2012年1月14日土曜日

China’s Railway

シナウェイ

英 the Economist から。

“less express ~ What the country needs is a more efficient network, not faster trains”

シナの鉄道好きがまた熱を帯びているようだ。
昨年のおぞましい高速鉄道脱線転覆事故や過度のコスト無視の経営にもかかわらず、
鉄道関係幹部らは高速鉄道ネットワークの更なる延伸を目指している。
更なる高速化を求め、シナの最大手鉄道車両メーカーは、
時速500km/hの車両を開発したという。

高速鉄道車両は魅力的だ。
政治家たちは自国の高速鉄道車両を見せびらかしたがる。
しかしもっと多くのシナの人々がよりリーズラブルナ価格で行きたいところへ行けるようになるには、
このような高速への投資よりもっと地味な3つのことに注力していかねばならないだろう。
政府独占保有の鉄道会社、シナレールはこの3つ全てを欠いている。

1つ目は安全である。
昨年7月の高速鉄道事故では40人が犠牲となった。
鉄道関係幹部らは証拠隠滅に躍起になったが、
それがかえってシナ国内のネット上で国民から反感を食らう数えきれない書き込みを誘発することとなった。
政府びいきのメディアでさ1982え、“development had become stained with blood(技術の発展が血で汚された)”、と報じた。
この事故の結果、シナ政府は人的ミスや自国技術システムの不備等を認め、
50人の鉄道関係幹部の処分を決定したが、まだまだ徹底的な改革が必要であろう。

2つめが、ないがしろにされてきたIT技術だ。
シナレールの新たなオンラインチケット販売システムが稼働するや否や、
混乱が起きた。
シナの新年休暇に当たるこの時期、
チケットに対する需要は想定通りの28億人ぶんであったが、
かつて、この時期に列車を利用する人々は、夜通しチケット売り場に並びやっとの思いで手に入れていた。
しかしオンラインでチケットを手に入れられるシステムができたにもかかわらず、
実際にチケットを予約できたのか確認するのに数時間もかかり、客はうんざりしていたという。

3つ目は運賃である。
シナの鉄道運賃は他国に例を見ないほど規制が厳しい。
これは、シナレールがかつてから鉄道だけでなく、交通機関すべてに関して独占的に占領してきた経緯による。
しかし、世界銀行の報告書では、このような規制はもはや不必要と報じている。
シナでは鉄道より道路での移動のほうがずっとマシ、また最近利用客の増えている航空機にも押され気味であるという。
平均的なシナ民の給与は昭和57年に比べると10倍ほどになった。
運賃の自由化は、利用客のサービス向上につながるであろう。
欧州では例えば、事前予約者に大幅な割引を与えたり、
閑散期旅行者により安く座席を提供するなど、自由化された運賃体系がある。
航空業界ではもっと古くから行っていたが。

まとめると、シナ政府はどのように鉄道に金を使うかをもっと効率的に考えなければならないということだ。
あまり大きな記事で書かれはしなかったが、
政府寄りの新聞、シナデイリーが報じたところによると、
平成24年度の政府の鉄道投資額は$64billion(約5兆円)に減額される―平成22年比で44%減となる―という。
この予算を高速化などではなくより良い鉄道ネットワーク構築に投資できるのなら、
シナ民も納得するサービスレベルの鉄道となるのであろうが。

(the Economist January 7 print edition )

2012年1月8日日曜日

ギリシアの子供たち

平成24年一発目です。

欧州危機に関する暗い話題。
英国BBCからのPod Cast。

“Abandoned Children in Greece”

金融危機にあえぐギリシア。
今この国は更なる危機を迎えようとしている。
親が子供を手放さなければならないという危機だ。
BBCの記者が首都アテネで取材した。

幼児たちがギボアドスのある施設で遊んでいる。
幼稚園ではない。
ここは「親を奪われた子供たち」の集まるセンターなのである。
その中の子に2歳のナターシャちゃんがいる。
彼女はプラスチック製のサキソフォーンを得意げに吹いている。
2週間前、彼女の母親はこの施設にやってきた。
仕事もなく、ホームレス状態であった。
数時間後、母親は娘のナターシャを残し、消え去った。

この施設の神父、アントニオ氏は、ここ2カ月で4人もの子供が個々の施設に置き去りにされたという。
中には、生まれて数日の新生児までいたという。
これからそのように置き去りにされる子供の数は今後一層増えると彼は付け加える。
神父アントニオ「昨年は数百人もの子を持つ親がこの施設を訪れ、
子供を預かってほしいと申し出た。
彼らは子供のためのお金も住む場所も食料もなく、
この施設で子供のためにそういったものを賄ってほしいと言っていた」

このような親たちは、政府から援助を受け、子を手放さないようアドバイスを受けている。
しかし、一部の親にとっては、経済状況は逼迫していてどうにもならないという。

8歳のアナスタシアちゃん。
彼女は母親のマリアのそばでピアノを弾いている。
彼ら親子は月に一度のみ会っている。
母親マリアの収入の低さの故、
娘のアナスタシアを「こどもSOS村」というチャリティ施設に預ける他なくなったのである。
マリアにとってこの決断はすんなりできたものではなかった。
マリア「毎日夜が来るたび、私はひとり家で涙を流しています。
娘を預けるなんて心が張り裂けるようなこと。
でもこうするほかなかったの。
教会からの賄いの食糧で何とか生き延びる生活だったの。
今はカフェでの仕事にありついたけど、1日の収入は20€(約二千円)。
私はこの収入でも暮らしていける、でも子供に貧困の暮らしをさせたくないんです」

SOS村のスタッフが、アナスタシアちゃんなど預けられた子供のいる施設の部屋を案内してくれた。
取材に来た記者に見せられるほどきれいな部屋であった。
また、取材はクリスマスの時期。
子供たちはクリスマスプレゼントを手に顔をほころばせていた。
ただ、スタッフは言う。
子供にとって親と一緒に暮らすことほど幸せなことはないと。
スタッフ「本当は子を預ってほしいという親から子を預かりたくない。
しかし、今の経済状況からするとしょうがない。
親がきちんとした仕事を見つけてくれるのを願うのみだ」

場所が変わり、ここはスマイルオブチャイルドという子供保護施設。
ここもdesperate(絶望した)親から多くの子を預かっている。
スタッフは話す。
「親たちが子を残していくときの心の苦しさというのは想像を絶する。
しかし、今彼らにはそうするしかない。
この前も双子を連れた親が来た。
彼ら家族は食糧がなく、飢える寸前だった。
これが第3世界で起こっていることならまだ納得できる。
しかし、これはここギリシアで起こっていること。
本当に信じられない。
政府がこの問題を解決する策を早く施行しないといけない」

今のギリシアの福祉システムはこのような問題に対処できるだけの余裕がない。
更に悪いことに、このような子を預かる施設の免税措置がなくなるかもしれないという段階にまで来てしまっているという。
上記の施設のスタッフは、今年政府に160000€(百六十万円)の税金を払うことになる可能性があると話す。
百六十万円分、貧困に苦しむ家族を救えなくなるということだ。

この事態が政府により解決されない限り、
子を施設に預ける子は増え続け、施設も預かる余裕がなくなっていくという状況は続いていく。

(BBC Global News 1月7日配信分より)

古代の哲学や天文学、文学や数学など人類の後の知の遺産となるあらゆる基礎を作った国、
現在も観光等で世界中の人々を魅了してやまないはずの国であるギリシアが
このような状況にあえいでいるというのは、
俄かに信じがたいことです。
欧州危機がヨーロッパをここまで蝕んでいるんですね・・・
このギリシアの状況に私たちも目をそらさず見つめ、
日本が同じ轍を踏まないよう今から対策を練り実行していく覚悟を持つ必要があると思います。