2009年1月19日月曜日

サウジのショッピングモール

Pod Castで聴くワールドニュース第33回。 

以前サウジアラビアでの女性のボイコット運動に関する話題をお伝えしました。 
今回またサウジアラビアで女性運動に関する報道がありましたので、 
書かせていただきたいと思います。 


英BBC Business Dairyから。 


‘Women Only Shopping Malls’ 


サウジアラビアでは、 
女性は車を運転することが許されておらず、 
働く許可を得ることさえも難しいというのが現状である。 
このような中、「女性だけの」ショッピングモールなるものが登場した。 
「女性だけ」とはどういう意味か? 
そして、このショッピングモールの目的とは? 

BBCの記者が首都リアドで取材をした。 

私は今バーリースドミールモールにいる。 
これは、一見、 
他のどの地域にもあるような普通のショッピングモールである。 
様々なテナントが入っており、 
キオスクもある。 
商品はお客にアピールしやすいよう、 
きれいに陳列されている。 
多くのお客が、 
一人やグループやあるいは子供連れで 
このショッピングモールにやってきている。 
しかし、ここで数分も過ごすと、 
ある変わったことに気づくはずだ。 
このショッピングモールにいる全ての人は女性である。 
男性は一人もいない。 
お客もスタッフも全員女性なのだ。 
入店時にカバンの中身をチェックする警備員まで女性だ。 

このモールの建物には、 
窓が一切ない。 
これは、サウジアラビアの女性が、 
外出するさいは男性に見られないよう、 
目の部分以外はすべて装束で 
常に覆っておかなければならないという規則から逃れ、 
モールの中で自由な身なりで 
ショッピングを楽しめるようにするためである。 
しかし、このショッピングモールが作られたのは、 
このように女性が気軽に買い物を楽しめるためだけではない。 
真の目的は、より多くのサウジアラビアの女性が 
働けるようにするためである。 

「私がこのショッピングモールにお店を出して、 
3年になります。 
妹とアクセサリーやベルトなどを売っています。 
もともと、これらのものを、家で売っていました。 
しかし、今はこのようなモールで売ることができるようになりました」 
こう話すのは、3人の母であるサラームさん。 
このモールでお店を持つようになって、 
彼女の収入は劇的に増えたという。 
サラームさん「以前は月に5万ほどの稼ぎでしたが、 
今はその2倍。 
夫より収入が上になりました(笑)。」 

サウジアラビアの就職率は、実は危機的な状況だ。 
男性の失業率は30%。 
(日本は現在4%前後) 
女性の統計ははっきりしたものはないが、 
失業率は20%以上といわれている。 
この状況を打破するために、 
サウジアラビアのある有力企業が、 
取り組みを始めたのだ。 
サウジアラビアの若者に職業訓練を施すサービスや、 
起業のための資金を低金利で融資するサービスを始めたのである。 
この有力企業のある幹部に話を伺った。 
ある幹部「職業訓練サービスは2004年に始め、 
これまでに16000人以上のサウジアラビアの男女が職に就いた。 
特に女性の就労に大きな変化が見られるようになった。 
毎朝出勤のために家を出て、 
夜に帰宅するという女性の姿を見ることが多くなった。 
このように働いて成功している女性を見て、 
他の女性も就労に興味を持つようになり、 
このような循環で、 
女性の就労率が大幅にあがったのです」 

これまで、 
サウジアラビアの女性の就労には 
古くからの法律による厳しい制限があった。 
女性の職業といえば、例えば、 
保母さんや介護職など。 
この女性限定モールの出現で、 
女性が小売産業に進出できるようになったというのは、 
サウジアラビアの女性にとって画期的なことである。 
このような女性限定モールは今後20店も建設計画があるという。 
サウジアラビアの女性のライフスタイルが徐々にではあるが確実に 
向上しているということだと言えるであろう。 


(BBC Business Dairy January 16 配信分より) 


客もスタッフもすべて女性だけのショッピングモール。 
なかなか真似は難しいことかもしれませんが、 
女性の就業力に頼るという点では、 
日本も見習うべきところではないかと思います。 

日本の政治家の皆さんにも、 
このような海外の例を参考にして新たな発想を取り入れて、 
更なる雇用創出に尽力していただきたいものだと思います。 


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