは、 
Genjiがいったいどういう内容なのか知りたくなるでしょう。 
少し内容を紹介していただけませんか?」 

バウリンさん「もちろん。 
作品を読むのを聴いていただければ、 
作者である紫式部の洗礼された執筆スタイルに感嘆するでしょう。 
"Intending to stay the night and have a quiet talk, ...."(Genjiの英語訳の朗読が延々と続いて終わります)」 


(BBC Global News November 28 配信分より) 


日本の千年も前の文学作品が 
海外のメディアに取り上げられるというのは、 
非常に誇らしいことだと思います。 
上記にもあった通り、今年は源氏物語生誕からちょうど1000年目。 
これに伴い、いろいろな記念行事も日本では計画されているようです。 

日本文学研究家であったアメリカ人、サイデンステッカー。 
彼は、第二次世界大戦に敗れ、焼け野原と化した日本に滞在していた時期があります。 
当時彼は源氏物語を読み、「これだけ素晴らしい文学作品を生み出せる日本民族が、 
簡単に滅びるわけがない」と直感したそうです。 
彼の直感に応えるように、 
戦後日本は「奇跡」とも言われた底力で急激な成長を遂げ、 
1990年代には世界第二位の経済大国に。 
しかし、バブルショック・金融危機などがあり、
源氏物語の成立から1000年目の今、 
日本は犯罪率の高い、失業率も高い、かつ、出産率の低い、 
学力も下がりつつある国となってしまいました。 
サイデンステッカーさんはもう亡くなってしまいましたが、 
今生きていれば、また「源氏物語を生んだ日本が簡単に滅びることはない」と言ってくれたでしょうか。 
そう言ってもらえるように、我々が努力しなければならないというのが筋なのでしょうが。 

2008年11月25日火曜日

サウジアラビアの下着販売店

POD CASTで聴くワールドニュース第20回。 

英・米・加とも、最近のニュースは、 
ソマリアでの海賊の話題に重きを置いているようです。 

ソマリアは現在無政府状態で、 
そのような海賊を取り締まることができないのが、 
海賊によるタンカー等の襲撃が頻発する原因とのことです。 
BBCでは、海賊メンバーへのインタビューも放送していました。 
あるメンバーは、 
「ソマリアの貧困と飢えに苦しむ現状を世界に伝えるためにこのような行為をしている」 
と話しました。 

今回は、そのソマリアから海峡を隔てた中東の国、 
サウジアラビアから、下着の話題です。 


英BBC Global Newsから。 

'To Change The Way That Women's Underwear is being sold' 

女性の下着の販売に関する「変革」がサウジアラビアで起きようとしている。 
現在、サウジアラビアのすべての下着販売店で働くのは、 
男性スタッフのみ。 
女性は、見ず知らずの男性店員を通して、下着を買わなければならない。 
多くのサウジアラビアの女性がこのことに不満を持っており、 
国内で下着を買う女性はほとんどおらず、 
オンラインショッピングや、 
他国へ旅行に行った時に下着を買うという女性も増えているという。 
しかし、このような現状を変えようという動きもある。 

BBCの記者がサウジアラビアの都市、ジッダで取材をした。 

サウジアラビア王国は、古くからの伝統にしたがい、 
かつ保守性を守る国として有名だ。 
下着に関しても、男性スタッフしか販売できないという特異な決まりがある。 

2006年、政府は、女性も下着販売店で働くようにすべきとの法律を可決した。 
しかし、一部の政府高官から、 
下着店で女性が働く姿を見かけるなど、 
もってのほかであるとの意見があり、 
その法律は2年経った今も施行されていない。 

ジッダ女子大学の講師であるリーン・アサドさん。 
この法律を施行するための運動を進めてきた。 
アサドさん「下着を買う際、サイズや色やデザインを店員さんに相談する必要もある。 
そんなことを、まったく見も知りもしない男性店員なんかに聞きたくない。 
サウジアラビアで女性が下着店で働けないというのは、 
どう考えてもおかしい。 
他の近代国家でも、このようなことはないであろう」 

アサドさんは、フェイスブック(アメリカ発のSNS)を使い、 
オンラインでの運動も進める。 
すでに数百人もの人々がネット上で彼女の活動を支援している。 
彼女は自分のページで、 
「来年の1月1日までにこの法律が施行されなければ、 
サウジアラビアのすべての下着販売店に対し、 
不買運動を呼びかける」 
と宣言を出している。 


(BBC Global News November 24 配信分より) 


保守性の強い中東サウジアラビア。 
性別や宗教、家柄などにより、 
未だに就ける仕事と就けない仕事とがあるようです。 
イスラム教国であり、コーランを厳格に順守してい故に 
このような状況にあると思われますが、 
同時サウジアラビアは世界有数の石油産出国でもあります。 
世界中の民主主義国と石油を通して取引を行うということを意識し、 
欧米や日本に合わせた、 
さらなる民主化への変革も期待したいところです。 

来年の1月1日までにこの法律が施行されることとなるのか。 
それともアサドさんを中心とした下着店ボイコット運動が勃発するのか。 
推移を注目していきたいところです。 

2008年11月20日木曜日

みつばちさん

POD CASTで聴くワールドニュース第19回!!!! 



今回は、イギリスから、蜂に関するお話。 


英BBC News Pod から。 

'Honey Alert' 

クリスマスまでに、イギリスのスーパーマーケットから、 
国産のはちみつがなくなってしまうかもしれないという。 
これは、イギリスのミツバチの群棲が 
菌や異常に湿度の高かった夏の気候などにより、 
どんどん減ってしまっているため。 
しかし、実はこの影響を受けているのは、はちみつだけではないという。 
蜂の個体数の減少は、農作物の収穫にも影響を与える恐れがあるというのだ。 

ミツバチ飼育のベテランジェフリー・ボローさん。 
蜂に刺されないための防護スーツに身を包み、 
ミツバチが越冬するための支度をしている。 
毎年行うこの行為。 
しかし、今年は危機感を覚えつつやっている。 
ある病原菌が、イギリス中のミツバチ群棲に広がり、 
さらに、異常気象も相まって、 
イギリスの群棲のうち4分の1が死滅してしまったという。 

ハチミツの瓶詰め工場。 
アルゼンチンやオーストラリアやスペインから輸入されたはちみつが並ぶ。 
しかし、毎年あるはずのイギリス産のものはない。 
イギリス産のものは数週間前に在庫が尽きてしまった。 
クリスマス前に国産のはちみつがスーパーに並ばないのは 
初めてのことだという。 

スーパーマーケットの担当者は言う。 
「養蜂産業は、危機に面している。 
異常気象や病気でイギリスの蜂の個体数は激減した。 
これを止めるための対策がすぐにでも必要だ」 

イギリスの蜜蜂業者は、 
国になんとかこの事態を直視し、対策を講じてほしいと訴える。 
街頭でのデモも行っている。 
更に、蜜蜂の絶滅を防ぐため、 
£800万(約1億2千万円)の援助を要請している。 

しかし、この事態で頭を悩ませるのは、蜜蜂業者だけではない。 
蜜蜂の減少は、我々の普段の食事にも悪影響を与えてしまうという。 

科学技術の発達した現代でも、農作物は、 
ミツバチなしに受粉できないのだ。 
イギリスの農業組合議長、ピーター・ケンドーさんは言う。 
「蜜蜂の個体数減少を食い止めるために策をなかなか講じようとしない 
政府の対応にはあきれたものだ。 
これは蜜蜂業者だけの問題ではない。 
蜜蜂が減れば、農作物も減少してしまう」 

実は、蜜蜂の個体数の減少は、イギリスだけでなく 
世界的な風潮であるという。 
蜜蜂の絶滅は、私たちに計り知れない悪影響を及ぼしうる。 


(BBC News Pod November 19 配信分より) 


蜂といえば、私にとっては怖い存在。 
小学生の時に刺された経験があるから・・・ 
とっても痛かったです。 
しかし、蜜蜂が受粉の役割を果たしていたとは。 
彼らがいなければ、 
農作物も受粉できず実ることができないということで、 
蜜蜂たちのことをちょっと見なおしました。。。

2008年11月17日月曜日

カレッジフェア

POD CASTで聴くワールドニュース第18回。 


今回は受験を控える高校生が関心を持ちそうな、
アメリカの大学のオープンキャンパスに関する話題。 

米ABC World Newsより 


‘Checking Out Potential Colleges Online’ 


受験を考える高校生やその親御さんにとってはグッドニュース。 
IT技術の発達により、 
志望大学をより簡単にかつより安くチェックすることができるようになるのです。 

‘College Week Live’ 
これは、世界最大のオンラインの大学フェア。 
受験を控える高校生やその両親が、 
クリック一つで受験のことや授業料のことについて、 
大学の担当者に聞くことができる。 

サイトの訪問者は、まず「仮想コンベンションセンター」にたどり着く。 
そこから、約200もの大学の仮想オープンキャンパスに参加できる。 
費用は無料。 

学費の援助制度から論文の書き方まで専門家が説明してくれるビデオ放送も見られる。 

大学に在学する生徒にオンラインで直接質問できるのも大きな特徴。 

高校一年生のサムくん。 
自宅から離れたニューヨーク市にある大学に行くつもりはなかったが、 
このオンラインオープンキャンパスに参加してみて、気持ちが変わってきた。 
「ニューヨーク市にある大学に行けば、 
自分の研究したいことがきちんとやっていけそうだとわかった」 

景気後退を迎えるこの時期。 
オンラインオープンキャンパスの利点は、便利ということだけではない。 
高い交通費をかけずに志望大学のことをよりよく知ることができるのが一番のアドバンテージだ。 
もちろん、大学側にとっても、コストイフェクティヴ(経費節約)となる。 

一般のオープンキャンパスに参加する高校生は、 
最近は学生の10%〜15%ほどしかいない。 
費用がかかるということと、大都市でしか開催されないということが理由であるようだ。 
約25,000人もの学生が今週のオンラインオープンキャンパスに参加する見込みだという。 
志望大学を見つけられることを祈って… 


(ABC World News November 14 配信分より) 


私は高校生のころ、大学のオープンキャンパスには一切参加しませんでした。 
オープンキャンパス行く暇あったら勉強している方が合理的だと思っていたので… 

ただ、オープンキャンパスに参加するのは、 
大学のことをよく知っておく上で必要であるとは感じます。 

ただ、オンラインというのはどうでしょうか。 
やはり、直接キャンパスを訪れ、雰囲気を味わい、 
そこの学生や教授とフェイストゥーフェイスで交流して知るのと、 
パソコンでオンラインで知るのとでは、大きな差があると思います。 
もちろん、コストイフェクティヴであるとの利点も認めますが… 

ちなみに、アメリカの大学の授業料はとっても高いんだそうです。日本の数倍だとか。 
故に、ある程度裕福な家庭しか普通に子供を大学に送れないという状況なんだそうです。 
さらに付け加えると、兵役を経験した人には 
大学の授業料を政府が全額補助してくれるという制度があるそうなんです。 
故に、貧困層の多く、特に黒人が大学授業料補助を求めて軍隊に入るそうです。 
軍事大国アメリカを支える政策の一つであると言えるでしょう。 

さらに付け足すと、 
ドイツなど欧州のいくつかの国では大学の授業料は基本的に無料だそうです。 
そのぶん、カリキュラムの内容は国の縛りを受けやすく、 
自由な教育がやりにくいというデメリットもあると聞いたこともあります。 

その中間の、ある程度の授業料を払わなければなりませんが、 
教育内容を国にしばられることもあまりない、 
日本の大学システムが実はやっぱりいいかなって思ったりします。 

2008年11月15日土曜日

海と二酸化炭素

POD CASTで聴くワールドニュース第17回。


二酸化炭素などの温室効果ガスが地球にどんな影響を与えているか。 
温暖化だけではないらしいんです。 


米ABC World Newsより 



'Ocean Acidification' 

人間の生産活動により排出される大量の二酸化炭素。 
これが地球温暖化だけでなく、 
もう一つの深刻な問題を引き起こすことが分かってきた。 
海の「性質」を変えてしまうというのである。 
その影響は、すでに海にすむ微生物などに出ているという。 

ABC記者のワシントンからの報告。 

二酸化炭素が地球温暖化につながるということは多くの人が知っている。 
しかし、その排出される二酸化炭素のうち30%は 
海の水に吸収されるということを知っている人はそう多くはないだろう。 
そしてその二酸化炭素が海の水をacidic(酸性)に変えてしまっているのである。 

これは海に棲むすべての生き物にとってバッドニュースである。 

たとえば、サンゴ礁。 
海洋中の二酸化炭素の増加は、 
サンゴにとって破滅的な結果を招くことになる。 
海中の二酸化炭素の量が350ppmであれば、 
サンゴは生きられる。 
しかし、その数値は、現在すでに380を超え、 
さらに上昇し続けている。 
450ppm以上となると、サンゴは絶滅すると言われる。 

海に棲む約3分の1の生き物が、 
その生命をサンゴに頼っていると言われる。 
さらに、もし全滅してしまうと、 
医薬品の研究にも支障が出るという。 

ある研究者は言う。 
「サンゴは、医薬品開発のカギとなる成分を提供してくれる貴重な存在。 
サンゴの死滅は、 
病気の患者を苦しみから解放し、 
不治の病を治す可能性を我々が失ってしまうことを意味する」 

専門家たちは、温室効果ガスの排出を今後減少させることで、 
この海洋の危機をまだ回避できる可能性はあると話す。 
陸上で我々が大きな改革を進めない限り、 
海中のこの危機を回避することはできない。 


(ABC World News November 14 配信分より) 


日本でも環境問題に関するニュースはよく放送されますが、 
欧米では、環境関連ニュースはほんとに多いです。 
毎日必ずなんらかの英米加のPOD CASTの放送で環境に関する話題を聴きます。 
彼らのほうが環境問題をより深刻にとらえているということなのでしょうか。 

ちなみに、日本は京都議定書に批准したことにより、 
2008年から2012年の五年間で、 
1990年比でCO2排出量を6%減らす義務を負っていますが、 
今のところ達成はかなり難しいと言われています。 
さらに、9月のリーマンショックで加速してしまった金融危機の影響で、 
CO2排出削減に資金を投入する余裕がなくなり、 
削減目標達成は更に困難になるだろうと予測する専門家もいます。 

金融危機の解決も大事ですが、 
環境問題解決はもっと重要でしょう。 
これが他の生き物を滅ぼし、地球を滅ぼし、 
さらに最終的にわれわれ自身を滅ぼすことになるのは、 
誰もわかっていることなのですから・・・ 


2008年11月11日火曜日

白トリュフ

pod castで聴くワールドニュース第16回。 

東京で行われたあるオークションについてのニュースがありましたので、 
ピックアップさせていただきました。 

英BBC Global Newsより。 


'A Highly Unusual Auction' 

とても変わったオークションが東京で行われた。 
'Tuber Magnatum'の愛好家たちがそこで闘いを繰り広げた。 '
'Tuber Magnatum'は、white truffle、つまり、白トリュフのこと。 
「魅力的な食用菌類」のオークションなのだ。 
一番の高値で落札された白トリュフは、1kgで約$30,000。 
日本円にして約300万円(exclamation ×2)。 
しかし、この数字も、昨年の最高値に比べると、ずっと低いという。 
最近の金融危機がこのきのこオークションまでも蝕んでいるように思われる。 

BBCの記者が東京で取材をした。 

かつてある高名なシェフが、 
「white truffle(白トリュフ)はキッチンのダイアモンドである」と評した。 
この貴重な「石」にそのような価値があるのも当然である。 
white truffleはある特定の木の下の地中にしか育たず、 
見つけるのが極めて困難であるから。 

ある東京の高級ホテルのレストラン。 
Sumo Wrestlers(力士)やBeauty Queens(セレブ美女といったところ?!)等のVIP級の人々が集まっている。 
貴重なwhite truffleのオークションが開催されるのだ。 
もっとも大きなwhite truffleは、イタリアで見つかった貴重な逸品。 
あるファッション系のビジネスを展開する日本人資産家に落札された。 
落札額は$30,000(約300万円)。 
ご飯と一緒に食べたいとのこと。 

一見バブルの再来のように見えるこのオークション。 
しかし、昨年中国で行われたwhite truffleのオークションでは、 
さらなる高値での落札が相次いだ。 
今年のものよりもっと大きなwhite truffleが、 
$300,000(約3000万円)で落札された。 

日本経済は、後退期に入ったと述べる専門家が多い。 
これが、トリュフオークションの落札額を低くしてしまったと、主催側は考える。 
しかしながら、このオークションに参加するための券は、 
1枚数万円もする。 
そしてこのホテルの会場は、 
white truffleを求めるセレブ達で一杯だったという。 

(Global News November 11 配信分より) 


落札額が下がったとはいえ、白トリュフ1kg300万円というのは 
私のような庶民からすれば、考えられない額です。 
松茸やトロなんかよりずっと高いんすね。 

以前、この白トリュフに関する記事を読んだことがあります。 
イタリアのある特定の地方でしか育たず、 
どこで育つかを知っているのは、 
先祖代々白トリュフ狩りで生計を立てる、ほんのある一族だけ。 
特別に訓練された「トリュフ犬」を使って、 
その嗅覚にたよって見つけるんだそうです。 
「トリュフ犬」が身代金目的で「誘拐」されたこともあるんだとか。 

白トリュフを探すのはほんっとに大変。 
それゆえに1kg300万は納得…やっぱりできないですね。 

2008年11月10日月曜日

ブータンの戴冠式

Pod Castで聴く世界のニュース第15回。

今回はブータンから、戴冠式のニュース!! 

英BBC Global News/From Our Own Correspondentから 

'The Coronation of A New King in Bhutan' 

ヒマラヤの小さな王国、ブータン。 
人口は700,000人にも満たない。 
新たな王の戴冠式のため、数日間の国家行事を開催する。 
世界でも有数の「知名度の低い」国であり、古くからの伝統を強く保つ国。 
モダンな民主国家とはずっと距離を置いてきた。 
テレビの放送が始まったのはほんの10年前。 
ブータンへでは海外からの旅行者もあまり歓迎されず、 
さらに、旅行者は民族衣装を着て旅をすることを強要される。 

しかし、この新たな王の戴冠式を機に、 
世界がこの国の近代化と民主化への移行に注目している。 
ブータンは「変化」が必要であると感じ始めているようだ。 

BBCの記者が首都ティンプーで取材した。 

首都ティンプーにある要塞のような修道院。 
僧侶たちが、仏教音楽を奏でている。 
その庭には、巨大なタペストリーが敷かれている。 
赤や青に衣装に身を包んだ踊り子たちが近くの山々から集められた。 
19世紀の戦士の格好をした男たちのパレードもある。 
新たな王が金や銀の鞍をつけた馬、その他の財宝とともに登場した。 
内外のVIPたちが新王への敬意を示す。 
修道院の広場には2万人もの人々が集まった。 
ティンプーの人口の5分の1に層とする数である。 

集まった観衆のうちの一人の男性に聞いてみた。 
記者「ブータンで王制を続ける重要性はあると思いますか?」 
男性「この国の主権を維持し、文化を伝え、伝統的な服装を重視するために、 
王制は必要であると思う」 

ブータンの王制は比較的国民の支持を得ており、かつ、うまく機能している。 
新たに王になる人の父、つまり前の王は、意図的に地位を退いた。 
彼がまだ在位中、国の政治をより発展させる目的で、 
2党制を導入した。 
国の民主化への道を狙ってだ。 
2党制であると、党間の競争が生まれ、 
政治家がより国民のことを考えて国政を行うようになる。 
アメリカがいい例だ。 
前王は、ブータンに近代化・民主化が必要であると感じていたのだ。 
彼の息子である新王も同じ考えの持ち主である。 

首相であるティンリーさんは、 
ブータンの多くの国民は民主化は必要ないと感じているということを打ち明けてくれた。 
ティンリーさん「民主政治は時に社会的不安を引き起こし、 
国民にとって不利益となる。 
王制であり、王がいるということが、多くのブータンの国民にとって、 
精神的な安定につながるのです。」 

このような国民の声もあるが、 
これまで、様々な「変化」がもたらされてきた。 
外相のチェリンさんは言う。 
「ブータンは進歩的な国であると思う。 
ブータンは南方アジアの国で唯一、 
英語を公用語として広めている国です。 
優秀な学生は海外の大学に留学させています。 
政府の役人も、教養の高い人ばかりです。 
イギリスのように医療も無料なんです。 
ブータンは、開かれた、自由な国であるという認識を 
もっと多くの人に持ってほしいと思います」 

イタリア人の学者であり、ブータンによく訪れるというガンドーフォさん。 
ブータンの「変化」に賛同しつつも、 
その変化の速さに戸惑いを隠せないという。 
ガンドーフォさん「この国を訪れるたびに、 
必ず何かが変わっている。 
テレビが登場したり新聞が出回っていたりラジオ局ができていたり。 
新しい党を結成することもできるようになった。 
ほんの数カ月で次々と大きな変化があるんです」 

世界で一番変化が速いと言えるかもしれないここブータン。 
伝統を守りながら今の時代に合った体制を順調に作り出すことができるのか。 
豪華な戴冠式に浮かれることなく、 
「変化」への礎作りへと素早く取り組まなければならない。 


(BBC Global News / From Our Own Correspondent November 7・8 配信分より) 


ブータンという国がどんな国であるか、 
このPOD CASTの放送で初めて知りました。 
変化が速すぎるということの弊害は、 
もちろんあるでしょう。 
日本がそうではないでしょうか。 
敗戦後、焼け野原であった国が、 
欧米のさまざまなシステムを取り入れ、 
奇跡とも言われた底力であっという間に世界第二位の経済大国になった。 
しかし、その過程では、深刻な環境破壊や公害があったり、 
バブルによる長期の不景気があったり。 

ブータンの方々には、ぜひ日本の例を参考にしてもらって、 
失敗のより少ない「変化」に取り組んでいただければと思います。 

2008年11月5日水曜日

選挙

POD CASTで聴くワールドニュース第14回。

アメリカ大統領選挙の投票が始まりました。 
アメリカのニュースや雑誌では、ここ1年ほどこの選挙の話題ばかりでした。 
アメリカの大統領がブッシュ2世以外だったら誰でもいいと考えてる私としては、 
あまり盛り上がっていませんでしたが・・・ 

ただ、世界的に注目を集める選挙なので、 
1度くらいはこのネタをピックアップしようと思い、取り上げさせていただきました。 

というわけで、今回は、アメリカ大統領選挙の話題。 
民主党候補のオバマ上院議員とつながりの深いアフリカ東部の国、ケニアでの 
盛り上がりについて。 


米ABC World News より。 


'The Possibility Of A Black Man Being Elected The Most Powerful Office In The World' 

多くのオバマ候補の親族や父親側の家族の住む国、ケニア。 
多くの国民がオバマの活躍ぶりを喜んでいる。 
中には、「オバマニア」になる人も… 

ABCの記者がケニアで取材をした。 

世界から注目を集めるアメリカ大統領選挙。 
ここケニアでは、共和党候補マケインの名を出すものは少なく、 
ほとんど誰もがオバマ支援者。 
ケニア国民は、オバマに自分たちを投影しているようである。 

アメリカから遠く離れたここケニアであるが、 
メディアでは、アメリカ大統領選ニュースで持ちきり。 
TVではオバマのCMまで流れる。 

実は、「オバマ産業」というものまで生まれている。 
オバマ氏のスピーチのビデオやCDが街頭で売られている。 
オバマ帽子やオバママグカップ、オバマカーステッカーまで売っている。 
オバマ氏の似顔絵の入ったTシャツが、1番の売れ行き。 
Tシャツには、オバマ氏のスピーチの言葉が、 
英語だけでなく、ケニアの先住民族の言葉でも表記されている。 

最近は、オバマビールなるものまで登場。 
もともと、Senator Beerというものがケニアにあった。 
(Senatorとは、上院議員という意味) 
オバマはアメリカ政府のSenator(上院議員)。 
これがきっかけで、Senator BeerがObama Beerとなって、 
ケニアの居酒屋ならどこでも飲めるというヒット商品になった。 

そしてついには、オバマミュージカルまで登場… 
オバマ氏のこれまでの軌跡がこのミュージカルで分かる。 
演じるのは、ケニアの若者たち。 

ケニアは、民族同士の紛争で不安定な情勢が続く。 
しかし、このアメリカ大統領選の時期、 
全ての国民、全ての部族たちが団結している。 
彼らの合言葉は、“We Love Barak Obama!!” 


(ABC  World News  November 4 配信分より) 


アメリカ大統領選挙がアメリカでけでなく、 
他の国でも大いに盛り上がっているといいう話。 
オバマ氏が選ばれれば、 
黒人(白人の血も入っているので、正確にはシナモンというそうです)初の米大統領となる。 
一方、共和党の候補、マケイン氏が選ばれれば、史上最高齢の大統領の誕生となり、 
さらに副大統領はペイリン氏となるので、 
女性初の副大統領誕生となる。 
いろいろと「初」や「記録」づくめの今回の米大統領選。 
それゆえに、注目度も高いようです。 

オバマ氏とマケイン氏、どちらが勝利するか。 
私としては、正直どちらが勝っても別にいいって感じっす。 
世界金融危機を早急に解決することに尽力し、 
ブッシュ2世現大統領が避けてきた温暖化対策に積極的に取り組み、 
かつ日本との関係を重視する大統領であれば。 

日本時間で5日の昼にも大勢が判明する見通しです。

2008年11月2日日曜日

宇宙旅行者

ポッドキャストで聴くワールドニュース第13回。 

今回はBBCから宇宙旅行の話題を〜 


英BBC Global Newsより 


‘A More Than $30m Ticket’ 

宇宙旅行から戻って来たリチャード・ガリアードさん。 
彼の生涯の夢であった宇宙旅行を、$30million(約30億円)で遂に果たした。 
彼は宇宙空間にあるISS(国際宇宙センター)に12日間滞在したあと、 
ロシアの宇宙船で地球に帰還した。 

彼の血筋は「宇宙の血筋」と言ってもいいほどで、 
彼の父は元アメリカの宇宙飛行士、 
また彼自身も宇宙へ旅行したい人を募って実際にロケットを打ち上げるという会社の取締役であったのだ。 

そして、遂に彼は6人目の宇宙旅行者となった。 

BBCの記者が彼にインタビューをした。 

リチャードさん「宇宙へ経つ前の地球での訓練で、 
どれだけ宇宙で過ごすことが大変かわかったよ。 
ロケットの発射のときはものすごかった。 
宇宙からの眺めは最高で、本当に忘れられないし 
人生が変わったような気持ちになったさ。 
そして、地球へ帰還したときの宇宙船が地面に着地したときの衝撃は、交通事故に遭ったような感じだった(笑)」 
記者「リチャードさんは宇宙から戻ってきたばかりなのにとてもお元気そうに見えますが、 
それは地上での訓練で宇宙での生活に備えていたのお陰ですか?」 
リチャードさん「地上ではいろんな訓練をしたよ。 
宇宙での生活に慣れるためのね。 
しかし、たった12日の滞在だったけど、やっぱり無重力のせいで筋肉はかなり弱ってしまって、 
実は今は歩くのも辛いし、 
スクワットなんてできないし、 
ただ立つだけでも支えがないと無理なんだ。 
元の状態に戻るにはまだ数日かかるだろうな」 
記者「訓練はロシアで行ったそうですが、ロシア語は大丈夫だったのですか?」 
リチャードさん「専門用語のロシア語はなんとかなったんだ。 
何ヶ月かロシア語の会話学校に通ったからね。 
ただ、普通の会話をするのが困難だった(笑)」 
記者「宇宙旅行に30億円かけたそうですが、この金額は、将来もっと低くなりますね?」 
リチャードさん「大気圏の軌道より下のところを上がったり下がったりするだけの『フライト』なら、 
国際線の1stクラスの値段でいけると思うけど、 
僕がいったような、大気圏外の宇宙旅行となると、 
今私たちが知ってるようなロケットを使っている限り、 
その10倍〜100倍はかかるんじゃないかな。 
ただ、高額といっても、宇宙での無重力空間でしかできない実験なんかの結果を 
地球での技術開発に使えたりしてるから、 
これだけのお金を出して行く価値はあると思います」 

(BBC Global News October 31 配信分より) 

毛利衛さんのように、宇宙飛行士として宇宙へ行ったのではなく、 
リチャードさんのように旅行として自分でお金をだして夢を実現した方のインタビューは 
日本ではなかなか聞ける機会がないかなと思いまして、今回取り上げさせていただきました。 

それにしても、30億とは… 
私のような庶民には到底無理ですね〜 
わざわざ宇宙に行かなくても、 
夜に空を眺めて「あー宇宙はこんなんなのかなぁ」 
とかいろいろ思いを馳せるだけで十分です。 

2008年10月29日水曜日

パレスチナの裁判官

POD CASTで聴くワールドニュース12回目。 

今回は中東パレスチナから、 
ある女性裁判官の話題。 


加CBC The World This Weekendから。 


'A Female Judge in Sharia Court' 


パレスチナ自治区で初の女性裁判官が生まれた。 
彼女はSharia Court(イスラム法を基にした法廷)で 
法の審判として働くこととなる。 
イスラム圏で、女性がこのような地位に就くことは、 
大変珍しいことで、彼女もこのことから困難に直面することも多い。 

パレスチナ・リマラのCBCの記者が取材をした。 

パレスチナ自治区で初の女性裁判官となった、ハルードさん。 
3児の母でもある彼女は、 
超難関である裁判官試験を、 
とびぬけた成績で合格した。 
イスラム圏で女性初の裁判官になれたことの喜びは、
彼女にとって言葉に言い表せられないほどであった。 

ハルードさん「これは、イスラム圏の女性にとっての勝利であると感じます。 
イスラムは、保守主義や過激主義であることで常に非難の的にあるからです。 
イスラムは保守派でも過激派でも人種差別主義でもないということを、 
世界に示すことができると思います」 

彼女が裁判官として働くのは、「ローテク」法廷。 
コンピュータはおろか、タイプライターもない。 
ここでは裁判官のあらゆる判決は手書きで記録される。 
しかし、こんなローテクなイスラム法廷でも 
もちろん多くの重要な裁判がおこなわれる。 
離婚や養育権など家族に関する事項の判決が下されるのは、 
この法廷でだけ。 
裁判官になる前の過去6年間、 
ハルードさんは、女性のための法律相談所で働いていて、 
女性やその子供たちの代表としてこの法廷に足を運ぶことが多かったという。 

弁護士のアラ・オバクリーさん(男性)は彼女についてこう話す。 
「ハルードさんは、パレスチナで最も優れた裁判官です。 
彼女は経験も豊富だし、家族問題に関することに長く携わってきました」 

この法廷の最高裁判官であるタミミさんはこう話す。 
「イスラム圏で女性が法曹の世界へと躍進し、 
裁判官としての地位を勝ちとったことは私にとっても非常にうれしいこと。 
女性は、法曹として男性より優れていると強く感じている。 
特に、この法廷で専門的に扱うのは、 
離婚や養育権など家族に関する問題。 
女性はこのような問題解決の際に有利であると思う」 

しかし、このように女性が裁判官として務めることが 
気に食わないという男性もここイスラム圏では多いという。 
この法廷に来ていたある男性は 
「法廷は男の仕事場だ。まぁ、私にはどうしようもないのだが」 
と述べる。 

ハルードさんが裁判官を務めるこの法廷もこのような動きを意識しており、 
女性がイスラム圏で裁判官として働くことのむずかしさを痛感しているという。 
ハルードさん「ここの法廷で働く人たちは、 
女性である私が裁判官として気持ちよく働けるよう、 
いつも協力してくれます。 
法廷は男の仕事場という意見を言う男性がいるということを、 
同僚はみな悲しく思っています」 

ハルードさんは、イスラム圏でもっと多くの女性が法曹界で活躍できるよう、 
体制を整えていくことにも貢献していきたいと話す。 


(CBC  The World This Weekend  October 25  配信分より) 


このパレスチナと領土問題で長く争っているのが、 
第一回でも話題にでてきたイスラエル。 
ユダヤ教徒が中心のこのイスラエルでは、
外相が女性であり、また、過去に女性首相が誕生したことがあるなど、 
主要な地位に女性がつきやすい国であり、
パレスチナの状況とは対照的です。 

タミミさんがインタヴューで話していたように、 
学生生活を通して、 
私も女性は男性より頭がいいといつも感じてきました。 
物理的な力より、インテリジェンスが重視されるこの時代、 
もっと女性の知的な能力を仕事などで生かせる仕組み作りが 
大切であると感じます。 

(ちなみに、CBCはCanadian Broadcasting Corporationの略で、
カナダの国営放送です)

ホットドリンク?コールドドリンク?

POD CASTで聴くワールドニュース第11回。 

今回は、飲み物の話題。 
みなさん、温かい飲み物と冷たい飲み物、
どちらをよく飲みますか?
温かい飲み物を重要視するほうが、
メリットがあるというお話です。

英BBC Global News から。 

'Warming Your Hands With A Cup Of Coffee Can Change The Way We Perceive Those Around Us' 

ホットコーヒーを飲むとき、手は温まりますよね。 
手が温まると、周りにいる人への感じ方が変わるという実験結果が出たそうです。 
「サイエンス誌」に寄稿するある研究者が、 
手が温まると、周りの人にも、 
温かい気持ちを持てるという実験結果を発表しました。 
一方、手が冷たいままだと、 
他人に対する信頼感が低下し、 
その人のために何かしようという気も起きにくくなるというのです。 

アメリカのとある実験室。 
物理的な「温かさ」が人の性格からからくる判断力に 
どのような影響を与えるのかを調べるために、 
研究者は、実験参加者に、 
温かいコーヒーか冷たいコーヒーを選んで飲んでもらい、 
その後の経過を調べました。 

温かいコーヒーを飲んだ参加者は、 
判断に関して周りの人に対する寛大さがあるのに対し、 
冷たいコーヒーを飲んだ参加者は、そのような判断に冷たさがあったのです。 

また、温かいコーヒーを飲んだ参加者は、 
他人になにかあげたいと感じるようになったとの結果も出ました。 

温かいものに触れると温かい気持ちになり、 
冷たいものに触れることと、心も冷たくなってしまう。 
このようなことが起こるのは、 
脳の「インセラー」という細胞が関係しているためだというのです。 
冷たいものや温かいものに触ると、脳のこの細胞の働きが活発になり、 
周りにいる人に信頼感を持てという信号を出したり、 
冷たい人だから関わるなという信号を出したりするのだというのです。 

「このような物理的な温かさと、感情の温かさの関係を利用することは、 
大変興味深い。 
家や会社のオフィスにだれかを招くときは、温かい飲み物を用意するのがベターだね」 
この研究成果を発表した人物のひとりであるエール大学の心理学専門のジョン・バージ教授はこう話します。 

物理的な接触とそれに対する心理的な反応が非常に似ているというこの実験結果は、 
マーケティングを始め、様々な分野で応用できそうですね。 


(BBC Global News  October 24  配信分より) 


友人に何か飲み物をおごる時、 
家にお客様がいらしたときなど、
暖かい飲み物にするのがいいかもしれないですね。 
飲み会で上司につぐときは、ビールよりも、熱燗でってことになるんすかね… 

ちなみに、日本のメディアでもこの話題は取り上げられているみたいです。
情報が重なってしまって、すみません。 

「違う性」を生きる

POD CASTで聴くワールドニュース第10回。 

今回は、バルカン半島南西部に位置するアルバニアの、 
「転換」に関する話題。 
少々長いですが… 


英BBC Global Newsから。 


'Sworn Virgins' 


アルバニアの北部のある田舎の村。 
男性優位の考えがまだ強いこの村では、 
男の子や父親のいない家庭は、 
「弱者」とみなされてしまう。 
この「社会的ハンディキャップ」を克服するための一つの方法が、 
家族の中で女性が「地位」を変えること、つまり、 
「男性」として生きることだという。 
アルバニアがかつて共産主義国家であった時代に、 
この習慣は消滅したと思われていたのだが、 
今も少数ではあるが、これが続いている家庭があるという。 

BBCの記者がアルバニアのその村へと向かった。 

インタヴューを承諾してくださった、チャミーラ・ステンマさん。 
黒の装束の上に、腰まであるマントを羽織り、 
被った帽子が白髪を覆っている。 
チャミーラさんは一見、アルバニアの一般的な老人男性である。 
しかし、そのしわの多い顔を見て、甲高い声を聞くと、 
実は女性だということがわかる。 

チャミーラさん「近所の人たちは、私を男性として敬い、 
握手を求め、お元気ですかと声をかけてくれるんです。 
彼らは私の顔と声のせいで、私が女であるということを知っています。 
しかし、男性として接してくれるのです」 

88歳のチャミーラさんは、 
この村で数少ない「男性」に「転換」した女性である。 
伝統的に家父長制度が続いてきたこの地域では、 
特に貧困層の女性が「男性」に「転換」するという習慣が続いていた。 
手術などで物理的に性転換するというのではなく、 
男性の格好をし、村で男としての役割を果たすことによって、 
社会上のステータスを変えるという意味での「性の転換」なのである。 

このような「転換」をする一つの理由が、望まない結婚を避けるため。 
またチャミーラさんのように、 
結婚後男の子が生まれず、後継ぎがいないので、 
娘が「男性」に「転換」せざるを得ないということもあるという。 

チャミーラさん「私は10歳の時に 
髪を男の子のように短く切りました。 
父親は私が2歳の時に亡くなってしまい、 
母親が一人で私を育ててくれました。 
私には3人の姉妹がいましたが、 
ずっと昔に3人とも嫁に出てしまいました。 
誰かに頼まれて「男」に「転換」しようと思ったのではありません。 
実際、母親は私にずっと女性でいてほしかったようです。 
しかし、私は彼女の面倒をみるために、 
「男性」になることを決意したのです。 
友人や親せきは、私がまだ20歳の時に、 
『そんな男みたいな格好はしないで、あなたも結婚なさい』と言いました。 
でも私は嫌と言いました。 
だから今でも私は男の格好なんです。 
そして、周囲は私のことを尊敬してくれています」 

実際、彼女はこの村の長老の一人としてみなされている。 
彼女の親せきの話によると、この村では、 
彼女はよくいざこざ解決のために呼ばれるという。 
彼女の助言が村の紛争解決につながるのだという。 

社会学者のデルビーシさんは、 
これまで20人の「男性」に「転換」した女性を取材してきた。 
彼によると、女性が「男装」するという風習は、 
共産主義の時代に禁止されてきたが、 
今も伝統の習慣として残っているという。 
「男装」していることを公言し、 
地域で男性としての役割を果たすことによってのみ、 
その女性と家族が、 
男の血筋がいないというアルバニアの一部の村における 
「社会的弱点」を克服できるという。 

BBCの記者が取材を終えてこの地域を去る前、 
伝統的なお酒でチャミーラさんの長寿を祝福した。 
そのときに、彼女に最後の質問をした。 
「男性」への「転換」はあなたにとって本当に幸せな選択だったか?と… 

チャミーラさん「男性として生きてきたことは、 
この上なく幸せなことだったと思っています。 
良い人生でした」 

(BBC Global News October 22 配信分より) 


違う性の人間として生きる。 
日本でも男のいない家系は不利であるという感がかつて強くありました。
しかし、アルバニアのこの村では、「社会的性転換」を行うことで、
このハンディキャップを克服できる。
ある意味、寛容な考え方であると感じました。

ただ、家父長制度がまだ強く残っているという点では、 
まだ考え方が古い社会だという意見もあるかもしれません。 

チャミーラさんは最後に「男」として生きたことが幸せだったと語っていましたが、 
本当のところはどうだったのでしょうか。 
さまざまな苦労を経験されてきたということは、
実際に彼女の声を聞いてなんとなく伝わってきました。
そういうことを口に出さず、幸せだったと語ったチャミーラさん。
彼女の生きざまは、「男」より「男らしい」と感じずにはいられませんでした。

南極への旅

POD CASTで聴くワールドニュース第9回。 

少しほっとする温かいネタを見つけました。 

あるオランダ人女性の旅のお話。 


英BBC Global Newsから。 


‘An Ambitious Journey’ 

3年半前、オセグさんというあるオランダ人女性が、 
トラクターに乗って旅に出た。 
彼女のゴールは南極点。 
しかも、世界中の子供たちが紙に書いた「夢」を持ってそこへ到達するという。 
彼女は今、南アメリカのケープタウンを移動中。 

2年前から、BBCの記者が彼女に随行している。 
2年前、彼女は、 
30年も前に購入した緑色のトラクターに乗って旅をしていた。 
まだ若く活発な女性がトラクターに乗ってのろのろと走っている。 
滑稽な光景であった。 
トラクターの最高速度は時速20キロ。 
彼女はトラクターに乗ってヨーロッパを縦断し、バルカン半島を越え、 
アフリカに入ってエジプト、スーダンを通り、エチオピアにたどり着いた。 

そして2年経った今、アフリカ大陸を縦断し、 
南アフリカのケープタウンにいる。 

1万3千キロにも及ぶこれまでの旅の中で、 
彼女はいつも出逢った子供たちと交流し、 
彼らの夢を小さな紙に書いてもらっていた。 
それを大切に持って旅をしている。 

ケープタウンに住むある男性が、 
彼女と彼女のトラクターを船に乗せて南極へ連れて行ってくれるという。 
出航は来年の11月。 

南極点に到達したら、彼女は雪だるまを作るという。 
その腹部に子供たちからもらった「夢」を書いた紙を入れたところで、 
彼女の「ミッション」は完了する。 

(BBC Global News October 18 配信分より) 


日本でも、自転車や一輪車で列島縦断というのがありますよね。 
でもこの女性はオランダから南極点。 
しかも、トラクター。 
スケールが違うなーと思いました。 

そういえば、昔「電波○年」という番組で、
大陸横断・縦断ヒッチハイクの旅というのがありましたよね。
この「旅」もオセグさんの旅に劣らず、すごいものであったと思います…。

インドの「母」たち

PodCastで聴く世界のニュース第8回。 

今回はインドから、代理母出産についての話題。 

代理母出産については日本でも物議を醸したことがあります。 
インドでは日本と全く状況が異なりますが、やはり問題は深刻のようです。 


英BBC News Pod より 

‘Surrogacy in India’ 

インドへ向かうまだ子を持たない夫婦の数が増加傾向にあるという。 
その目的は、surrogate mother(代理母)を見つけるため。 
インドではsurrogate birth(代理母出産)に関する法律や規制がなく、 
代理母出産は数億円規模の市場となっているという。 

「この子の笑顔を見るだけで幸せな気持ちになるよ」 
ニッキーさんとボビーさん夫婦は、 
まだ赤ちゃんである娘、デイジーちゃんを見て言う。 
彼らは、デイジーちゃんの親となるまで、 
14年もかかった。 
デイジーちゃんは、 
今住んでいるロンドンから数千キロも離れた、 
インド・ボンベイのとある病院で生まれた。 
この夫婦の受精卵は、彼らが見たことも会ったこともない、 
あるインド人の女性の子宮へと移された。 
最終的にそのインド人の女性がデイジーちゃんを出産したのである。 

インドは、商業目的での代理母出産が認められ、 
女性が代理母として報酬を得られる数少ない国の一つなのだ。 
インドで代理母出産にかかる費用は約$25,000(約250万円)。 
うち約$7,000(約70万円)がインドの代理母に渡る。 

インド西部にあるエカンシカ病院は、 
代理母出産の最前線の病院である。 
医院長のネイン医師によると、 
昨年この病院では110件の代理母出産が行われ、 
今年は今のところ何件かわからないが、 
昨年より増えるだろうとのこと。 

今もこの病院では20人以上のインド人の代理母たちが、 
アメリカ人やカナダ人や日本人やヨーロッパ人の「子」を身ごもっている。 
そのうちの一人、まだ29歳のハスメディさんに話を伺った。 
ハスメディさん「若い息子がいるが、夫はもういない。
工場で働いて1月の給料は約$40(4,000円)で、子供を学校に通わせる経済的余裕さえなかった」 
記者「代理母出産は、女性の人権を踏みにじるという意見を言う人もいるが、そのことについてどう思いますか?」 
ハスメディさん「法律を破っているわけでもないし、悪いことではないと思う」 

しかし、5分に1人の割合で出産時に母親が亡くなってしまうというこの国で、 
代理母になることのリスクも計り知れない。 
代理母となるのは、まさに命がけであると言えるかもしれない。 

インドでの代理母出産の人気が高まり、 
その問題も深刻化している事態を見て、 
インド政府もやっと重い腰を上げた。 
代理母出産を規制する法案が起草されたのだ。 
政府は数カ月以内に、法律として可決したいと考えている。 


(BBC News Pod October 14 配信分より) 


代理母出産には勿論大きな利点がある。 
事情があって妊娠できない人も子供を持てる。 
タレントの向井亜紀さんがアメリカで代理母出産を通し、 
双子を授かったのは記憶に新しいところ。 

しかし、問題点も多い。 
インドでは、上記のように、 
女性の人権問題に関わるとの声がある。 
また倫理的な問題もある。 
代理母出産で生まれた子は、 
物心がつくような年齢になって、 
実は自分が代理母出産で生まれたと知ったとき、 
本当のお母さんはどちらなのかと困惑してしまうかもしれない。 
また、これはアメリカで実際にあったことなのだが、 
ある代理母が、自分が生んだ他人の赤ちゃんに強い愛情を持ってしまい、 
もともとの両親に引き渡すことを拒否し、 
裁判にまで発展してしまった。 

日本では、代理母出産は「原則禁止」ということになっているが、 
この先法律等を制定することになるのか、 
動向は注目していきたいところ。 

認めるべきか、認めないべきが。 
代理母出産は答えがなかなか出せない議論の一つであると思います。

ITと脳

Pod Castで聴くワールドニュース7回目。 

前回はイタリアのパソコン教育に関する話題でしたが、 
今回もITに関するネタを見つけました。 

米 NEWSWEEK On Air から。 

ちょっぴり怖い話です。 


‘Your Brain Will Never Be the Same’ 

今や世界で数十億人が使用しているというインターネット。 
このインターネットが私たちの脳の機能を低下させてしまっているという。 
UCLAの脳神経科学者ガリーさんの最近の著書‘i-Brain’で 
このことについて書かれている。 

インターネットがあらゆる情報を手に入れるという複雑な作業を 
私たちの脳に代わってやってくれていることや、 
Face-to-Face Communication(人と直接会って意思疎通を行うこと)を避け、 
他人とのほとんどのコミュニケーションを 
Eメールで簡単に済ませてしまうということなどで、 
脳を複雑に使う機会が減ってしまい、 
脳が情報を処理する能力や、 
即座に決断する能力が低下してしまっているという。 

特にIT技術に長けてている人は、 
他人の顔を認識する能力や、 
ちょっとした身ぶり手振りに気づくという能力まで 
低下している傾向があるという。 

IT技術の恩恵を享受し、かつ、 
社会で暮らしていくためのこれらの能力を失わないようにるすためには、 
インターネット技術に頼りすぎないように気をつけねばならない、 
とガリーさんは警告する。 


(NEWSWEEK On Air  October 12  配信分より) 


私もPC・ネットはしょっちゅう使うので、 
脳の機能が低下してるんじゃ…と心配になりました。 

確かに科学技術の発展で私たちの生活はとってもスマートになりました。 
しかし、その便利さに頼りすぎることで、 
私たちの持つ大切な能力の衰退につながるのは、 
残念ながら事実であると思います。 

PC・ネットであれば上記のような能力を奪い、 
電子レンジなどの便利な調理器具であれば人間が料理をしなくなってしまい、 
車や電車に頼りすぎることは、体力・筋力などの低下を招く。 

「昭和」のような、 
不便だけども人間味や温かさに溢れた生活に回帰するということを 
考えてもいいかもしれないですね。 

イタリアの学校で・・・

POD CASTで聴くワールドニュース6回目。 

financial crunchやeconomic downturnに関する暗いニュースが 
連日のように流される中、 
久々に日本にもGood Newsが飛び込んできました。 
日本人4名がノーベル賞受賞。 
先日のBBCのニュースでも、 
化学賞を受賞された下村さんについての放送がありました。 

ちなみに、イタリアは「ノーベル賞を日本に盗まれた」と訴えているとの報道が… 
今回はそんなイタリアから、教育に関する話題。 


英BBC News Pod より 


‘The experiment of replacing all books with personal computers at schools’ 


イタリアの学校で、 
教科書でなくパソコンを授業教材として使用するという実験が今日から始まる。 
生徒はすべての授業カリキュラムがあらかじめ入れてあるノートパソコンを支給される。 
パソコンが学校教育でどれほど効果があるのか検証するということが 
この実験の目的という。 

ローマのとある小学校。 
今日から60人の5年生の生徒と多数の3年生の生徒が 
パソコンのみを使用して授業に臨む。 
パソコンはWindows仕様で、すべてのカリキュラムがあらかじめ入れてある。 
生徒はあらゆる読み書きをこのパソコンで行う。 
セキュリティ対策は万全で、 
生徒は自由にインターネットにアクセスすることはできない。 
パソコンの重量は1KGもなく、 
1.5Mの高さから落下しても壊れないタフ設計。 
さらに、防水。 

通常、小学校で生徒一人当たりの教科書代は年間約7万円。 
この特殊仕様のパソコンは一台4万円もしない。 

パソコンが学校での教育カリキュラムで、 
どれだけ重要な役割を果たせるのか、 
初めて検証されることとなる。 
保護者の協力の下、この実験は約1年間続けられる。 


(BBC News Pod October 9  配信分より) 


パソコンを教科書代わりに使用するのは、 
コスト削減、紙を使わないから環境にいいなどのメリットが確かにあります。 
しかし、停電になりバッテリーもなくなると使えない、 
書き込みができない(できるようになっているかも?!)、 
さらに、スクリーン画面がぎらぎらしてずっと見続けるのは目にあまりよくない、 
といったデメリットも挙げられるでしょう。 

授業を受けるのは子供たち。 
大人目線だけでなく、授業を受ける子供の目線で 
このようなメリット・デメリットを考慮し、 
適切な教育システムを築いてほしいものですよね。 

実験の結果が楽しみです☆

STARBUCKSの水

POD CASTで聴く世界のNEWS 第5回 

今回はGlobal Coffee Shop ChainであるStarbucksについての話題。 

英BBC Global Newsから。 


'Starbucks is being accused of wasting millions of litters of water everyday' 

世界中に数千もあるというスターバックスの全店舗で、 
毎日水道水を1日中出しっぱなしにしているという。 
会社側によると、これは安全衛生上、必要な措置であるという。 
しかし、環境保護団体はこの状況に対して黙っていない。 

スターバックスは、環境にやさしい企業であるというイメージを浸透させることに努めてきた。 
会社のホームページでは、 
「ごみを減らすための取組やリサイクルの推進で、 
天然資源の保護に努め、生活の質の向上に貢献する」 
と宣言している。 

イギリスのある店舗で、一人のお客が、 
カウンターの後ろで水道水がずっと流れっぱなしになっていることに気づき、 
このことについて会社側に問い合わせた。 
「水道を出しっぱなしにするのは、 
蛇口やシンクや食器洗いの道具に菌が繁殖するのを防ぐためで、 
世界中の店舗でやっていることです」 
とスターバックス側から回答がきた。 

BBCの記者が実際にロンドンのスターバックスのある店舗を訪れた。 
記者「なぜ水道が出っぱなしなんですか?」 
店員さん「スプーンをきれいに保つためですよ」 
記者「でもそれ、水の無駄遣いじゃないですか?」 
店員さん「……あー、確かにそうかもしれないわね」 

調べによると、2千3百万リットルもの水が毎日スタバの店舗で使われているとのこと。 
環境保護団体はこの行為を、 
「貴重な水資源の忌むべき無駄遣い」であるとして、 
止めるよう訴えている。 

スターバックス側によると、 
この行為は商品の健康性・安全性を高いレベルで維持するために必要であるとのこと。 

この水道水政策をやめない限り、お客や環境保護団体からのクレームは続きそうである。 

(BBC Global News October 7  配信分より) 


私もコーヒー飲めないくせにスタバは好きでしょっちゅう利用します。 
ただ、こんな水の無駄遣いをしていたというのは知りませんでした。 

中国の一部の食品会社は手抜き管理・低品質の食料を世界中に輸出し、非難を浴びているところ。 
逆に、管理を徹底させすぎているスタバさんもこんな形でにニュースで流されてしまう。 

食品業界って大変っすね…と思ってしまいました。

韓国のマッサージ師たち

POD CASTで聴くワールドニュース第4回。 

今回は、韓国からマッサージ師の話題。 


英BBC Global News より。 


韓国では、プロのマッサーシ師として働けるのは、blind people (目の不自由な人々)だけであるという。 
しかし、近々彼らのこの「特権」が奪われるかもしれないという。 
この「特権」が、sighted people(普通に目が見える人)にとって「差別である」という声があがっているのだ。 

韓国に住むblind people(目の不自由な人)の中には、盲目となって公務員や会社員などの職を辞めざるを得なくなったという人が多い。 
彼らの多くがこの「特権」を使い、マッサージ師になるという。 
もともと教師をしていたが、盲目となり、マッサージ師となったハンさんは、 
「目が見えなくなって、マッサージ師以外の仕事はできなくなった。 
家族を養い、そして社会の一員としてい続けられるために、 
マッサージ師としての訓練をもっと積んでいきたい。」と話す。 

韓国には約7000人のblind(目の不自由な)マッサージ師がいる。 
しかし、実は、韓国の多くの都市には、目が不自由でない健常者であるのに、 
違法でマッサージ師として働いている人が50万人もいるという。 
彼ら(目の見える、違法マッサージ師たち)が、 
「目の見えない人だけマッサージ師になれるという特権は健常者に対する差別である」として、 
国の憲法裁判所に対して訴訟を起こした。 
訴訟団代表のパクさんはいう。 
「目の不自由な人だけにマッサージ師になれるという特権を与えるべきではない。」 

街頭では、「正当マッサージ師」集団と「違法マッサージ師」集団の対立デモがよく起こり、時にはけが人も出るという。 
韓国の厚生大臣の話によると、経済の急激な発展に伴い、
このような諸問題に対処する法整備が時代の情勢に追いついていないのがこの問題の原因であるという。 

この「特権」が社会の少数の「弱者」に対する「価値のある保護」であるのか、
それとも「不平等社会に対する愛国心ゆえの口実」なのか。 

裁判所の判決は数週間後に下される。 

(BBC Global News  October 4  配信分) 


社会における弱者への過度な保護や支援は、そうでない人々のインセンティブ(やる気)を削いでしまう可能性がある。 
しかし、障害を持って生きるということは、そのようなことを経験したことのない人には想像がつかないほど大変なものであるというのも事実である思う。 
私も高校生の時に、腰に障害を持って歩けなくなり、短期間だが車イス生活を送ったことがある。 
ただ普通に歩くことができ、走ることができるということがどれだけ幸せで恵まれていることかということをその時感じた。 
目が見えないという障害は、これとは比べ物にならないほど重大なことであると思う。 

障害を持つ人もそうでない人も、満足に生きられる社会を作ることを私たちは目指さなければならないですよね。

ガラパゴスの現状

Pod Castで聴こくワールドニュース第3回。 

今回はエクアドルのこの諸島のニュースに惹きつけられました。 
米ABC WORLD NEWS より   今回も南米の話題です。 


'The Challenge to Keep Them Just As They Are' 


ユネスコの世界遺産に世界で初めて登録されたガラパゴス諸島。 
南米エクアドルに属し、「Living Laboratory(生きた実験室)」とも呼ばれる。 
外からの危険にさらされることなく、生き物たちは、独特の生態系を保ってきた。 
ダーウィンが「進化論」を構想するきっかけになったとも言われる場所。 

数百万年前に多くの生き物のがこの諸島にやってきたときは、 
彼らの敵はその自然環境のみであった。 

しかし最近この島に増えている生物−人間−が今、彼らの新たな脅威となっている。 

30年前はガラパゴスにやってくる観光客はせいぜい年1万人ほどだった。 
しかし世界遺産に登録されて以来、その数は年々増え続け、 
昨年は16万1千人。 
多くの観光客が残す大量のゴミによって島の環境が激変してしまっていることに彼らは気づいていない。 

島には下水システムがなく、 
観光客の排泄物はそのまま島や海に垂れ流される、というのはほんの一例。 

ユネスコは昨年このガラパゴス諸島を「the List of Heritage Sites In Danger(危険遺産リスト)」に載せざるを得なくなった。 

政府は、島での人口増加の抑制と観光の規制により、この事態に対応するという。 
政府は84隻の特別許可を与えた船にのみ島への入港を許す。 
さらにすべての観光客は、訓練を受けたベテランの観光ガイドと同行でなければ島での観光を許されない。 

約2世紀前、チャールズ・ダーウィンが初めてこの島に上陸したときと同様、 
さまざまな意味でこの諸島は今も「不思議」である。 


(ABC World News  October 2  配信分より) 


ここでも「人間の経済活動と自然保護の両立は難しい」という言葉が 
当てはまると思う。 
観光産業の発展はその土地の自然や動物の破滅につながってしまう。 

ところで、日本でも今観光産業が脚光を浴びている。 
10月1日、「観光庁」が新たに発足した。
「2020年までに日本にやってくる海外からの旅行者の数を年2000万人にまで増やす(昨年は約830万人)」と本保観光庁長官が決意を述べた。 

エクアドルと同様、日本にも多くの世界遺産がある。 
また、宮城の松島などの日本三景に代表されるように、 
多くの美しい風景がある。 
外からの観光客数を増やす取り組みも必要だが、 
そういった日本の「宝」が破滅に向かわぬための努力も同時に始めなければならないと思う。 

観光産業においても日本が「ガラパゴス化」しないよう、気をつけなければならないと思う。

ブラジルの100人

POD CASTで聴く世界のニュース2回目。 
今回はブラジルのある100人の話。 

英BBC Global Newsより 


ブラジルの環境省が、 
アマゾン熱帯雨林で不法伐採を行い、 
その中でも悪質な100人の名前を公表するとのこと。 

ブラジルでは不法森林伐採者への罰がまだまだ甘いといわれる。 
ブラジル環境大臣が認めたところによると、 
不法森林伐採者のうち、 
告訴されるのは10人にたった1人、 
有罪となるのは200人に1人にも満たないとのこと。 

100人の名前公表に踏み切ったのは、 
世界で最も大きい熱帯雨林であり、かつ、 
不法森林伐採による被害も最も大きいアマゾンでの不法伐採の抑止力とするため。 

(BBC Global News September 30 配信分より) 


熱帯雨林保護の1番の目的は地球温暖化防止。 
温室効果ガスの1つであるCO2を草木が吸収してくれる。 

熱帯雨林の重要性は誰もがも承知しているはず。 
しかし、そこの木を伐採して販売したり、 
焼き畑農業などで生計を立てている人が多くいるというのも事実。 
人間の生産活動と環境保護の両立を図るのは、 
今の時代においてはなかなか難しい。 

ちなみに、最近太陽の燃焼活動が低下していて、 
それに伴い地球に届く太陽熱の温度も下がることが予想されていると聞いたことがあります。 
この状態が続けば地球温暖化も食い止められる?! 
なんていう淡い期待は持たずに、
環境保護に積極的に取り組んでいきたいところです。

ポール 43年前の約束

POD CASTで聴こう世界のニュース第一回。

ビートルズのあのメンバーについてコメントがありました。 

米ABC放送 World Newsより。


「ポールマッカートニーがイスラエルへ」 
'McCartney Pilgrimage' 

もともと1965年にイスラエルでビートルズがライブツアーを開催する予定だったそうですが、
当時のイスラエル政府によりキャンセルされたそうです。 
「イスラエルの若者に悪影響がある」。それが当時の政府からの理由だそうです。 
43年越しの念願がかない、ポールは遂にイスラエルでのライブを敢行。 
集まった4万人の観客の熱狂の声も聞こえました。 
観客の一人は「歴史的なこと。信じられない」と言い、 
ポールは「イスラエルとパレスティナの平和を願う」とコメント。 

(ABC World News  September 25  配信分より)

「ディアスポラ」から二千年以上、 
ナチスによる大虐殺から数十年。 
いまだにユダヤ人国家に「真の安息」「真の平和」は訪れていませんが、 
ポールのように平和を願う人がいる限り、 
ユダヤ人の「真の平和」が必ず将来訪れると信じたいものっすね。