2008年10月29日水曜日

インドの「母」たち

PodCastで聴く世界のニュース第8回。 

今回はインドから、代理母出産についての話題。 

代理母出産については日本でも物議を醸したことがあります。 
インドでは日本と全く状況が異なりますが、やはり問題は深刻のようです。 


英BBC News Pod より 

‘Surrogacy in India’ 

インドへ向かうまだ子を持たない夫婦の数が増加傾向にあるという。 
その目的は、surrogate mother(代理母)を見つけるため。 
インドではsurrogate birth(代理母出産)に関する法律や規制がなく、 
代理母出産は数億円規模の市場となっているという。 

「この子の笑顔を見るだけで幸せな気持ちになるよ」 
ニッキーさんとボビーさん夫婦は、 
まだ赤ちゃんである娘、デイジーちゃんを見て言う。 
彼らは、デイジーちゃんの親となるまで、 
14年もかかった。 
デイジーちゃんは、 
今住んでいるロンドンから数千キロも離れた、 
インド・ボンベイのとある病院で生まれた。 
この夫婦の受精卵は、彼らが見たことも会ったこともない、 
あるインド人の女性の子宮へと移された。 
最終的にそのインド人の女性がデイジーちゃんを出産したのである。 

インドは、商業目的での代理母出産が認められ、 
女性が代理母として報酬を得られる数少ない国の一つなのだ。 
インドで代理母出産にかかる費用は約$25,000(約250万円)。 
うち約$7,000(約70万円)がインドの代理母に渡る。 

インド西部にあるエカンシカ病院は、 
代理母出産の最前線の病院である。 
医院長のネイン医師によると、 
昨年この病院では110件の代理母出産が行われ、 
今年は今のところ何件かわからないが、 
昨年より増えるだろうとのこと。 

今もこの病院では20人以上のインド人の代理母たちが、 
アメリカ人やカナダ人や日本人やヨーロッパ人の「子」を身ごもっている。 
そのうちの一人、まだ29歳のハスメディさんに話を伺った。 
ハスメディさん「若い息子がいるが、夫はもういない。
工場で働いて1月の給料は約$40(4,000円)で、子供を学校に通わせる経済的余裕さえなかった」 
記者「代理母出産は、女性の人権を踏みにじるという意見を言う人もいるが、そのことについてどう思いますか?」 
ハスメディさん「法律を破っているわけでもないし、悪いことではないと思う」 

しかし、5分に1人の割合で出産時に母親が亡くなってしまうというこの国で、 
代理母になることのリスクも計り知れない。 
代理母となるのは、まさに命がけであると言えるかもしれない。 

インドでの代理母出産の人気が高まり、 
その問題も深刻化している事態を見て、 
インド政府もやっと重い腰を上げた。 
代理母出産を規制する法案が起草されたのだ。 
政府は数カ月以内に、法律として可決したいと考えている。 


(BBC News Pod October 14 配信分より) 


代理母出産には勿論大きな利点がある。 
事情があって妊娠できない人も子供を持てる。 
タレントの向井亜紀さんがアメリカで代理母出産を通し、 
双子を授かったのは記憶に新しいところ。 

しかし、問題点も多い。 
インドでは、上記のように、 
女性の人権問題に関わるとの声がある。 
また倫理的な問題もある。 
代理母出産で生まれた子は、 
物心がつくような年齢になって、 
実は自分が代理母出産で生まれたと知ったとき、 
本当のお母さんはどちらなのかと困惑してしまうかもしれない。 
また、これはアメリカで実際にあったことなのだが、 
ある代理母が、自分が生んだ他人の赤ちゃんに強い愛情を持ってしまい、 
もともとの両親に引き渡すことを拒否し、 
裁判にまで発展してしまった。 

日本では、代理母出産は「原則禁止」ということになっているが、 
この先法律等を制定することになるのか、 
動向は注目していきたいところ。 

認めるべきか、認めないべきが。 
代理母出産は答えがなかなか出せない議論の一つであると思います。

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