2012年1月8日日曜日

ギリシアの子供たち

平成24年一発目です。

欧州危機に関する暗い話題。
英国BBCからのPod Cast。

“Abandoned Children in Greece”

金融危機にあえぐギリシア。
今この国は更なる危機を迎えようとしている。
親が子供を手放さなければならないという危機だ。
BBCの記者が首都アテネで取材した。

幼児たちがギボアドスのある施設で遊んでいる。
幼稚園ではない。
ここは「親を奪われた子供たち」の集まるセンターなのである。
その中の子に2歳のナターシャちゃんがいる。
彼女はプラスチック製のサキソフォーンを得意げに吹いている。
2週間前、彼女の母親はこの施設にやってきた。
仕事もなく、ホームレス状態であった。
数時間後、母親は娘のナターシャを残し、消え去った。

この施設の神父、アントニオ氏は、ここ2カ月で4人もの子供が個々の施設に置き去りにされたという。
中には、生まれて数日の新生児までいたという。
これからそのように置き去りにされる子供の数は今後一層増えると彼は付け加える。
神父アントニオ「昨年は数百人もの子を持つ親がこの施設を訪れ、
子供を預かってほしいと申し出た。
彼らは子供のためのお金も住む場所も食料もなく、
この施設で子供のためにそういったものを賄ってほしいと言っていた」

このような親たちは、政府から援助を受け、子を手放さないようアドバイスを受けている。
しかし、一部の親にとっては、経済状況は逼迫していてどうにもならないという。

8歳のアナスタシアちゃん。
彼女は母親のマリアのそばでピアノを弾いている。
彼ら親子は月に一度のみ会っている。
母親マリアの収入の低さの故、
娘のアナスタシアを「こどもSOS村」というチャリティ施設に預ける他なくなったのである。
マリアにとってこの決断はすんなりできたものではなかった。
マリア「毎日夜が来るたび、私はひとり家で涙を流しています。
娘を預けるなんて心が張り裂けるようなこと。
でもこうするほかなかったの。
教会からの賄いの食糧で何とか生き延びる生活だったの。
今はカフェでの仕事にありついたけど、1日の収入は20€(約二千円)。
私はこの収入でも暮らしていける、でも子供に貧困の暮らしをさせたくないんです」

SOS村のスタッフが、アナスタシアちゃんなど預けられた子供のいる施設の部屋を案内してくれた。
取材に来た記者に見せられるほどきれいな部屋であった。
また、取材はクリスマスの時期。
子供たちはクリスマスプレゼントを手に顔をほころばせていた。
ただ、スタッフは言う。
子供にとって親と一緒に暮らすことほど幸せなことはないと。
スタッフ「本当は子を預ってほしいという親から子を預かりたくない。
しかし、今の経済状況からするとしょうがない。
親がきちんとした仕事を見つけてくれるのを願うのみだ」

場所が変わり、ここはスマイルオブチャイルドという子供保護施設。
ここもdesperate(絶望した)親から多くの子を預かっている。
スタッフは話す。
「親たちが子を残していくときの心の苦しさというのは想像を絶する。
しかし、今彼らにはそうするしかない。
この前も双子を連れた親が来た。
彼ら家族は食糧がなく、飢える寸前だった。
これが第3世界で起こっていることならまだ納得できる。
しかし、これはここギリシアで起こっていること。
本当に信じられない。
政府がこの問題を解決する策を早く施行しないといけない」

今のギリシアの福祉システムはこのような問題に対処できるだけの余裕がない。
更に悪いことに、このような子を預かる施設の免税措置がなくなるかもしれないという段階にまで来てしまっているという。
上記の施設のスタッフは、今年政府に160000€(百六十万円)の税金を払うことになる可能性があると話す。
百六十万円分、貧困に苦しむ家族を救えなくなるということだ。

この事態が政府により解決されない限り、
子を施設に預ける子は増え続け、施設も預かる余裕がなくなっていくという状況は続いていく。

(BBC Global News 1月7日配信分より)

古代の哲学や天文学、文学や数学など人類の後の知の遺産となるあらゆる基礎を作った国、
現在も観光等で世界中の人々を魅了してやまないはずの国であるギリシアが
このような状況にあえいでいるというのは、
俄かに信じがたいことです。
欧州危機がヨーロッパをここまで蝕んでいるんですね・・・
このギリシアの状況に私たちも目をそらさず見つめ、
日本が同じ轍を踏まないよう今から対策を練り実行していく覚悟を持つ必要があると思います。

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