2011年6月1日水曜日

kamikaze pensioners

再び震災関連ニュース。
BBC Global Newsから。

'kamikaze pensioners'

200人以上の日本のpensioners(年金生活者)たちが、
福島原発での危険な作業に立ち上がろうとしている。
彼らは皆60歳を超えた、熟練した原発作業のエンジニアたち。
彼らは言う。
未来のある若い者たちが原発で死の危険性もある放射能汚染の被害に遭ってはならないと。

東京でBBCの記者が取材した。

ヤステル・山田氏。彼が今テレビ界の注目を集める。
彼は決心した。福島の原発での危険な状況をただメディアを通して見ているだけではいけないと。
72歳の彼は、福島原発での危険な作業に従事することにしたのだ。

記者「ここにたくさん紙が積んでありますね」
ヤステル「FAXとE-mailです」
ここ数週間、ヤステルは昔の同僚にコンタクトを取っていた。
これまで、200人以上の同僚が、skilled-veterans' core(熟練ベテラン集団)プロジェクトに
加わることに同意した。
福島原発で働く若い作業員に代わり、ヤステル集団が作業をするというプロジェクトだ。

記者「なぜ若い作業員でなく、あなたがたのようなベテラン作業員が必要だと?」
ヤステル「なぜなら、年を取った人間ほど、放射能汚染の影響を受けにくいからだ。
私はもう72歳。あと13~15年ほどしか生きられないであろう。放射能のせいで癌になったとしても、
私は後残り少ない命。一方若者は、がんになるとまだ長い人生が台無しになってしまう可能性がある」
記者「ほんとに勇敢な方だ。あなたは、kamikaze pensionersですか?(pensioners=年金生活者)
これはkamikazeミッションじゃないですか」
ヤステル「いやいや、我々はkamikazeではない。kamikazeというのは、自分の命を捨てる覚悟のできた人間たちだ。kamikazeは、死の危険を恐れず国を守るため、飛び立っていった。しかし我々は、戻ってくる。我々は、使命を遂げなければならない。しかし、死ぬつもりはない」

ヤステル集団の強い意志は、日本を守るという決意から発している。
彼らの世代で、日本が強力な経済国家となった。
彼らはこれまで原発のベネフィットを享受してきた。
電車が動く、電気を使える、快適な生活を送れるのは、原発のおかげであった。
政府は、ヤステルたちの申し入れをに対し、真剣に検討するとしている。
福島原発をシャットダウンするのは早くて1月、石棺化するのは数年かかると言われている。

一方こちらは、被災地のある喫茶店。
ミチオ・イトウ氏が、原発作業員らにコーヒーを振舞う。
イトウ氏も年金生活者であり、別のプロジェクトを推進している。
彼は、元々原発エンジニアではない。
教師をやっていた。
イトウ氏「わたしは別に特別なことをしているとは思はない。多くの人が私と同じ気持ちになっていると思う。問題は、実行に移せるか、それともただ指をくわえて見ているだけか。もちろん、実行に移すには、ガッツが要る。しかしそうすることによって得られるものは計り知れないほど大きい」

山田氏の話に戻る。彼は、かつて原発で働いていた時に着ていた作業着に袖を通した。
まだサイズはあっているそうだ。
ヤステル集団は、今、政府からの返答を待っている。
「最後のミッション」を始めるために。

(英BBC Global News 5月31日配信分より)

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