2010年11月29日月曜日

deportation law in Switzerland

スイスのお話です

BBC Global News から



‘The strictest Deportation Law in EU’

スイスで日曜日、ある国民投票が行われる。
外国からやってきた犯罪者を強制送還できるようにする法律についての国民投票だ。
この法律の賛成者は、スイスでの犯罪率低下を期待しているが、一方この法律の反対者たちは、これにより必ずしもスイスの治安が良くなるとは考えていない。
むしろ、外国からやってきた犯罪者ではなく、スイスで永住権を取得した善良な市民が国外追放になる恐れがあるとして、警戒を強めている。

BBCの記者がスイスで取材をした。

あるアルプスの村。
村人たちが音楽祭と、政治議論のために集会所に集まっている。
ある村人「スイスという国は、そこで一生懸命働きたいという人や、我々の国の文化伝統を推移排してくれている人は、快く受け入れる。しかし、犯罪を犯した者や、労働意欲がないという人間は受け入れられない。そういったものは、むしろこの国から出て行ってもらわねばならない」
別の村人「海外からスイスにやってくる人は、我々の生活スタイルや習慣に合わせてもらわねばならない。犯罪を犯すなどもってのほかだ」

スイスに住む人間のうち23%はスイス国籍を持っていない。
そして、重罪を犯した、国籍を持たない者(海外からやってきた者)に対し、国外退去処分を命ずることのできる法律はすでにある。
今回の新たな法律では、国籍を持たない者の2世や3世の、つまり、彼らの子や孫が犯罪を犯した場合にも国外退去処分が適用されるという特徴がある。
しかも、犯罪と言っても、殺人などの重罪ではなく、年金不正受給といった、ある程度軽度の犯罪でも国外退去処分となりうる。
適用要件が大幅に緩和されたというわけだ。

アルプスの村を離れ、首都ジュネーブでは、この新たな法律に対して「警戒」を怠れない人たちがいる。
「私の名は、ムレノ・カズソラ。父がスイス人、母がイタリア人です。スイスで生まれ、スイスで育ったんです」
「私の名はランゴ・カナカソンデラ。生まれはスリランカですが、スイスで育ちました」
上記のムレノさんや、ランゴさんは、新たな法律の成立を目指すスイス国民党の標的になっていると感じることがあるという。
スイス国民党の作成したポスターには、「他の国からやってきた少数民族の人間は、詐欺やレイプといった犯罪をして追い出された人が多い」といった記述があるのだ。
ムレノさん「外国からやってきた人物が、必ずしも犯罪を犯して追放されたわけではないのに。こんなポスターがあると、外国人はみな犯罪者という印象をスイスの国民に与えかねない。実はもうすでに、スイス国籍を持つスイス国民から、違うものを見る目で見られているという感じがしている。私はセカンドクラスの人間だと思われているような気がするんです」

政治評論家のゲイ・アルクロッド氏は、この法律の成立は、スイス国民党による、ポピュリズムキャンペーン(大衆迎合主義)の一環であると分析している。
スイスでは、総選挙まで1年足らず。
きちんとした国籍を持つスイス国民の間では、外国人追放の感情が強い。
スイスの伝統や習慣を守ろうという運動が盛んになってきたこともあり、この動きを察知したスイス国民党が、支持率向上のために今回の法律の成立を企てたという見方もできるという。

最新の世論調査によると、日曜日の国民投票で、多くの有権者が今回の法律成立に賛成であるといい、EUで最も外国人に対して厳しい法律ができることになりそうである。
注意しなければならないのは、スイスに住む外国人たち。
この法律に関しては、EUの人権団体から批判も出ているが、やはり彼らは、どれだけ長くスイスに住み続けても、容易に追放される恐れがあるということを常に心に留めておかなければならない。

11月25日配信分より。

今日のニュースでも出ていましたが、日曜日に国民投票があり、
この法律は可決されたとのことです。
スイスには、先進国なら普通はある、「犯罪者引き渡し条項」というものがなく、
ある人がが他国で犯罪を犯し、スイスに逃げ込んでしまえば、
スイス政府はその人物を当事国に引き渡さなくてもよいということらしいです。
ダヴィンチ・コードで言ってました。
それ故に、スイスは「犯罪者の逃げ場」となり、
スイス国民にとっては、治安の悪化、伝統の喪失など、悩みの種になっていたんでしょう。
ちなみに、フランスでも、最近ジプシーである「ロマ人」を国外追放する措置を取り、
一時新聞等を騒がせました。
日本でも、尖閣諸島での一件や、北朝鮮の南朝鮮に対する攻撃などがあり、
中国人や朝鮮人排斥の動きが徐々に出てきていると最近聞いたこともあります。
海外から人がやってくるのはいいのですが、
犯罪を犯したり、乗っ取り計画をするなど、余計なことをしないでほしいと思いますよね

2010年11月4日木曜日

breastfeeding

インドネシアで物議を醸す新法の話題。

英BBC Global Newsから。

'Exclusively breastfeeding a baby for 6 months'


ほとんどの医療従事者は「breastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)」が乳児にとって最良であると口をそろえて言う。
東南アジアの一国であるインドネシアで、生後6か月までの新生児は必ずbreastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)で育てなければならないという法律が来年の初めに出来ようとしている。
この法律に違反した者は、罰金を科せられるか、刑に処されるという。
breastfeeding賛成者はこの法律を歓迎する一方、反対者は、インドネシアの赤ちゃんを育てる母親たちの問題解決に必ずしもつながらないと主張する。

インドネシアの首都ジャカルタからBBCの記者がリポートする。

私は今ジャカルタのスラムにいる。
近くに海が見える。
ここでは漁師たちが漁で採ってきた貝の貝殻がたくさん捨ててある。
これらが、すでに衛生状態の悪い子のスラム地区をより一層臭く、かつ汚くしている。
そしてこのことが、小さな子供たちのmortality rate(致死率)を上げてしまっている。

ここで子供たちはすぐに病気にかかってしまう。
医療関係者たちは、ここで子供たちの免疫力を上げるには、
生後最初の6か月間、breastfeeding(母乳による子育て)だけで赤ちゃんを成長させるしかないと主張する。
スラムでbreastfeedingに関するセミナーがあると、多くの赤ちゃんをもと母親が狭い会場に集まり、
breastfeedingの利点とは何なのかを聴きに来る。

チュチュ・アロゥイアさんは、breastfeedignw推進する会のリーダー。
チュチュ・アロゥイアさん「最初は、breastfeedingだけで赤ちゃんを育てるということに、
多くの母親が違和感を持っているようでした。
TVの番組やCMの影響で、市販の子ナムル区などを赤ちゃんに与えるのが1番だと信じていたのです。
しかし、じぶんの乳を赤ちゃんに与えるほうが廉価で済み、かつ赤ちゃんの健康にとっても良いということを訴え続けたのです」

しかし、breastfeedingだけで赤ちゃんを半年も育てなければならないというのは、
ジャカルタのスラムに住む女性たち、特に働く必要のある女性たちにとって、challenge(至難の業)であった。

22歳の女性、ダイアナさんは繊維工場で働く。
出産を機に、時短の申請をした。
彼女は1日に何度も授乳のために作業場から離れなければならない。
しかし、それではその分給料も減り、家族を養う分のお金が得られなくなるという。
ダイアナさん「仕事をする必要なる女性にとって、生後6か月間はbreastfeedingだけで
赤ちゃんを育てなければならないというのは、大変難しいことです。
私の働く工場内には、授乳のための設備もなく、
私たちの悩みなど気にかけてもくれません。
同僚の中には、breastfeedingを諦め、市販の粉ミルクで育てるということに切り替えた者もいます。
そしてもちろんそのようなことは新しい法律に対しては違反となります」

しかし、インドネシア政府は、この新たな法律は、
上記のダイアナのような働く必要のある女性を助けることになると主張する。

政府の報道官、タリー氏はこう話す。
タリー氏「新たな法律により、企業も徐々に授乳のための施設を作るようになる。
粉ミルク製造業者も、母乳に負けない商品をと、高い栄養価の粉ミルクを作ろうと努力を始めるでしょう」

しかし、医療従事者の中には、この新法は不十分だと話す。
医者であるフランシスカさんは、強すぎる粉ミルク製造企業の活動を制限するための努力を政府はすべきだと話す。
フランシスカさん「粉ミルク製造企業は、商品を誇大にアピールしようとする。たとえば、この粉ミルク成分は母乳に限りなく近いだとか、この粉ミルクは赤ちゃんが頭がよくなるだとか、母乳で育てるより健康になるだとか。
消費者をうまくだましているんです。
このような誇大な宣伝を政府は規制すべきなんです」

一方、粉ミルク製造企業はこう反論する。
我々はインドネシアで乳児用食品を展開する大手、ネスレに質問状をおくり、次のような返事が返ってきた。
ネスレ「われわれが我々の商品をインドネシアで誇大に宣伝しているということは、
決してありえない。
ネスレとしては、breastfeedingが赤ちゃんにとって最良の方法であると結論付けているし、
6か月間母乳のみで育てなければならないというインドネシア政府の新法を
支持している」

再びジャカルタのスラムのbreastfeedingのセミナー会場。
参加している母親たちは楽しそうにセミナーに参加している。
しかし、今回の新法の裏にある大きな、かつ深刻な問題についても彼女たちに知らせなければならないのではないかと思う。
栄養不足という理由で毎年数百万もの新生児がここインドネシアで亡くなっている。
今回の新法は、この深刻な事態に対処するための一つの方法であるといえる。
しかし、その他にも解決すべき多くの問題があるということを政府は自覚しなければならない。
この国の未来がかかっている。

BBC Global News November 2 配信分より。

やっぱ粉ミルクよりbreastfeedingってことっすね。