2010年9月4日土曜日

ichiro

英The Economist誌から、日本の政治に関する記事を見つけました。


‘Japan's Ruling Party Should Cast its Most Famous Member, Ichiro Ozawa’

“The Destroyer(壊し屋)”としてしか知られていない政治家、小沢一郎。
表舞台から見えないところから日本の政治を操り、
提携を結んでは破棄し、政府を混乱させ、
かつ高慢な態度をもって、透明性や民主主義の理念を
欧米政治の真似事とこき下ろしてきた。
しかし、今回の件は、そんなこととは比べ物にならないほど、
卑劣な行為だ。
民主党代表戦に立候補し、首相である菅氏と対峙し、
1年で3件目となる内閣(麻生内閣→鳩山内閣→菅内閣)を
潰そうとしている。
日本のdemocracy(民主主義)のために、またいうまでもなく未来のために、
DPJ(Democratic Party of Japan=民主党)は小沢氏とその一派を
追い出すべきなのだ。

もし小沢氏がこの代表戦で勝ってしまうと、
たった3ヶ月で日本の首相が交代してしまうこととなる。
しかも彼は3ヶ月前、幹事長として力を振るっていた際、
政治資金スキャンダルで辞任に追い込まれたばかりなのだ。
彼が首相にならず、代わりに彼の腹心を首相に据え、
自らはまた裏から政治を操ることをすると言うことも考えられるが。
もしそうなれば、4年間に4人も首相が入れ替わった日本にとって、
更なる悲劇となることは間違いない。

ちなみに、国民の間では、小沢氏は極めて人気がない。
調査によると、民主党支持層のうち、小沢氏を支持すると答えたのは15%にも満たない。
彼が本当に権力への欲望から立候補したのか、
それとも政治資金疑惑で起訴されることを逃れるためなのか(首相の地位になると、起訴を免れることができる)もよくわからない。

しかし、ただの不人気だけで彼を止めることはできない。
'money politics(金権政治)'に於いて、小沢氏はすさまじい能力を発揮してきた。
選挙の集票マシーンとして、多くの議員を当選させてきた一方、
彼らに忠誠を誓わせた。
このようにして、自らの派閥に412人ものメンバーを集め、
彼らは代表戦で必ず小沢氏に投票するであろう。
彼らは小沢氏が当選させてくれたから国会にいれるからである。

小沢氏の立候補には、たしかに理解できる面もある。
情けない菅直人という首相の存在だ。
彼は7月の参院選で、消費税に関する中途半端な議論のせいで敗北を喫した。
しかし、小沢氏やそのsidekick(共謀者)である鳩山前首相との
裏での駆け引きをしないと決心した管首相に対し、
国民からの視線は熱くなっている。
管内閣に対する支持率はここ数週間で回復してきている。
また、国民も、小沢氏と堂々とメディアの前で論戦を繰り広げる
菅氏を評価し始めている。

部族の争いのような政治をしている余裕は日本にはない。
ここ20年の経済降下のなか、
今日本に求められているのは、盲目の忠誠心ではなく、
強力なリーダーシップである。
民主党の分裂は既に日本経済に悪影響を及ぼし始めている。
政府が円高対策そっちのけで代表選びに熱心になっていると言う印象を与え、
株価は急落している。
また、菅氏・小沢氏どちらが勝利しようとも、
党の分裂は避けられないとの観測も強く、
野党に追及される弱点を自ら増やしてしまうことになる。

DPJ(Democratic Party of Japan=民主党)が、
信頼を失った、派閥のボスである小沢氏でなく、
国民からの信任を得た菅氏を首相に据え続けることで、
日本の更なる混乱は避けられるはずである。
1年前、DPJ(民主党)は、LDP(Liberal Democratic Party=自民党)を追い出した。
6月には、頼りない鳩山前首相を辞任に追い込み、
そのほんの1ヵ月後には参院選でふがいない結果を残した菅氏を責め立てた。
そして今回の代表戦で小沢氏をリーダーに選ぶようであれば、
DPJ(民主党)は混迷極まりない政党であると言うべきだろう。

The Economist 9月2日の記事より。
http://www.economist.com/node/16943663

欧米の経済紙にまで政治の内部事情を心配され、
わざわざこんな記事を書かれると言うのは、
情けないことこの上ないと言うべきでしょう。

自民党政権もだめでしたが、民主党は比較できないくらいはるかにダメッスよね。

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