2008年11月10日月曜日

ブータンの戴冠式

Pod Castで聴く世界のニュース第15回。

今回はブータンから、戴冠式のニュース!! 

英BBC Global News/From Our Own Correspondentから 

'The Coronation of A New King in Bhutan' 

ヒマラヤの小さな王国、ブータン。 
人口は700,000人にも満たない。 
新たな王の戴冠式のため、数日間の国家行事を開催する。 
世界でも有数の「知名度の低い」国であり、古くからの伝統を強く保つ国。 
モダンな民主国家とはずっと距離を置いてきた。 
テレビの放送が始まったのはほんの10年前。 
ブータンへでは海外からの旅行者もあまり歓迎されず、 
さらに、旅行者は民族衣装を着て旅をすることを強要される。 

しかし、この新たな王の戴冠式を機に、 
世界がこの国の近代化と民主化への移行に注目している。 
ブータンは「変化」が必要であると感じ始めているようだ。 

BBCの記者が首都ティンプーで取材した。 

首都ティンプーにある要塞のような修道院。 
僧侶たちが、仏教音楽を奏でている。 
その庭には、巨大なタペストリーが敷かれている。 
赤や青に衣装に身を包んだ踊り子たちが近くの山々から集められた。 
19世紀の戦士の格好をした男たちのパレードもある。 
新たな王が金や銀の鞍をつけた馬、その他の財宝とともに登場した。 
内外のVIPたちが新王への敬意を示す。 
修道院の広場には2万人もの人々が集まった。 
ティンプーの人口の5分の1に層とする数である。 

集まった観衆のうちの一人の男性に聞いてみた。 
記者「ブータンで王制を続ける重要性はあると思いますか?」 
男性「この国の主権を維持し、文化を伝え、伝統的な服装を重視するために、 
王制は必要であると思う」 

ブータンの王制は比較的国民の支持を得ており、かつ、うまく機能している。 
新たに王になる人の父、つまり前の王は、意図的に地位を退いた。 
彼がまだ在位中、国の政治をより発展させる目的で、 
2党制を導入した。 
国の民主化への道を狙ってだ。 
2党制であると、党間の競争が生まれ、 
政治家がより国民のことを考えて国政を行うようになる。 
アメリカがいい例だ。 
前王は、ブータンに近代化・民主化が必要であると感じていたのだ。 
彼の息子である新王も同じ考えの持ち主である。 

首相であるティンリーさんは、 
ブータンの多くの国民は民主化は必要ないと感じているということを打ち明けてくれた。 
ティンリーさん「民主政治は時に社会的不安を引き起こし、 
国民にとって不利益となる。 
王制であり、王がいるということが、多くのブータンの国民にとって、 
精神的な安定につながるのです。」 

このような国民の声もあるが、 
これまで、様々な「変化」がもたらされてきた。 
外相のチェリンさんは言う。 
「ブータンは進歩的な国であると思う。 
ブータンは南方アジアの国で唯一、 
英語を公用語として広めている国です。 
優秀な学生は海外の大学に留学させています。 
政府の役人も、教養の高い人ばかりです。 
イギリスのように医療も無料なんです。 
ブータンは、開かれた、自由な国であるという認識を 
もっと多くの人に持ってほしいと思います」 

イタリア人の学者であり、ブータンによく訪れるというガンドーフォさん。 
ブータンの「変化」に賛同しつつも、 
その変化の速さに戸惑いを隠せないという。 
ガンドーフォさん「この国を訪れるたびに、 
必ず何かが変わっている。 
テレビが登場したり新聞が出回っていたりラジオ局ができていたり。 
新しい党を結成することもできるようになった。 
ほんの数カ月で次々と大きな変化があるんです」 

世界で一番変化が速いと言えるかもしれないここブータン。 
伝統を守りながら今の時代に合った体制を順調に作り出すことができるのか。 
豪華な戴冠式に浮かれることなく、 
「変化」への礎作りへと素早く取り組まなければならない。 


(BBC Global News / From Our Own Correspondent November 7・8 配信分より) 


ブータンという国がどんな国であるか、 
このPOD CASTの放送で初めて知りました。 
変化が速すぎるということの弊害は、 
もちろんあるでしょう。 
日本がそうではないでしょうか。 
敗戦後、焼け野原であった国が、 
欧米のさまざまなシステムを取り入れ、 
奇跡とも言われた底力であっという間に世界第二位の経済大国になった。 
しかし、その過程では、深刻な環境破壊や公害があったり、 
バブルによる長期の不景気があったり。 

ブータンの方々には、ぜひ日本の例を参考にしてもらって、 
失敗のより少ない「変化」に取り組んでいただければと思います。 

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