2008年11月28日金曜日

源氏物語

POD CASTで聴くワールドニュース第21回!!!! 

日本語文学の最高峰といわれるこの作品が 
イギリスのBBCのニュースで取り上げられていました。 


英BBC Global News から。 



'The Most Famous Work Of Japanese Literature' 

日本文学最高傑作と言われる源氏物語。 
今年はこの作品の誕生から、な、な、な、なんと!!! 
1000年にもなるというのです。 
日本では小学生でさえ知っているというこの作品。 
世界初の長編文学といわれています。 
なぜこの源氏物語がこれほど日本で親しまれているのか。 

BBCの記者がケンブリッジ大学の日本文学教授、 
リチャード・バウリンさんにインタビューをした。 

バウリンさん「日本人が彼らの独自の文字で文章を書けるようになるまで、 
非常に時間がかかった。 
文字体系を発展させるのに手間取ったからだ。 
文字体系の発展は、850年ごろに起こった。 
Genji(源氏物語)は1008年ごろの成立。 
この整然とした文学作品を作り出せるようになるまで、相当の時間を要した。 
Genjiの出現は日本の文化にとって、極めて重要な出来事であった」 

記者「日本の文学作品はもちろん日本語で書かれていますいますが、 
その日本語はもともと中国が由来。 
同時代の中国の文学作品とGenjiは 
それほど大きく違わなかったのではないのですか?」 

バウリンさん「ぜんぜん違いますよ。 
それゆえに私は日本の文学をこれほど愛するのです。 
当時の日本の文学作品がprose(散文体)であったということが重要なのです。 
当時は散文体は中国では歴史書でしか使われなかった。 
さらに、当時中国では、fiction(小説)はある程度見下されていたのです。 
これが大きな違いです。 
日本での記念すべき最初の文学は、 
prose(散文体)のfiction(小説)だったのです。 
日本と中国の文化の違いがここにはっきり表れています」 

記者「これがGenjiが世界最初の小説といわれる所以なのでしょうか? 
近代・現代の文学にあるような、 
人物描写や心理描写といった特徴をGenjiが持っているのですか?」 

バウリンさん「もちろんです。 
Genjiは、ただのファンタスティックな偉業の作品なのではありません 
素晴らしい技巧にあふれた作品というのではないのです。 
Genjiは、人々の世俗的な日常を描いています。 
また、人々の行動より、心理描写に焦点を当てているのも特徴です。 
なぜ人物がこのような行動をするのかということを詳細に表わしています。 
英語の現代語訳でGenjiを読めば、 
これがどれほど近代・現代文学と 
つながる点があるかお分かりいただけるでしょう」 

記者「そう聞くと、リスナーの皆さんは、 
Genjiがいったいどういう内容なのか知りたくなるでしょう。 
少し内容を紹介していただけませんか?」 

バウリンさん「もちろん。 
作品を読むのを聴いていただければ、 
作者である紫式部の洗礼された執筆スタイルに感嘆するでしょう。 
"Intending to stay the night and have a quiet talk, ...."(Genjiの英語訳の朗読が延々と続いて終わります)」 


(BBC Global News November 28 配信分より) 


日本の千年も前の文学作品が 
海外のメディアに取り上げられるというのは、 
非常に誇らしいことだと思います。 
上記にもあった通り、今年は源氏物語生誕からちょうど1000年目。 
これに伴い、いろいろな記念行事も日本では計画されているようです。 

日本文学研究家であったアメリカ人、サイデンステッカー。 
彼は、第二次世界大戦に敗れ、焼け野原と化した日本に滞在していた時期があります。 
当時彼は源氏物語を読み、「これだけ素晴らしい文学作品を生み出せる日本民族が、 
簡単に滅びるわけがない」と直感したそうです。 
彼の直感に応えるように、 
戦後日本は「奇跡」とも言われた底力で急激な成長を遂げ、 
1990年代には世界第二位の経済大国に。 
しかし、バブルショック・金融危機などがあり、
源氏物語の成立から1000年目の今、 
日本は犯罪率の高い、失業率も高い、かつ、出産率の低い、 
学力も下がりつつある国となってしまいました。 
サイデンステッカーさんはもう亡くなってしまいましたが、 
今生きていれば、また「源氏物語を生んだ日本が簡単に滅びることはない」と言ってくれたでしょうか。 
そう言ってもらえるように、我々が努力しなければならないというのが筋なのでしょうが。 

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