2008年12月19日金曜日

メキシカン

POD CASTで聴くワールドニュース第27回。 


最近の自動車業界に代表される、減産、減収、人員削減。 
多くの中小企業経営者が年越しできるかどうか気をもんでいる。 
日本の経済状況に危機感を持つのは私だけではないと思います。 

しかし、このような状況にあえぐのは、 
もちろん日本だけではありません。 

今回は、メキシコが受けている金融危機の影響についての 
リポートを見つけたので、 
取り上げさせていただきます。 

メキシコ人の多くは移民として隣国アメリカへ行く。 
このせいで、日本にはない深刻な状況が生まれているようです。 


英BBC News Podから。 


'The Bad Effects on World Migrant Workers' 


アメリカでは、今年、違法侵入者を含め、 
メキシコからの移民が42%も減少した。 

アメリカに住むメキシコ人からの故郷への送金も20%減少した。 

多くのメキシコからの移民がアメリカでの生活に悲観し、 
故郷へと戻ってしまったのだ。 

BBCの記者があるメキシコの小さな村で取材した。 

メキシコ中心部に近いコファディア村。 
つい最近まで、他の多くの村と同様、 
この村でも、働く男の姿はほとんど見られなかった。 
メキシコの村の男性労働者は、 
ほとんどアメリカへ行き、 
仕事にありついていい給料を得るというのが普通だったのだ。 

しかし、今は状況が違っている。 
メキシコの村で、働き盛り世代の男性を見つけるのは、 
難しくない。 
アメリカで職がなくなり、 
故郷の村に戻ってきた男性労働者たちが多くいるのだ。 

アメリカのアラバマで建設会社を営んでいたというある男性。 
アメリカでの経済崩壊や、 
従業員として主に雇っていた移民の相次ぐ帰国で、 
会社が立ち行かなくなり、彼も帰国してきた。 

男性に話を聞いた。 
記者「あなたはアメリカに9年いたのですね。 
メキシコに戻ってきて、今どう感じますか? 
アメリカが恋しいですか?」 
男性「やはりアメリカがいい。 
ビジネスをやるならメキシコよりはアメリカだ」 
記者「村の人は、あなたをどのような目で見ていますか? 
部外者だという目で見られ、疎外感はないですか?」 
男性「そう感じる。村の出身者ではないような扱いを受ける」 

ここ数週間で多くの40以上ものアメリカへ移住していた家族が、 
村へ戻ってきた。 
この男性とその家族もそのうちの一つ。 
地元自治体は、このような「戻ってきた移民」のことで 
頭を悩ませている。 
自治体あるスタッフ「最近本当に多くの移民がアメリカからメキシコに戻ってきた。 
問題は、メキシコにも仕事が豊富でないこと。 
彼らは故郷でも職無しになってしまう」 

職無しだけが問題なのではない。 
アメリカでメキシコ人の移民が減ることは、 
アメリカからのメキシコへの送金が減ることも意味する。 
送金減の影響が特に深刻に表れるのが、 
メキシコに多くある市場(いちば)である。 
果物や野菜などの食物、 
クリスマスの装飾品なども売っているこの市場に、 
多くの人がやってくる。 

市場のあるオレンジ売りの男性は言う。 
「アメリカからの送金が減ったせいで、 
現金を持っている人が少なくなった。 
例年のように商品が売れない」 

メキシコからアメリカへ移住すると言うのは、 
大きな決断。 
しかし、故郷へ戻ってくるのにも、 
困難な生活を覚悟しなければならない。 
メキシコ移民にとって、難しい状況が続いている。 


(BBC News Pod December 19 配信分より) 


アメリカ発の金融危機。 
欧州や日本をはじめ、 
BRICSやVISTAと言われる新興経済国まで 
影響を受けているのは、 
毎日メディアによって伝えられているところ。 

しかし、一番深刻な影響を受けているのは、 
その震源地の真下にあるこのメキシコではないでしょうか。 
夢を持って氏の危険を冒してまでアメリカへ越境したのに、 
不景気で帰らざるを得なくなった。 
さらに、故郷でも部外者のような扱いを受ける。 
このような移民労働者たちは、 
震源地アメリカで金融危機の影響を直接受けた人たち以上の 
困難があるのではないかと感じてしまいます。 

金融危機の収束、世界経済の一刻も早い回復を 
ただひたすた祈るのみです。 

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