2008年12月7日日曜日

トリュフの問題

Pod Cast聴くワールドニュース第24回。 


以前、トリュフのオークションの話題を書かせていただいたことがありますが、 
今回「トリュフ狩り」を詳しく伝えるリポートを見つけましたので、 
紹介させていただきたいと思います。 


加CBC The World This Weekend より。 


'Diamond Fungus' 


イタリアのタスコニ地方。 
白トリュフのシーズンがやってきた。 
「食の王様」とも言われる白トリュフは、 
地中に育つ「菌類のダイヤモンド」である。 
世界で一番高級な食材の一つ。 
秋から冬にかけてのこの時期、 
世界中から白トリュフを求めて 
このタスコニ地方に「ハンター」が集まる。 
白トリュフを見つけるのは至難の業。 
しかし、年々一層見つけにくくなっているという。 

CBCの記者が取材をした。 

タスコニ地方のある森で 
「トリュフ犬」を連れて白トリュフを探すウルバーノさん。 
68歳の彼は、地元でトリュフハンターのベテランとして知られる。 
トリュフハンター歴48年。 
20歳からやっている。 
ウルバーノさん「祖父が白トリュフのハンターでした。 
父もその影響でハンターとなりました。 
父は私や兄弟にトリュフの話をいつもしていました」 

ウルバーノさんは毎日夜明けの時間から正午まで、 
森に入ってトリュフを探している。 
連れていくトリュフ犬のバッフィーナ君は 
トリュフのにおいをかぎつけるために訓練された犬。 

ウルバーノさん「このトリュフ犬は、 
白トリュフを嗅覚で探し、 
見つけると口にくわえて私の所へ持ってきてくれる。 
一つの白トリュフの大きさはピンポンボールほど。 
とっても優秀なトリュフ犬です」 

ウルバーノさんは、これまで巨大トリュフを見つけた経験がある。 
1984年に700グラムの'monster'トリュフを見つけた。 
その数年後には400グラムの物を発見した。 
ウルバーノさん「巨大白トリュフを見つけた時は、 
神からの贈り物だと感じました。 
それ一つで、一般の労働者の一か月以上の稼ぎになりましたから」 

白トリュフの森から車で少し行ったところにある、 
中世の雰囲気を残す丘の町、サンミニアート。 
ここは、トリュフ市場となっている。 
トリュフ商人のコマ・シャンティさん。 
グラスに入ったトリュフを通行人に売っている。 
小さめのトリュフだと、今年は1kgで約$2,000(約20万円)で 
取引されている。 
発見が難しい大きめのトリュフになると、 
1kg約$3,000。 
これだけの高価な食材。 
いったいどんなお客が買っていくのか。 
トリュフ商人「ほとんどは外国のお客だ。 
中東地域からのお客もいる。 
石油で儲けた『新興成金』のやつらさ」 

しかしそれにしても、 
世界で一番高価なfungus(菌類)であるこの白トリュフの 
魅力は一体何なのか。 
トリュフハンターやその家族で作るある団体のリーダー、 
サルバトーレさんはこう話す。 
「見つけるのが難しいことが何よりの魅力かな。 
特定の場所にしか育たない。 
気候も関係している。 
見つけた時の感激と言ったら、 
言葉では言い表せないさ。 
そういう意味で、トリュフは、美しい女性のようだと言えるかな。 
見たとたんに、恋に落ちる。 
そんな存在さ」 

しかし、そんな白トリュフに、実は大きな問題が訪れようとしている。 
農学者であるグイドさん。 
トリュフの森とその周辺地域の白トリュフの生息状況を 
ここ10年間調べている。 
彼によると、白トリュフの収穫量は 
ここ10年で半分ほどまでに落ちてしまったという。 
土地開発などで、白トリュフの生息できる土地が 
汚染されていることや、 
トリュフハンターの増加等が原因であると彼は推測する。 
農学者グイドさん「10年前、ハンターたちは、 
毎日約500グラムものトリュフを見つけていた。 
しかし、今は、良くて1日50グラム程度、 
ときには全く収穫のない日もある」 

白トリュフには、ある謎がある。 
白トリュフ狩りはここ1世紀ほど行われおり、 
値段も高く人気があるが、 
どういうわけか、シイタケのように培養ができない。 
研究者もこの謎だけは解明できないという。 

トリュフの森が、10年前の状態に戻り、 
再びトリュフにとって生息しやすい環境を取り戻すこと。 
これが白トリュフを見つけ続けられる唯一の道。 
時間と自然の力に頼るしかない。 


(CBC The World This Weekend  December 6 配信分より) 


松茸やトロやカニよりも高価な白トリュフ。 
私は食べたことはありません。 
おいしいんでしょうか。 

環境の変化や乱獲が白トリュフにまで脅威を与えているんですね。 
日本へ入ってくる量も将来的に減ってしまうのでしょうか。 
そういえば、クロマグロも日本人が高く買ってくれるということで 
世界中で乱獲が問題になっており、 
捕獲量が制限され、 
日本への輸入量が減るのではと言われています。 

ミシュラン東京で星の数でパリを上回り、 
名実ともに「食の首都」となった日本。 
しかし、肝心の高級な食材がなければ、 
そんな輝かしい名誉もすぐに消え失せてしまうかもしれない。 
それ以前に、 
日本の食料自給率は40%という危機的な数字がある。 
食糧のほとんどを海外からの輸入に頼っているというのが 
日本の食の現実。 
他国との関係が悪化し、 
食料を売ってくれなくなったら、 
たちまち日本人が餓えてしまいかねない。 

ほんの数十年前までは、 
食料自給率は70%台でした。 
日本の農業を「復活」させ、 
かつてのように国産食材をより気軽に簡単に手に入るようにすること。 
こうして初めて日本が本当の「食の首都」になれるのではないでしょうか。 

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