2011年11月8日火曜日

An American firm is punished but China's food safety problems run much deeper

世界のニュース
今回は英the Economistという雑誌の翻訳です
黒い話題に事欠かないあの国のお話。

Food Safety in China
‘In the gutter’
米国のスーパーマーケットチェーンであるウオールマート。
最近、成長著しい市場であるシナでひどい目にあった。
豚肉のラベル貼り付けミスごときで2週間もの閉鎖を指示された、シナ西南のチョンキン地域の13店舗の営業を10月25日にやっと再開した。
シナの役人たちは近頃食品の安全性について目を光らせている。
そして、外国企業がその格好のターゲットになっているのだ。
食品の安全性に関するスキャンダルは、しばしばこの国の役人たちの怠慢や汚職によりさらなる悪化の事態を招くことがあるが、
それはたいてい一党独裁政権である共産党への国民からの風当たりが強くなることにつながる。
北京オリンピックが迫っていた2008年夏、シナ共産党の政治家は、この国が安全でクリーンであるというイメージを全世界の人たちに分かってもらいたいがために、
メラミン(毒性のある物質)入りの乳製品がシナ国内で製造販売されたというニュースを政治の圧力により揉み消した。
オリンピック後の9月にようやくメラミン乳製品のニュースを放送してよいと政府共産党が認めた際には、
すでに数万人もの赤ちゃんが被害を受けており、死亡した赤ちゃんもいた。

このようなことがたびたび起こってきた、共産党一党独裁政権のシナ。
国民は食の安全に関して、怒り心頭であった。
2009年にようやく、食品の安全基準を厳しくし、管理強化を促し、違反者により重い罰則を科すことのできる食品安全法がシナで施行された。
しかし、2007年に、賄賂をもらい特定の会社製の食品が安全であると嘘の宣言をしていた罪で前の国家食品薬品管理局のトップが死刑になった時と同様、
食品安全法の施行も国民に満足な安心感を与えることはなかった。
事実、それ以降も毒性物質の混入した食品はシナのどこでも買うことができるという状況が続いている。

以上のような事象に比べれば、ウォールマートの、ラベル印字ミスなど、取るに足らないことである。
シナ政府の言い分では、ウォールマートは、通常の豚肉を高級品と印字して販売していたとのこと。
しかし、それだけのミスで、シナ政府は店舗の一時閉鎖に加え、$575,000(約4千6百万円)もの罰金をウォルマートに科した。
2人のウォルマートの従業員が逮捕までされ、25人の従業員は取り調べを受けている。
シナ現地法人の社長と副社長は辞任した(ウォルマート側は事件との関連はないとしているが)。

シナ全土に350の店舗と10万人もの従業員を持つウォルマートは、
食品安全に目を光らせるシナの役人たちにとって、今や格好のターゲットになってしまった。
チョンキン地区で、2006年以降、虚偽の広告やら期限切れの食品販売やらの名目で、
ウォルマートは21回も処分を食らっている。
しかし、今回の店舗閉鎖と4千万にのぼる罰金というのは、他の小売業界の会社に対するものも含め、ここ最近で最も厳しい処分であるという。
政府のウォルマートに対する扱いは、「罰則が犯罪を減らす」という法律の原則の枠を超えた、行き過ぎのものであるという批判もシナ国内からさえもある。

チョンキン地区がそのような食の安全に対し品の中でも最も厳しいところであるという見方もあるようだ。
チョンキンの政治トップであるボーヒライ氏は、地区での組織犯罪に対する厳しい(というよりか情け容赦のない)取締キャンペーンを行っている。
かれはまた、共産主義スタイルの平等・質素・誠実主義の推進も行ってきた人物。
彼の熱烈な、国家主義の支持者たちもウォールマートへの厳しい処罰を後押ししている。
支持者たちはボーヒライ氏に、来年の末に行われるであろう共産党書記長の交代の際、党のトップになってもらいたいと願っている。
ユートピアというボーヒライ氏を支持するウェブサイトがあるが、そこには、
「ウォールマートの件は、我々が食の安全に対し断固とした決意を持っていること、そしていかなる食の安全を犯す違反も厳罰に処罰するということを意味する」という書き込みが載っている。

しかし、他の多くのシナ人がこのような書き込みに同調しているとは言えない。
ウォルマートの件とほぼ同時期に次のような、より国民を唖然とさせる、食のスキャンダルが発覚したからだ。
それは、gutter oil(排油)が生産され、多くのレストランで使われていたというものだ。
gutter oilとは、レストランなどで使用済みの排水溝等に棄てられた油を、食用としたまたそのまま使うというもの。
排水溝から取り出されたその汚い油には、悪臭を消すために、化学薬品までも加えられていたという。
そのような油は、発癌物質や毒性の泥等を含んでいるのは当然である。
政府のニュース機関であるヒンファ通信社までもが、このスキャンダルを最近の食に関する事件で最も悪質なものであるとし、
シナ国家の食の安全性に対する危機意識がどれだけ低く、危険なものであるかと報道している。

先月(九月)、シナの警察はこのgutter oil(排油)を製造したとして32人を逮捕し、
14の地区で90トンもの排油を回収したと発表した。
政府寄りの報道機関の間でも、cynicism(シニシズム、皮肉)が広まっている。
ある、政府が母体である報道機関は、毎年200万トンもの上記のgutter oil(排油)が、食の安全に疎い国民によってレストラン等で消費されていると報じる。
これは、シナの10件に1件のレストランで排油が使われている計算となる。
この件を調べていた報道官、リ・ヒアン氏が先月謎の死を遂げたが、
これはシナ政府が、この国の食の危険さを暴露しようとする奴らはみんな黙らせてやるという態度で手段を選ばず攻めてくるぞ、という不安を国民にあおるものとなった。

シナ政府は、食の安全に対する国民の不安を解消できないことに苛立ちを募らせている。
10月19日には、首相であるWen Jiabao(温家宝)が閣議を開き、
その中で、営利企業における正直さの欠落を認め、国民に誠実であることの大切さを教える努力を国としてもっとすべきであると呼びかけた。
Wen氏は残り16か月の任期で、解決困難であろう重い責務の遂行を迫られることになる。

(英the Economist 10月29日 print editionより)

シナとはいわゆる中国のことですが、この国の食が危険であるということ、またこの国の国民にモラルというものが全くと言っていいほどないということは、我々には周知の事実ですね。
先月も、ある少女が何台もの車に轢かれたというのに、何十人もの通行人が知らんぷりで通り過ぎるという報道がありました。
また、ウォルマートに対し厳しい措置を取ったということが書かれていましたが、
最近シナ政府は小平時代の改革開放路線から転換し、外資企業を追い出す方向に舵を切り始めてるとのことです。
20年~30年前は、海外の技術がのどから手が出るほど欲しくて、良い顔をして海外企業の誘致を積極的に進めていた。
しかし、もう海外の技術は十分に盗み取ったというので、もう用無しということで、外資には出て行ってもらいたい。
しかもただ出て行ってもらうのではなく、多くの金をむしり取って、絞って絞ってから出ていかせるというのが策略のようです。
ウォルマートもラベルの張り間違えだけで4000万円以上もの罰金を科せられていましたね。
このような国とはまともに付き合わないのが他国の策略であると思いますが。

ちなみに、今朝の朝刊にも、シナに関する信じられない記事が…
「中国高速鉄道時速195キロで居眠り運転」(日経11月8日朝刊国際面)
「北京で大気汚染懸念 中国当局測定、米調査とかい離」(同国際面)
ほんま黒い話題に事欠かない国ですね

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