2009年1月30日金曜日

廃棄電化製品はどこへ・・・

Pod Cast ワールドニュース 第36回。 


あるアメリカ人がクローン犬ペットを1350万円で買ったというニュースが 
日本でも取り上げられていました。
イギリスBBCでもこのニュースが取り上げられ、 
1350万円支払い、愛犬のクローンを 
手に入れたという夫妻へのインタビューを聴くことができました。 
クローン犬を手に入れたことをうれしそうに話していましたが・・・ 

私も子供のころ何匹も鳥を飼って何度もお別れしましたが、 
このような経験を通して、 
死を受け入れることの覚悟を身につけることができたと思っています。 
しかし、クローン技術でペットをまた手に入れるということが普通になってしまえば、 
死を受け入れる覚悟のない人間になってしまうのではないかと思ってしまいます。 
しかも、ペットの生の威厳もおかまいなし。 
彼ら夫婦が満たされるために、 
自分たちの欲望のために愛犬のクローンを作らせたようなものでしょう。 

マテリアティズム精神を基盤とするアメリカ人は、 
そんなことお構いなしで、 
お金で解決できるのならそれでいいと思っているのでしょうが・・・ 

ちなみに、この夫妻へのインタビューの終盤で、 
BBCのリポーターが「世界では毎年何十万匹という犬が殺されている、 
そのような犬を保護する団体へ1350万円を寄付しようとは 
思わなかったのですか?」 
と尋ねていました。 
しきたりや伝統を重んじ、 
穏やかな心でいることを願うという英国人。 
このBBCのリポーターの辛らつな質問には、 
科学技術の恩恵と金に物を言わせるこのアメリカ人夫婦への 
侮辱が込められていたような気がしてなりません。。。 

前段が長くなってしまいました。 

今回は、ガーナに潜むある危険の話題。 


加CBC The World This Weekend より。 


‘The First World's Electronic Garbage’ 


インドや中国のように、 
アフリカの一部の国は、 
コンピュータや携帯電話など、 
使用済み電化製品の「処分場」となっている。 
そのような廃棄家電から再生可能な部品や資源を取り出すことは、 
非常にlucrative(儲かる)であるが、 
同時に非常に危険な作業である。 
アフリカの一国、ガーナでは、 
子供たちが命と引き換えにこの危険な作業に従事している。 

ガーナでCBCの記者が取材した。 

ここはがらくた製品の集まる、バブロシというところ。 
公には、ここはがらくた市場ということになっている。 
しかし、私の目で判断するからにして、 
ここは「市場」とは言えない。 
それは、ここでは毎日2つのものが消えているからだ。 
1つは、コンピュータ。 
そしてもう1つは、ここで働く子供たちの未来だ。 

いま、2人の子供がハンマーを使って 
コンピュータのモニターをばらばらにする作業をしている。 
彼らはこの中から、 
売ることのできる銅線や様々な貴金属を探す。 
そして、彼らのように貴重な部品を取り出そうと作業をする子供は、 
他に数百人もいる。 
コンピュータの中には、危険な化学物質が多く含まれる。 
子どもたちは、この危険な取り出し作業を素手でやっている。 
部品を取り出し、火にかけ、溶けだした貴金属を売る。 
火は、ステレオフォンや車のタイヤを燃やして起こしている。 
有毒な黒い煙が舞い上がる。 

14歳のアブコリン君。 
ここで3年間働いている。 
彼は自分が持ってきたパソコンの部品が燃えるのを待っている。 
彼の小さな体は煙の灰と泥で覆われている。 
右耳の後部の皮膚は湿疹が出ている。 
また、喉にも異変の兆候があるという。 

数ヶ月前、環境保護団体グリーンピースが、 
この土地や付近の潟の土のサンプルを調査した。 
基準の百倍以上もの値の鉛が検出された。 
その他、発がん物質であるダイオキシンなど、 
多くの有害物質が検出されたという。 
こんな場所で多くの子供たちが働いているのだ。 

ガーナの子供たちのこのような実態は、 
すでに有名になっている。 
環境保護庁のジョセフさんは言う。 
ジョセフさん「我々はこのような事態を把握している。 
廃棄されたコンピュータが危険であるということも十分認識している。 
これらが適切に処分されないと、 
ガーナに深刻な影響を及ぼす」 

グリーン地球団体の代表、ジョージ・ハドヒーさん。 
彼はこの土地の浄化の必要性を長年訴えてきた。 
彼は、この土地の汚染の原因を把握している。 
近くの港に船に乗せられて世界中からやってくる、 
ガーナにとって必要のない廃棄処分のコンピュータやテレビである。 
これらはリサイクルされ再び売られるためにやってくるのだが、 
多くはガーナで行き場を失う。 
そして、アブコリン君が働くような、 
有害がらくた市場が出来上がってしまうのだという。 

ここで働く別の男の子、 
バシヤー君の住む村へ連れて行ってもらった。 
そこは有害がらくた市場のすぐ裏、 
filthy(不潔な)でunsafe(危険な)場所。 
彼のほかに約3万人が住む。 
バシヤー君は一人暮らし。 
家の床は新聞紙が敷き詰められ、 
天井は段ボール。 
バシヤー君は遠くに住む両親をいつも恋しがっている。 
両親と一緒に住めるよう、 
家を建てたいと考えているが、 
有害がらくた市場での稼ぎではそんなことは到底かないそうにもないと言う。 
彼の稼ぎは1日約$10(約900円)。 
しかし、他の仕事に従事するガーナの人々の稼ぎは1日約$2。 
これに比べればまだバシーヤ君は良いほうだという。 
そしてこのベターな儲けゆえに、 
社会的な問題も環境破壊の問題もはらむこのがらくた市場を 
潰してしまおうという動きがないのである。 

ガーナ政府が何もしないならと、 
欧米諸国が動き出している。 
昨秋、英国の調査機関は、 
政府が不法にガーナに産業廃棄物を輸送していないか 
調査を始めることになった。 
カナダでは、毎年15万トンもの廃棄電化製品が出る。 
カナダ政府は、このような廃棄物を船で 
ガーナに送らないと約束する条約を 
国際機関と結んだ。 
しかし、これらの努力だけでは、 
廃棄テレビや廃棄コンピュータ、廃棄携帯電話の 
アフリカへの流入を防ぎきることはできない。 
そしてこれらはガーナの土壌を汚染し、 
欧米からの廃棄電化製品の中に埋もれて働く子供を 
今日も増やしている。 


(CBC The World This Weekend January 26 配信分より) 


この話を聞いて、 
2011年に地上デジタル対応のテレビでないと 
番組が見られらくなる、 
そのために日本で地上デジタル対応テレビの 
買い替え需要が進んでいるということを思い出しました。 
毎年大量の地上デジタル非対応のテレビが、 
まだ使えるにもかかわらず処分されていると言います。 
もしかしたら日本からもテレビがガーナに送られているかもしれないと思うと、 
心が痛みます。。。 

ちなみに、うちはまだ地上デジタル非対応の 
ブラウン管TV(14インチ)。 
壊れるまで使い続けようと考えております… 

2009年1月27日火曜日

お金

pOD Castで聴くワールドニュース第35回。 


今日は無印で買った本棚が届いたので、 
組み立てて整理してたら23時近くまでかかってしまいました… 


で、今回は、あるMonk(僧侶・修道僧)の話題です。 
もともと証券マンであったのがこの人が、 
何故修道院の僧侶となったのか? 


加CBC The World This Weekend より。 


‘Giving Up The Quest For Money’ 


フランスのマルセイユに、 
あるMonk(修道僧)がいる。 
彼は、もともとアメリカで働く証券マンだった。 
しかし、あるときトレイダーとしての道を捨て、 
修道僧になり、 
同志とともに貧困層の子供に勉強を教えるという生活に励んでいる・・・。 

CBCの記者がマルセイユで彼のことを取材をした。 

マルセイユのある細い道の一角にある小さな建物。 
壁は薄く、近所の子供のはしゃぎ声なども 
屋内まで響き渡る。 
ここで、今、夕方の祈りの儀式が行われている。 
仲間の僧侶とともにミサをうたう男性の名は、 
ヘンリー・クインソン。 
40を過ぎたくらいのアメリカ人である彼は、 
20年前は、若く、やり手の証券マンであった。 
しかし突然その生活に終止符を打ち、 
マルセイユの質素な修道僧となった。 

ヘンリーさん「私はかつて、 
証券会社のトレイダーとして働いていました。 
当時は、あっという間に使いきれないほどのお金を稼ぎました。 
とても裕福だったと思います。 
28歳の時には、大手のメリルリンチ証券から、 
ヘッドハンティングのオファーがきたこともあります。 
しかし、当時実は私は自分の生き方に何か違和感を感じていました。 
メリルリンチからのオファーを断るどころか、 
そのとき勤めていた証券会社も辞めてしまったのです」 

証券会社を辞めた彼は、 
アメリカをも去り、 
なにも求めないという生活を求め、 
フランスのアルプスのふもとにある修道院で、 
僧侶としての生活を始めた。 
しかし、その修道院での生活は、 
彼には合わないように感じた。 

ヘンリーさん「修道院で、普通の僧侶として生活することに 
意義があると思っていたが、 
実際やってみてあまりそうは感じなかった。 
当時、マルセイユでろくに教育も受けられない 
子供が多くいると聞き、そこで何かできるのではないかと思った。 
行ったこともない、誰も知っている人もいないマルセイユで、 
地中海南部の地方からやってくる子供たちの 
就業の手助けをしようと思ったんだ」 

コマという名前の男の子。 
彼は今、へんりーさんから読み書きを教えてもらっている。 
毎日放課後、ここマルセイユのヘンリーさんの修道院には、 
貧困街、特にイスラム教徒の多い地区から、 
コマ君をはじめ、多くの子供たちがやってくる。 
学校の勉強についていけず、 
さらに学校以外で教育の機会のない彼らに、 
ヘンリーさんの他、何人かの僧侶が、 
勉強を教えているのだ。 

ヘンリーさん「かつて、証券マンとして、 
パリのある高級マンションに住んでいたことがあります。 
パリの中でも、特にお洒落で、高級な地区でした。 
よくシャンゼリア通りに行って派手に買い物もしていました。 
しかし、そこに住んでいた4年間、 
1つだけなかったものがありました。 
それは、近所の人たちからの『ハロー』という言葉。 
近隣住民から、4年間1度も挨拶をしてもらったことがなかったのです。 
しかし、今このぼろい修道院にいて、 
誰もが私に気軽に『ハロー』と声をかけてくれる。 
今に比べ、もちろん当時のほうが、 
生活は金銭的に余裕がありました。 
一生かけても使いきれないほどのお金を稼いでいて、 
週末には何に使おうかと悩むほどでした。 
今はお金はありません。 
当時稼いだお金は、 
すべて様々なNPO(非営利団体)に寄付しましたから」 

彼に今の金融危機についてどう思うか聞いてみた。 
ヘンリーさん「この金融危機は、 
お金は役立つものであると私たちに教えているような気がします。 
お金をどう使うかが重要であるということです。 
ただ自分だけお金を儲けて、 
リッチになればいいという話ではないと思います。 
お金を、環境保護のために使う、 
将来の世代のために我々ができることに使う、 
人類の生命のために使う。 
自己主義を捨てることで、 
お金は我々の希望の星となりうる。 
そんなことを今の金融危機が我々に語っているような気がします」 


(CBC The World This Weekend January 26 配信分より) 


以前、アメリカの大富豪が、 
お金を手に入れることだけを狂ったように追い求め、 
ついには「誰かにこの資産を盗られるんじゃないか」と妄想が起こり、 
精神科にかかるまでおかしくなったという話を聞いたことがあります。 
彼は、精神科の医師に、 
慈善活動をするよう勧められて実行し、 
他人の幸福のためにお金を使うことに意義を見出し、 
ようやく精神面での安定を取り戻したそうです。 

ただお金を追い求める。 
数字を追い求める。 
こんなアメリカスタイルの思想が 
グローバライゼーションともに、 
世界中に広まってしまいました。 
しかし、使いきれないほどのお金を稼ぐということに、 
何の意味があるのかと思ってしまいます。 
特に我々日本人は、 
お金は賤しいという考えを持つ人が多いそうで、 
かつてのむらか○氏のように、 
「お金をもけることの何が悪いんですか?」 
といった考え方に反発を持つ。 

アメリカ一国主義も崩れかけているということで、 
アメリカ的価値観を捨て、 
「お金は賤しい」という我々日本人の昔から持つ価値観をルネサンスさせることで、 
閉塞感漂う今の時代に、 
新たな道筋が見えてくるんじゃないかと、 
このPOd CasTの配信を聴いてさらに深く感じました。

2009年1月23日金曜日

$100の人身売買

pod castで聴くワールドニュース第34回。 


今回はある人身売買に関する話題。 

英BBC Global Newsより。 


‘Human Trafficking’ 


中央アジアのタジキスタン共和国。 
ソビエト連邦から独立した国のうち、 
経済的に最も貧しいとされる。 
ここでは、自分の赤ん坊を「売る」母親の数が増えているという。 
そのprice tag(値段)は、$100(約9,000円)・・・。 

BBCの記者がタジキスタンの首都、 
ドゥシャンベイで取材した。 

50歳のマハ・ブーバさん。 
彼女には4人の息子がいる。 
しかし、彼女はずっと娘がほしかった。 
だから、女の子の赤ちゃんを「買った」のである。 

ブーバさん「私にこの女の子の赤ちゃんを売った女性は、 
5人の子供がいました。 
彼女の夫は彼女を置いて去ってしまい、 
新たに生まれたこの子を育てる余裕がなかったそうです。 
彼女に私は$100(約9,000円)払いました。 

赤ちゃんを「売買」するというのは、 
タジキスタンでは一般的であるという。 
「売られる」赤ちゃんの多くは、非嫡出の子であるという。 
保守的なここタジキスタンでは、非嫡出の子を持つことは、 
恥と考えられている。 

非嫡出の場合、母親は、出産の数日後に、 
病院に自分の赤ちゃんを置いていくという。 
そして、赤ちゃんの運命は病院に委ねられる。 

ある病院の看護婦は言う。 
看護婦「母親が出産で死産だった際、 
医師は他の病院から『置き去り』にされた赤ちゃんを 
探してくる。 
その母親の助けになりたい一心なんです」 

しかし、このような善意の行為も、 
ここタジキスタンでは違法とみなされる。 
このように身寄りのない赤ちゃんのtrafficking(人身売買)は、 
捕まれば8年もの禁固刑となる。 
このような人身売買での検挙はこれまで30件あったが、 
実際はこの数倍の「身寄りのない」赤ちゃんの人身売買があると言われている。 

人身売買に詳しいブレギーモフさんはこう話す。 
ブレギーモフさん「タジキスタンで赤ちゃんの売買が今でも残っているのには、 
いくつかの理由がある。 
赤ちゃんを『買う』のは、通常子供のいない夫婦。 
合法的に孤児をもらうのには、非常に煩雑な手続きが必要で、 
赤ちゃんを『買う』という容易な手段に出てしまう。 
また、極端な貧困のため、 
母親が自分の赤ちゃんを『売る』しかないというケースもある。 
仕事にありつけなかったり、 
仕事があっても賃金が低すぎたりするためだ」 

今、私(記者)の目の前である母親が赤ちゃんに子守唄を唄っている。 
このように、自分の赤ちゃんに子守唄を唄うという 
当たり前のこともしてやれない女性が 
タジキスタンには多くいる。 
経済状況と社会的な圧力により、 
赤ちゃんを『売る』ということをせざるをえない女性がたくさんいるということである。 
また、孤児をもらうにも、長く複雑な手続きが要る。 
これらの状況が改善されない限り、赤ちゃんを『買う』夫婦は消えないであろう。 


(BBC Global News January 23  配信分より) 


悲しくて暗い話ですね… 
次回はもっと明るい話題を探してみようと思います。 

2009年1月19日月曜日

サウジのショッピングモール

Pod Castで聴くワールドニュース第33回。 

以前サウジアラビアでの女性のボイコット運動に関する話題をお伝えしました。 
今回またサウジアラビアで女性運動に関する報道がありましたので、 
書かせていただきたいと思います。 


英BBC Business Dairyから。 


‘Women Only Shopping Malls’ 


サウジアラビアでは、 
女性は車を運転することが許されておらず、 
働く許可を得ることさえも難しいというのが現状である。 
このような中、「女性だけの」ショッピングモールなるものが登場した。 
「女性だけ」とはどういう意味か? 
そして、このショッピングモールの目的とは? 

BBCの記者が首都リアドで取材をした。 

私は今バーリースドミールモールにいる。 
これは、一見、 
他のどの地域にもあるような普通のショッピングモールである。 
様々なテナントが入っており、 
キオスクもある。 
商品はお客にアピールしやすいよう、 
きれいに陳列されている。 
多くのお客が、 
一人やグループやあるいは子供連れで 
このショッピングモールにやってきている。 
しかし、ここで数分も過ごすと、 
ある変わったことに気づくはずだ。 
このショッピングモールにいる全ての人は女性である。 
男性は一人もいない。 
お客もスタッフも全員女性なのだ。 
入店時にカバンの中身をチェックする警備員まで女性だ。 

このモールの建物には、 
窓が一切ない。 
これは、サウジアラビアの女性が、 
外出するさいは男性に見られないよう、 
目の部分以外はすべて装束で 
常に覆っておかなければならないという規則から逃れ、 
モールの中で自由な身なりで 
ショッピングを楽しめるようにするためである。 
しかし、このショッピングモールが作られたのは、 
このように女性が気軽に買い物を楽しめるためだけではない。 
真の目的は、より多くのサウジアラビアの女性が 
働けるようにするためである。 

「私がこのショッピングモールにお店を出して、 
3年になります。 
妹とアクセサリーやベルトなどを売っています。 
もともと、これらのものを、家で売っていました。 
しかし、今はこのようなモールで売ることができるようになりました」 
こう話すのは、3人の母であるサラームさん。 
このモールでお店を持つようになって、 
彼女の収入は劇的に増えたという。 
サラームさん「以前は月に5万ほどの稼ぎでしたが、 
今はその2倍。 
夫より収入が上になりました(笑)。」 

サウジアラビアの就職率は、実は危機的な状況だ。 
男性の失業率は30%。 
(日本は現在4%前後) 
女性の統計ははっきりしたものはないが、 
失業率は20%以上といわれている。 
この状況を打破するために、 
サウジアラビアのある有力企業が、 
取り組みを始めたのだ。 
サウジアラビアの若者に職業訓練を施すサービスや、 
起業のための資金を低金利で融資するサービスを始めたのである。 
この有力企業のある幹部に話を伺った。 
ある幹部「職業訓練サービスは2004年に始め、 
これまでに16000人以上のサウジアラビアの男女が職に就いた。 
特に女性の就労に大きな変化が見られるようになった。 
毎朝出勤のために家を出て、 
夜に帰宅するという女性の姿を見ることが多くなった。 
このように働いて成功している女性を見て、 
他の女性も就労に興味を持つようになり、 
このような循環で、 
女性の就労率が大幅にあがったのです」 

これまで、 
サウジアラビアの女性の就労には 
古くからの法律による厳しい制限があった。 
女性の職業といえば、例えば、 
保母さんや介護職など。 
この女性限定モールの出現で、 
女性が小売産業に進出できるようになったというのは、 
サウジアラビアの女性にとって画期的なことである。 
このような女性限定モールは今後20店も建設計画があるという。 
サウジアラビアの女性のライフスタイルが徐々にではあるが確実に 
向上しているということだと言えるであろう。 


(BBC Business Dairy January 16 配信分より) 


客もスタッフもすべて女性だけのショッピングモール。 
なかなか真似は難しいことかもしれませんが、 
女性の就業力に頼るという点では、 
日本も見習うべきところではないかと思います。 

日本の政治家の皆さんにも、 
このような海外の例を参考にして新たな発想を取り入れて、 
更なる雇用創出に尽力していただきたいものだと思います。 


2009年1月14日水曜日

タクシー

Pod Cast で聴くワールドニュース第32回。 

今回はキューバの規制緩和の話題。 


英BBC Global Newsから。 


‘Deregulation in Cuba’ 


キューバ政府が、約10年ぶりに、 
タクシー営業に関する規制緩和を行った。 
タクシードライバーに自由に運賃設定ができる 
許可を与えたのである。 
キューバの現在のトップであるラウル・カストロの経済改革の一策として。 

BBCの記者が現地で取材をした。 

キューバの首都ハバナの道路事情が変わろうとしている。 
約10年ぶりに、タクシードライバーたちが、 
自由に営業をし、自由に運賃設定を行える許可を与えられたのである。 
かつて、政府に経営権を握られていたキューバのタクシー業界。 
1990年代に規制緩和により、 
一時的にこの業界でも自由度が高まった。 
しかし、前の議長、フィデル・カストロが再び規制強化へと走ったのである。 
このため、無許可のタクシーが横行するようになった。 
そして、いま再びの規制緩和のおかげで、 
これら無許可タクシードライバーと呼ばれていた人たちは、 
ライセンスを得ることで、自由に営業をできるようになった。 
この規制緩和は現在のところ功を奏しているようである。 

あるドライバー「規制緩和はいいことだと思います。 
だれもがこの国のタクシードライバーになれ、 
観光産業など、経済発展に貢献できる」 

キューバの公共交通機関は、実は現在もunreliable(信頼性に劣る)である。 
カストロ氏によるタクシー業界での規制緩和は、それゆえに 
多くの国民に歓迎されている。 

しかし、「communist state(共産主義国家)が 
民主主義路線へ走っていいのか」 
と、抵抗を強める、一部の反カストロ団体もある。 

(BBC Global News January 14 配信分より) 


もともと旧ソ連の援助のもと、 
フィデル・カストロ議長をトップとする社会主義国家であったキューバ。 
(このフィデル・カストロとともにキューバ革命を指導したのが 
最近映画でも話題のチェ・ゲバラ氏) 
90年代のソ連崩壊後は、 
政治や経済の自由化が進んでいます。 

実はキューバの音楽がとっても好きです。 
特に、レオ・ブローウェルのギターの曲。 
民主主義・資本主義国の音楽にはない、 
独特の哀愁があるというか。 
同じく社会主義国であった旧ソ連・ロシアの音楽も好きで、 
キューバ音楽と同様、 
暗いのですが歌詞は明るさに満ち、曲には哀愁が漂っています。 
「社会主義音楽」とでも言うべきジャンルが 
確立されているのだと思います。 
自由化もいいですが、それによって、 
共産主義音楽の哀愁みたいなものが消えてしまわないことを、 
個人的に望んでいます。 

2009年1月9日金曜日

ベルリンフィルの挑戦

Pod Cast で聴くのだワールドニュース31回目。 

最近の欧米のニュースは、 
ガザでの交戦、ロシアによるガス供給停止のニュースばかりで占められ、 
ここに書くようなネタがなかなか見つからないのが現状です。 

そのためにペースダウンしていますが、 
めげずに頑張ります。 

で、今回は、ウェブでのオーケストラの話題。 

英Guardian-Guardian Dairy(With Jon Dennis)より。 


‘Digital Concert Hall’ 

ドイツのベルリンフィルハーモニー交響楽団が 
「オンライン演奏」のサービスを始めた。 
その名も‘Digital Concert Hall(デジタルコンサートホール)’。 
今週初め、初演が行われた。 
曲目は、ブラームスの交響曲第一番。 
サイモン・ラトル指揮。 
この演奏を、世界中のだれもが堪能できるのだ。 

Guardian の記者がドイツの首都、ベルリンで取材をした。 

今、ベルリンフィルの120人の奏者が、 
音合わせをしているところ。 
彼らはブラームスの曲の演奏ためにチューニングをしている。 
私は演奏の行われるコンサートホールにいる。 
ラッキーなことに、今宵の演奏会のチケットを入手できた。 

ベルリンフィルの演奏会のチケットは、 
入手が非常に困難で、 
特に今宵の演奏会の超人気指揮者、 
サイモン・ラトルが出る際には、 
チケットはあっという間に品切れになる。 

私は今、ベルリンにいるから、 
この大変貴重なコンサートを聴くことができる。 
しかし、例えば、NYで音楽を勉強している学生は聴けない。 
ナイロビのブラームスファンも同様である。 

でも、心配ご無用。 
ホールに設置されたカメラと、 
最新技術を駆使し、 
ベルリンフィルは、コンサートホールの数百人のお客さん以外に、 
世界中の数百万もの音楽愛好家に演奏を聴いてもらうことに成功した。 

指揮者サイモンさん「今晩は、みなさん。 
我々のウェブ初演へようこそ。 
ベルリンフィルハーモニックオーケストラのデジタルコンサートホールから、 
演奏をお届けします」 
今は私(記者)の部屋。 
数クリックで、ベルリンフィルの演奏を聴き、 
様子も生で見ることができる。 
音質はもちろん、画質も良い。 
料金もリーズナブル(タダじゃないんすね・・・)。 
過去の演奏を見ることももちろん可能だ。 

指揮者のサイモンさんに話を伺った。 
「この取り組みは、私たちにとって、 
そして、音楽の未来のためにとても重要なものであると確信しています。 
私たちは世界中にお客さんを持つことができました。 
ただ演奏を聴いてもらえるだけでなく、 
生で演奏全体を見てもらえるというのが、 
大きなメリットです。 
前世紀から、21世紀のオーケストラのあるべき姿を議論してきました。 
特にここ5年間は、我々のメッセージを 
音楽を通じどのように世界に発信するかを考えてきました。 
世界はすさまじいスピードで変化する。 
われわれも違う発信の方法を求めなければいけないと感じました。 
‘Anytime, Anywhere’がデジタルコンサートホールのコンセプトです」 

(実際の)コンサートの後、 
会場に来ていたお客さんにインタビューしてみました。 
ある男性「コンサートを生でネットで世界中に流すというのは 
いいアイディアだと思う」 
記者「ネットで見るのと生で見るのとでは、 
コンサートの迫力は違うんじゃないかしら?」 
男性「そうは思わないな。 
最近はいいステレオシステムがある。 
そういうのを設置すれば、 
生演奏とおなじ迫力を味わえるさ」 
男性と一緒にいた女性「私もデジタルコンサートホールには賛成よ。 
誰もがベルリンフィルの音楽を楽しめる。 
クラシックの人気アップにもつながるはずよ」 


(Guardian-Guardian Dairy January 8 配信分より) 


ベルリンフィルのコンサートといえば、 
チケットが大変取りにくいということで有名だそうです。 
ウェブで聴けるようになったというのは、 
大変便利ですが、 
やはりいつかはベルリンに行き、 
生でコンサートを聴いてみたいものです。 
やはり、ウェブで見て聴いただけでは分からない、 
熱気や興奮を感じられると思うので・・・ 

Digital Concert Hallについては探してみましたので、 
興味おありの方は、以下をクリックしてください。 

http://dch.berliner-philharmoniker.de/?utm_source=DCH+Newsletter3;Subscribers+; 

2009年1月1日木曜日

非正規移民労働者

POD CAST で聴きたいワールドニュース第30回!! 


あけましておめでとうございます!! 

みなさんどのように年を越されましたか? 

私は、実家で紅白観ながら年越ししました。 
紅白の途中にやっていた5分ほどのニュースで、 
日比谷公園の『派遣村』に関する話題をやっていて、 
今ほんまに日本大変なときなんやなー 
って改めて実感させられました。 

しかし、日本で非正規労働者として働いていた外国人労働者は、 
更に厳しい状況を被っているようです。 


今回はそんな、日本の移民労働者に関するリポート。 


英BBC News Podから。 


‘Redundant Foreign Workers in Japan’ 


景気後退による『非正規労働者切り』の影響があるのは、日本人だけではない。 
南米など海外からやってきた移民労働者にも深刻な影響が発生している。 

BBCの記者が日本で取材した。 

私が今いるのは、東京から新幹線で比較的簡単に来れる静岡県浜松市。 
ここは、音楽とビークルの町。 
ヤマハやスズキといった、世界に名だたる企業の発祥の地である。 

駅などに行くと、案内表示は、 
日本語や英語に加えスペイン語のものもある。 
実は、浜松市の人口うち4パーセントは、 
南アメリカからの移民なのだ。 
そして、ここの移民労働者たちが、 
日本の景気後退の深刻さを誰より辛辣に感じとっているのだ。 

浜松市に住む移民の多くは、日系2世か3世である。 
彼らの父母や祖父母は、 
前世紀初頭にペルーやブラジルから日本にやってきた。 
数代前から日本に住んでいるにもかかわらず、 
彼らの第一言語がスペイン語やポルトガル語であることから、 
彼らは『外国人』とみなされることが多い。 

『フェニックス』というあるラジオ局。 
軽快なラテン音楽とともに、 
ニュースをスペイン語やポルトガル語で放送する。 
取締役のカルロスさんはここ数カ月前から、 
雇用情勢の悪化が深刻な問題になってきていると話す。 
彼は、彼と同じような、 
豊かな生活を求め日本にやってきた移民労働者たちをサポートする団体を運営し始めた。 

カルロスさん「我々が日本にやってきたのは1990年代。 
当時、言語の壁が大きな問題だった。 
日本語ができるかどうか次第でいい仕事にありつけた。 
最近は情勢が本当に厳しい。 
浜松の多くの企業は非正規労働者をどんどん切り捨てる。 
日本語があまり話せない移民の非正規労働者にとっては、 
特に苦しい状況が続いてる」 

まだ7歳の男の子、フィリップくん。 
ある日系2世の子だ。 
この子も日本の景気後退が何を意味するのか、よく分かっている。 
フィリップ君は、父親と小さな‘shelter(避難所)’に住む。 
日系2世や3世の他の6人とともに。 
家賃や食費はタトゥーパーラーを営むあるビジネスマンに払ってもらっている。 
父親のカズオ・オノハラさんは、15年前に日本にやってきた。 
しかし、最近ある自動車会社の非正規労働者としての仕事をクビになった。 
カズオ・オノハラさん「クビになる際、会社の上司になんとかしてくれるよう頼んだ。 
小さい子供もいる、行き場もなく、冷たい冬の路上をさ迷う生活になってしまう、と。 
しかし、上司の心も冷たかった。 
私のためにできることは何もないと言われた」 

日本人がしたがらない仕事も進んでする外国からの移民労働者。 
つい最近まで、彼らは、 
日本にとってなくてはならない存在と言われてきた。 

テンプル大学のアジア学研究のキングストン教授は 
景気後退がこれを変えてしまったと話す。 
キングストン教授「日本の移民労働者政策は、 
‘Legal Limbo(合法的な辺土)’と言われてきた。 
政府は最初は移民労働者たちの過去の経歴を深く追求せず、 
景気向上期の必要なときに都合よく合法な移民として働かせていた。 
しかし景気後退期の今は政府はやり方を変え、 
移民労働者たちを『不法』とみなし、 
彼らのビザの更新を許可しなかったり、 
国外追放などの措置をとっている」 

彼らのような移民の一部は、 
航空券を買うお金さえあれば、 
南アメリカの自分たちの故郷に帰りたいと話す。 
しかし、多くは、日本残り、 
日本人労働者と同じ待遇をするよう、 
政府に団結して要求をかける行動をしている。 


(BBC News Pod January 1 配信分より) 


もともと閉鎖性の強い日本。 
外国人労働者よりまず日本人労働者を保護したいという政府の方針もわかります。 
しかし、移民労働者たちも、日本経済の発展を支え、 
私たちと同じように日本のために尽くしてきた『仲間』であると思います。 
彼らを都合よく使い、ぼろ雑巾のように捨てるという政策には首をかしげてしまいます。 

また、今の派遣労働者法にも不備があることを否めないと思います。 
もともと派遣というのは、通訳などほんの数種類の業種に限定されていましたが、 
90年代の規制緩和政策の波で、現在のように多くの業種に広がりました。 
『多様な雇用情勢を創出・提供することで、多くの人が職につきやすくする』 
政府のこのような意図もあったようですが、 
結局は労働者に利益はなく、 
結果的に企業が自分たちの利益を守るために使える政策となってしまいました。 

小泉政権に代表される規制緩和による自由市場・小さな政府政策。 
一時的に景気回復の効果はありましたが、 
その皺寄せがもっと大きな規模で、 
さらに深刻な形で今やってきている気がします。 

今の形の社会が必ずしも正しいとは思わず、 
本当の幸せとは何なのか、本当の生き方とは何なのかをよく考え、 
誰もが法律上の責任だけでなく、 
倫理的責任を果たせる社会を創っていかなければならないと思います。