2012年9月4日火曜日

atheism in America

The Economistからの記事。

“Growing Disbelief”

atheists(無神論者)にとって、米国とは生きにくい国である。
宗教のにおいはこの国のいたるところでするし、神を信じない人間というのは他のマイノリティの人間に比べ、
より信頼されないという調査報告もある。

州によっては、atheists(無神論者)が集会等を行うことを禁じているところさえある。
これは米国の憲法に違反する行為であり、強制できるものではないが、そんなことはほとんど関係ない。
40パーセントを超える有権者が、atheist presidential candidate(無神論の大統領候補)には投票しないと調査で答えている。

しかし、この傾向にも変化がみられる。
ここ7年間ほどで、自らをatheist(無神論者)と認める者の割合が5倍に増え、人口の5%になった。
これはWIN-Gallup internationalという調査団体が実施したものの結果だ。
一方、自らをreligious(敬虔深い、信仰心の篤い)と認める者の割合も2005年は73%だったのが、
2011年は60%まで下がったという調査結果もある。

このような宗教心に関する大きな変化は驚くべきものであるが、実はこの調査は、他のある調査と並行して行われた。
2009年の共同世論調査によると、5%の米国人が神の存在を信じないとのことであった。
しかし、そのうちの4分の1しかが自らをatheist(無神論者)と認めていなかった。
最新の世論調査で、自らをatheist(無神論者)と認めるものが増えたということが分かったということなのだ。

この変化は、“New Atheism(新無神論)”として知られる、宗教を信じない者の非公式ムーブメントが影響しているとの見方がある。
ここ8年の間、リチャードドーキンスやクリストファーディッケンズが彼らのミリオンセラーの本で宗教を攻撃し、
非科学的な見方をやめ、理論や科学に人生の答えを見つけようと訴える行動をしている。
英国の生物学者であるドーキンス氏は特に人々に無宗教者であることを自ら公表することを促している。

今年初め、彼はワシントンで行われた“Reason Rally(宗教より理性でものを考えようという人々の集会)”で発言した。
「我々はtipping point(流行の最高潮)に到達しつつある、
誰もが無神論者であるとカミングアウトできる時代で。」

このように大っぴらに無神論者であると公表する者が今の米国にはいる。
無神論団体は、NYの911テロミュージアムにある大きな十字架を撤去しようとする動きさえある。
これは、崩れたワールドトレードセンターから柱の梁を二つ取り出し、重ねたものであり、
あのテロの生存者にとってトーテムのような存在である。
無神論者は、この十字架を、宗教が政治に必要以上に絡んだ憲法違反の事象であると宣言する。
ミュージアム側は、十字架は歴史を語る証人なのであり、決して政治と宗教の合体ではないと反論する。
このような論争さえも、米国でのatheism(無神論)を広めるきっかけとなってしまうのがこの国の現状なのだ。

(The Economist Democracy in America より)

私たちが米国に持つイメージは、金融とITで成功した、産業・経済・軍事大国であるというものが多いでしょう。
しかし、実際の米国は、このように宗教心が強いものが多く、また差別も多く、訴訟やカウンセラーがよいの人も多く、非合理的なことが蔓延する社会であるというのが正しいでしょう。
教会はいたるところにあり、日曜日はミサに参加する人がものすごく多く、
事業で成功した人などは、「神の救済」を求め、慈善事業に多額のお金を寄付します。
大統領就任あいさつの際にも、大統領が聖書に手を置いて神への誓いを述べるのです。
この点では米国は政教分離の国ではありません。
日本は憲法によりそうなっていますが、その日本の今の憲法はアメリカGHQが中心となって作ったものです。
なんという欺瞞でしょうか。
また、米国で宗教心が篤いといっても、カトリックではなく、プロテスタント。
しかも予定説を信奉するカルヴァン派のプロテスタントの国です。
カルヴァン派がどういう理念を持っているか知っていれば、今の米国の下地が分かります。

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