英The Economist Print版から。
Japan's Disaster - A crisis of leadership, too
The many-headed catastrophe points to deeper-seated problems in governing Japan (次々と起こる困難により、日本の統制管理における根の深い問題が浮き彫りになった)
数十万もの日本の一般市民の生活が地震、津波、火事、そして日に日に深刻になっている核(原子力発電所)の恐怖により一変してしまった。
世界中の人々が日本の動きに注目しているが、何より震災の生存者の落ち着いた行動―stoicism(忍耐・我慢)という言葉がふさわしいのだろう―に驚嘆させられている。
市民が先導する震災への不休不眠の対応はしばしば見られるが、不便をこうむっていることに対する不満等が聞かれることはほとんどない。
今、被災者の方の懸念は、水や食料、燃料などの不足から生じる不都合ではなく、自分たちの町を再建できるかどうかに向いている。
stoicism(忍耐・我慢)を貫くことは、どんな運命をも受け入れるという、なかなか真似をすることのできない生き方である。
また、全く知識がないのに何かの機械の操作を行おうとするときにもそれは発揮される。
そして、そんなstoicismを備えている日本人は、自然が時々起こす天災に対し、どんな運命でも受け入れるという心構えができている。
しかし、そんな彼らも、この経済的に発展し、統制のとれているはずの国で何故、温度の上昇を続けるnuclear plant(核発電所→原子力発電所)に対する政府の対応が手遅れになるほど緩慢で、かつ、何故tsunamiの被害を受けた地域への物資等の配送が滞っているのか、理解できない。
水や食料、暖気の不足は、被災者を一層苦しめるはずだ。
史上まれに見るほどの災害であるが、行政の判断次第で、防げた不幸もあるはずだ。
政府のシステムが、日本国民を疲弊させている。
このように政府を批判するのは、やり過ぎである思われるかもしれない。
最初、日本の首相である管直人氏は、徐々に取り返しのつかない状態になりつつあった、Fukushima Dai-ichi(福島第一原子力発電所)のmenacing situation(恐ろしい状態)に気づかず、楽観視していた。
菅内閣はまた、以前の内閣に比べ、はるかに透明性が低いということも指摘されている。
1995年に発生し、6400人もの方が亡くなった阪神大震災時の内閣も、菅内閣との比較に値する。
当時の村山内閣の対応は目を覆いたくなるほどひどく、韓国の方が村山内閣よりも早く、日本への緊急援助隊を結成したほどであった。
日本のマフィアと言われるYakuzaが、一番初めに当時被災者への食糧の供給にあたったという報告もある。
しかし皮肉というべきか、この阪神大震災で自民党(阪神大震災当時の村山政権は社民党)の戦後長期政権に対する不信感が増大し、管直人氏の率いる民主党に光が当たり始めた。
Kobeの件で、日本の政権が無能者に委ねられているということが示されてしまった。
このことは、当時漂流を始めていた日本が、かつての輝きを取り戻すべく、過去に対する省察を徹底すべきだとの風潮が起こることにつながった。
lost decade(失われた10年)といわれる期間が日本にはあるが、その間に日本はすべてを失ったわけではなかった。
「市民から政治を変えていく」というムーヴメントが起こり、その波に乗った自身も市民活動家出身である菅氏と彼の作った民主党は躍進し、平成19年の衆議院選で圧勝した彼とその党は、より信頼のできる政治を市民に約束した。
しかし、今回の震災で、民主党の政治システムがまだ未熟で、政治家による主導がまだ必要な部分があるということが示された。
一例をあげると、絶対必要なはずの、政府と核(原子力)産業との緊密な連携が取れていないということが顕になったこと。
更にいうと、彼らは議論を封鎖し、へまを隠し、楽観的すぎる想定ばかり国民に示している。
問題の発電所の管理者であるTEPCO(Tokyou Electric Power Company:東京電力)は、指揮命令の能力がまるで皆無であることも国民に曝された。
同様のことは、tsunami生存者に対する支援についても言える。
菅直人氏は先頭に立って事態に対処しているように見せているのかもしれないが、官邸では東北地方での惨事が他人事のように感じられているような雰囲気があるような気がしてならない。
それはやはり、福島の核発電所の状況がほとんどすべての政府関係者たちの注目を集めているからであろう。
被災地へと自ら出向いた政治家というのは、ほとんどいない。
多くが東京に本部を置く日本のメディアは、被災地での飲料・食料の供給状態がどれだけ深刻であるか、適切に伝えきれていない部分もある。
しかし、ビジネスマンや犠牲者たちは、よく分かっていて、物資が行政による不備でなかなか被災地に届かないのだと知っている。
東北地方へと続く高速道路は、救援物資を運ぶトラックのためにempty(からっぽ、車が全くと通らない)状態なのだが、肝心のそのトラックがガソリンがなく動けない。
石油配給会社も、需要に間に合わず、切羽詰っている。
初めから菅氏がstate of emergency(緊急事態宣言)を発令し、天災が人災に代わる前に、様々な問題に迅速に手を打てるよう、企業や様々な団体が柔軟に対処できる体制を整えておくべきだったのだ。
今でさえ、当局の震災に対する明確な方向性は打ち出されていない。
日本には、指導力を存分に発揮できる政治家が消えてから長い月日がたつ。
首相とその内閣の顔ぶれは次々と変わり、政治機能の停滞を長引かせてきた。
しかし今回の震災は、その機能不全に、情け容赦のない光を当てた。
政治改革を約束したはずの管直人氏は、今こそそれを実行するときにある。
政府に対するこれまでと別の態度を取ることによって、日本の国民も救われるはずだ。
日本人の持つ美徳、stoicism(忍耐・我慢)は逆境を乗り越えるためには必要かもしれないが、今の日本の政治に対しては、それをあまり発揮すべきでないかもしれない。
今こそ、真の政治の変革を求め、自分たちを打ちのめしてきた政治システムに対し、「正当な怒り」をぶつける時なのだ。
英Economist Print版 3月24日発行分より。
POD CASTで英国・米国・カナダのニュースを毎日英語で聴いています。 その中から、日本のメディアが取り上げないと予想される、 かつ、聴いていて興味深い話題をピックアップし、 日本語に訳して掲載しています。 文章力等至らない面も多くありますが、 是非「へぇ他の国ではこんなことがあるんだぁ」 と楽しんで読んでいただければ、幸いです!!
2011年3月26日土曜日
2011年3月20日日曜日
Japan’s hydra-headed disaster
英エコノミスト誌の日本の今回の震災に関する記事を掲載させていただきます。
Some natural disasters change history. Japan’s tsunami could be one.
‘tsunami’という言葉は、世界共通で使われる、数少ない日本語のうちの一つである。
このことから日本が自然災害に見舞われることの多い国であるということがうかがえる。
しかし、過去の自然災害と比較してみても、今回のは特に悲劇的である。
記録に残る限り、日本史上最大のマグニチュード9.0という巨大地震が起こり、そしてその後の津波によっていくつもの町が消え去ったのだ。
氷のように冷たい津波の水が内陸数キロにまで達し、破壊された町の瓦礫を海に押し出す。
そして多くの高齢の人や、逃げ遅れた人たちが犠牲となった。
半分以上の住民が亡くなったか行方不明になっているという町もある。
このような危機に瀕して、もともと礼節をわきまえる民族である日本国民がどれだけresilient(苦難に向かって立ち向かう精神を持っている)であるかがうかがえる。
火事場泥棒のような略奪行為はない。
tsunamiの生存者の中でも、文句を言ってわめき散らす人など見つけるほうが難しいくらいだ。
東京ではtax deadlines(確定申告の締切日)に手続きを済ませられるよう、申請者が何時間にもわたって列を作って並んでいた。
この国の至る所で、地震による混乱を最小限に抑えようと、人々がひそかに心に決意しているように思える。
そして多くのボラアンティアの人々が被災地へと向かった。
平成7年の阪神大震災では出動に躊躇したSelf-Defense Forces(自衛隊)も今回はすぐさま被災地へと向かった。
震災前、非常に低い支持率にあえいでいた管直人内閣も、様々な困難に面しながらも、一応日本を秩序ある状態に保っている。
思えば、阪神大震災の時の、当時の政府(村山内閣)の目を覆いたくなるほどの問題だらけの対応は、日本から都市や人命だけでなく、この国の誇りさえも失わせてしまった。
今回の地震による悲劇は日本国内だけのものであるといえるかもしれないが、これはしかし世界中の人々に、解決に長い時間を要する疑問を投げつけた。
市場は、世界第三の経済大国である日本の危機により、大きく混乱している。
日本の中央銀行(日銀)は資金の大量注入により、金融パニックの風評が起こらないよう躍起になっているように見える。
専門家の予測によると、今回の震災による被害総額は、再建に10兆円を要した阪神大震災を多少上回るほどの金額であり、かつこの程度の金額は日本の経済を破綻させるほどのものではないとしている。
もちろん、電力供給のトラブルが起きていることは、成長を鈍化させ、その影響は近隣のアジア諸国にも問題を起こすかもしれないが、新たなインフラなどへの投資が震災による経済衰退を相殺してくれるであろう。
このような予測も、nuclear crisis(核の危機)の状況が悪化すれば、変わりうると言っておかねばならない。
爆発があり、炎が上がり、放射能の濃度が平常時より高くなっている原因となっている福島第一原発にヘリコプターによる散水が始まった。
日本のnuclear industry(核産業)は、隠蔽と失敗の歴史であった(もちろん表に出ることは少ないが、危険と常に隣り合わせの核施設での作業員たちは英雄である)、そして今回放射能漏れの問題を抱える原発を管理しているTEPCO(東京電力:Tokyo Electric Power Company)も残念ながら、これまでの歴史と同じ轍を踏もうとしているように見える。
今回の核の事故がスムーズに収束し、漏れ出している放射線の量が国民に健康被害を与えるレベルのものでないと判明したとしても、日本内外の核産業に与える悪影響はとてつもなく大きいものとなろう。
Germany(ドイツ)は、核施設の延命措置を取りやめる決断をした。
米国での新たな核発電所(原子力発電所)の建設は取りやめになる公算が大きいという見方も出始めている。
中国も自国内での核発電所(原子力発電所)の建設計画を一時的に躊躇するかもしれない。
現在27の核発電所を建設中であり、さらに新たに50の核発電所を建設する予定がある。
しかし、中国共産党は、長期計画では、これらの建設計画を遂行する予定で、一党独裁政権のこの国はもちろん国民からどんな反対意見が出ようとこの意志を変えることはしないであろう。
事実中国は深刻なエネルギー不足にあえいでおり、核発電所の増設や従来の大量の石炭発電に併せ、風力発電やガス発電からのエネルギー供給も大幅に増やす計画だ。
ここに核のジレンマがある。
核に対する安全を保障するには、優れた計画と優れた技術だけでは足りないのである。
核開発を行うにあたっては、責任をあらかじめ明確にしておき、かつ透明性を保つことが重要なのである。
そうして初めて人々から信頼され、かつ信頼に値する核施設を作ることができるのだ。
このことがきちんと出来ている国は今のところ存在しないし、日本もできていないということがこれからどんどん明らかになることであろう。
しかし、本来democracies(民主主義国家:日本や欧米のこと)は、このようなことがきちんと出来るはずなのである。
democracy(民主政治・民主主義)に於いては少数派の意見にきちんと耳を傾けることが原則であり、そうすることで万が一の危険も避けるよう万全の対策を整えるということが可能なはずなのである。
このようなプロセスが、核発電所(原子力発電所)の建設に於いても取られるべきなのである。
したがって、核発電所が容易に乱立するような国は、そのような少数派の人々の意見を聞かないような国、中国やロシアであろう。
しかしだからと言って、我々は核発電(原子力発電)から目を背けてはならないのである。
核発電は我々に安定したて電気を供給し、エネルギー保障をもたらし、かつ建設中に出るCO2を考慮して上でも、二酸化炭素排出量がゼロであるという点で非常に環境にやさしいという利点を持っている。
また、もちろん事故等で犠牲者を出しているが、他のエネルギーに頼るということを考えれば、核発電(原子力発電)に頼るということのほうが賢明であると思わされるデータがある。
チェルノブイリの事故では、詳細な数字は明らかにされていないが、おそらく20万~30万人が犠牲になったといわれている。
一方、中国での石炭鉱では、毎年2千から3千人の炭鉱夫が犠牲になっており、かつ炭鉱を燃やしたことにより発生する有毒ガスが毎年それ以上の人々を死に追いやっている。
累計すると、20万~30万ではきかないであろう。
それ故、先進国にとって、経済活動上かつ技術上核を持つということにより、世界レベルでの核の安全を保障し核の拡散防止のために高い水準を維持するためという理由だけからではなく、核発電所(原子力発電所)を持つことは、合理的な選択なのである。
もちろん、災害等に直面した時のリスクはあるのだが。
日本ほどこの選択により危機に直面している国は現在ないであろう。
核(原子力)により恐怖にさらされているが、しかしエネルギー保障に於いて自国で生み出せるものとして他の選択肢がない国なのだから。
日本にとって核(原子力)を放棄するということは、さらに大量の石油や、場合によっては石炭を輸入しなければならないということを意味する。
核(原子力)を持ち続けるということは、国家のトラウマに直面するがかつそれを克服するという両方を意味し、また、規模の大小はともかく、放射能漏れという本当の危機に直面するリスクを持つということも意味する。
日本というのは大災難に見舞われることの多い国である。
しかし、その後には偉大なる変革がしばしばあった。
1923年の関東大震災の後には日本は、当時他のどの国も挑んだことがなく、また現在までもどの国も挑んだことのない、米国との対戦へ国力の増強に努め始めた。
敗戦後は歴史上類のないほどの復興を成し遂げ、阪神大震災の後も新たな国づくりに向け、あらゆることを増強した。
今回の震災もこれらのような大きなインパクトを日本国民の精神に与えているということが見て取れる。
日本国民の災害に対する驚くほどの冷静な対応。
このような危機に直面して、国民がstoicism(克己・禁欲)を保っていることに世界中が畏敬の念を示している。
これらはいま日本人が本当に必要としているself-confidence(自国に対する自信)を取り戻すことにつながるであろう。
また、福島第一原発に対する政府の稚拙な対応で露見された民主党政治の崩壊は、国民によるさらなる政治変革要求につながるはずだ。
菅氏が、原発に関する情報は信頼できるものであり、tsunami生存者の苦労を少しでも和らげるために奮闘していると国民に納得してもらうことができている限りは、日本政治の自由化を推し進めることができるであろう。
もしくはおそらく間違った方向に進んでしまう恐れも大いにあるのだが。
自信を失い、政治機能不全の日本に今必要なのは変革である。
日本国民に、今回の震災をdeath, grief and mourning(犠牲と悲しみと喪)の瞬間であるとみなすのではなく、time of rebirth(再生のとき)とみなし奮闘していただきたいと願うばかりである。
(英 the Economist 3月17日号より)
私は阪神大震災での被災経験はありますが、その時なかった危機が今回の震災にあります。
nuclear crisis(核の危機)です。
文章中で原子力発電所のことを「核発電所」と表記しました。
原子力発電所は英語で‘nuclear power plant’。
直訳すると「核発電所」なのです。
非核三原則というよくわからないモノがあるために、「核発電所」ではなく原子力発電所という言葉を使わざるを得なかった。
つまり私たちはずっと騙されていたわけです。
電力会社と政府は、「核」を扱っているとう危機感を持ってこれまでnuclear power plantを管理してきたのでしょうか。
現場の社員の危険を顧みない奮闘ぶりには頭が下がりますが、それを管理・管轄するほうにずっと危機感というものが足りていなかったことが今回の原発問題につながってしまったのだと思います。
しかし、こうは言いながらも、やはり核発電を日本は放棄してはならないと私は思います。
もともとエネルギー資源は無に等しい日本。
石油などを海外からの輸入に頼っていても、地政学的リスクは非常に大きくい、永続的に安定的に供給してもらえるかというとその可能性は低いと言わざるを得ない。
資源がないという日本の弱みをカバーするのが、高い技術力という日本の持つ最大の強みである。
プルサーマルや高速増殖炉を活用し、有限なウラン資源を有効活用することにより、国内で資源がなくともエネルギーの供給を十分に賄えるという技術を持つ日本、更にこの技術を世界へと輸出し、世界的なエネルギー不足問題の解決につなげるという使命を日本は持ち、そして果たすべきであると思います。
福島原発については、マグニチュード9.0の地震は想定していなかったとのことですが、ならばマグニチュード10.0の地震を想定し、原発の建設や再建を推し進めればいいだけの話ではないかと思います。
というかこのレベルの地震が起これば原発どうこう以前の問題で、国がなくなるほどの大きな被害をもたらすのだと思いますが。
今回の件で日本国内でもまた海外の多くの国でもnuclear power plantに対する懸念が多く聞かれます。
「危ないからやめろ」と口で言うのは簡単ですが、果たしてそのように言う人は実際に日本から核発電所がなくなったらどうなるのか想像できているのでしょうか。
文章中にもあった通り、やはり私たちは続けるにしろやめるにしろ、それから目を背けてはならないのだと思います。
Some natural disasters change history. Japan’s tsunami could be one.
‘tsunami’という言葉は、世界共通で使われる、数少ない日本語のうちの一つである。
このことから日本が自然災害に見舞われることの多い国であるということがうかがえる。
しかし、過去の自然災害と比較してみても、今回のは特に悲劇的である。
記録に残る限り、日本史上最大のマグニチュード9.0という巨大地震が起こり、そしてその後の津波によっていくつもの町が消え去ったのだ。
氷のように冷たい津波の水が内陸数キロにまで達し、破壊された町の瓦礫を海に押し出す。
そして多くの高齢の人や、逃げ遅れた人たちが犠牲となった。
半分以上の住民が亡くなったか行方不明になっているという町もある。
このような危機に瀕して、もともと礼節をわきまえる民族である日本国民がどれだけresilient(苦難に向かって立ち向かう精神を持っている)であるかがうかがえる。
火事場泥棒のような略奪行為はない。
tsunamiの生存者の中でも、文句を言ってわめき散らす人など見つけるほうが難しいくらいだ。
東京ではtax deadlines(確定申告の締切日)に手続きを済ませられるよう、申請者が何時間にもわたって列を作って並んでいた。
この国の至る所で、地震による混乱を最小限に抑えようと、人々がひそかに心に決意しているように思える。
そして多くのボラアンティアの人々が被災地へと向かった。
平成7年の阪神大震災では出動に躊躇したSelf-Defense Forces(自衛隊)も今回はすぐさま被災地へと向かった。
震災前、非常に低い支持率にあえいでいた管直人内閣も、様々な困難に面しながらも、一応日本を秩序ある状態に保っている。
思えば、阪神大震災の時の、当時の政府(村山内閣)の目を覆いたくなるほどの問題だらけの対応は、日本から都市や人命だけでなく、この国の誇りさえも失わせてしまった。
今回の地震による悲劇は日本国内だけのものであるといえるかもしれないが、これはしかし世界中の人々に、解決に長い時間を要する疑問を投げつけた。
市場は、世界第三の経済大国である日本の危機により、大きく混乱している。
日本の中央銀行(日銀)は資金の大量注入により、金融パニックの風評が起こらないよう躍起になっているように見える。
専門家の予測によると、今回の震災による被害総額は、再建に10兆円を要した阪神大震災を多少上回るほどの金額であり、かつこの程度の金額は日本の経済を破綻させるほどのものではないとしている。
もちろん、電力供給のトラブルが起きていることは、成長を鈍化させ、その影響は近隣のアジア諸国にも問題を起こすかもしれないが、新たなインフラなどへの投資が震災による経済衰退を相殺してくれるであろう。
このような予測も、nuclear crisis(核の危機)の状況が悪化すれば、変わりうると言っておかねばならない。
爆発があり、炎が上がり、放射能の濃度が平常時より高くなっている原因となっている福島第一原発にヘリコプターによる散水が始まった。
日本のnuclear industry(核産業)は、隠蔽と失敗の歴史であった(もちろん表に出ることは少ないが、危険と常に隣り合わせの核施設での作業員たちは英雄である)、そして今回放射能漏れの問題を抱える原発を管理しているTEPCO(東京電力:Tokyo Electric Power Company)も残念ながら、これまでの歴史と同じ轍を踏もうとしているように見える。
今回の核の事故がスムーズに収束し、漏れ出している放射線の量が国民に健康被害を与えるレベルのものでないと判明したとしても、日本内外の核産業に与える悪影響はとてつもなく大きいものとなろう。
Germany(ドイツ)は、核施設の延命措置を取りやめる決断をした。
米国での新たな核発電所(原子力発電所)の建設は取りやめになる公算が大きいという見方も出始めている。
中国も自国内での核発電所(原子力発電所)の建設計画を一時的に躊躇するかもしれない。
現在27の核発電所を建設中であり、さらに新たに50の核発電所を建設する予定がある。
しかし、中国共産党は、長期計画では、これらの建設計画を遂行する予定で、一党独裁政権のこの国はもちろん国民からどんな反対意見が出ようとこの意志を変えることはしないであろう。
事実中国は深刻なエネルギー不足にあえいでおり、核発電所の増設や従来の大量の石炭発電に併せ、風力発電やガス発電からのエネルギー供給も大幅に増やす計画だ。
ここに核のジレンマがある。
核に対する安全を保障するには、優れた計画と優れた技術だけでは足りないのである。
核開発を行うにあたっては、責任をあらかじめ明確にしておき、かつ透明性を保つことが重要なのである。
そうして初めて人々から信頼され、かつ信頼に値する核施設を作ることができるのだ。
このことがきちんと出来ている国は今のところ存在しないし、日本もできていないということがこれからどんどん明らかになることであろう。
しかし、本来democracies(民主主義国家:日本や欧米のこと)は、このようなことがきちんと出来るはずなのである。
democracy(民主政治・民主主義)に於いては少数派の意見にきちんと耳を傾けることが原則であり、そうすることで万が一の危険も避けるよう万全の対策を整えるということが可能なはずなのである。
このようなプロセスが、核発電所(原子力発電所)の建設に於いても取られるべきなのである。
したがって、核発電所が容易に乱立するような国は、そのような少数派の人々の意見を聞かないような国、中国やロシアであろう。
しかしだからと言って、我々は核発電(原子力発電)から目を背けてはならないのである。
核発電は我々に安定したて電気を供給し、エネルギー保障をもたらし、かつ建設中に出るCO2を考慮して上でも、二酸化炭素排出量がゼロであるという点で非常に環境にやさしいという利点を持っている。
また、もちろん事故等で犠牲者を出しているが、他のエネルギーに頼るということを考えれば、核発電(原子力発電)に頼るということのほうが賢明であると思わされるデータがある。
チェルノブイリの事故では、詳細な数字は明らかにされていないが、おそらく20万~30万人が犠牲になったといわれている。
一方、中国での石炭鉱では、毎年2千から3千人の炭鉱夫が犠牲になっており、かつ炭鉱を燃やしたことにより発生する有毒ガスが毎年それ以上の人々を死に追いやっている。
累計すると、20万~30万ではきかないであろう。
それ故、先進国にとって、経済活動上かつ技術上核を持つということにより、世界レベルでの核の安全を保障し核の拡散防止のために高い水準を維持するためという理由だけからではなく、核発電所(原子力発電所)を持つことは、合理的な選択なのである。
もちろん、災害等に直面した時のリスクはあるのだが。
日本ほどこの選択により危機に直面している国は現在ないであろう。
核(原子力)により恐怖にさらされているが、しかしエネルギー保障に於いて自国で生み出せるものとして他の選択肢がない国なのだから。
日本にとって核(原子力)を放棄するということは、さらに大量の石油や、場合によっては石炭を輸入しなければならないということを意味する。
核(原子力)を持ち続けるということは、国家のトラウマに直面するがかつそれを克服するという両方を意味し、また、規模の大小はともかく、放射能漏れという本当の危機に直面するリスクを持つということも意味する。
日本というのは大災難に見舞われることの多い国である。
しかし、その後には偉大なる変革がしばしばあった。
1923年の関東大震災の後には日本は、当時他のどの国も挑んだことがなく、また現在までもどの国も挑んだことのない、米国との対戦へ国力の増強に努め始めた。
敗戦後は歴史上類のないほどの復興を成し遂げ、阪神大震災の後も新たな国づくりに向け、あらゆることを増強した。
今回の震災もこれらのような大きなインパクトを日本国民の精神に与えているということが見て取れる。
日本国民の災害に対する驚くほどの冷静な対応。
このような危機に直面して、国民がstoicism(克己・禁欲)を保っていることに世界中が畏敬の念を示している。
これらはいま日本人が本当に必要としているself-confidence(自国に対する自信)を取り戻すことにつながるであろう。
また、福島第一原発に対する政府の稚拙な対応で露見された民主党政治の崩壊は、国民によるさらなる政治変革要求につながるはずだ。
菅氏が、原発に関する情報は信頼できるものであり、tsunami生存者の苦労を少しでも和らげるために奮闘していると国民に納得してもらうことができている限りは、日本政治の自由化を推し進めることができるであろう。
もしくはおそらく間違った方向に進んでしまう恐れも大いにあるのだが。
自信を失い、政治機能不全の日本に今必要なのは変革である。
日本国民に、今回の震災をdeath, grief and mourning(犠牲と悲しみと喪)の瞬間であるとみなすのではなく、time of rebirth(再生のとき)とみなし奮闘していただきたいと願うばかりである。
(英 the Economist 3月17日号より)
私は阪神大震災での被災経験はありますが、その時なかった危機が今回の震災にあります。
nuclear crisis(核の危機)です。
文章中で原子力発電所のことを「核発電所」と表記しました。
原子力発電所は英語で‘nuclear power plant’。
直訳すると「核発電所」なのです。
非核三原則というよくわからないモノがあるために、「核発電所」ではなく原子力発電所という言葉を使わざるを得なかった。
つまり私たちはずっと騙されていたわけです。
電力会社と政府は、「核」を扱っているとう危機感を持ってこれまでnuclear power plantを管理してきたのでしょうか。
現場の社員の危険を顧みない奮闘ぶりには頭が下がりますが、それを管理・管轄するほうにずっと危機感というものが足りていなかったことが今回の原発問題につながってしまったのだと思います。
しかし、こうは言いながらも、やはり核発電を日本は放棄してはならないと私は思います。
もともとエネルギー資源は無に等しい日本。
石油などを海外からの輸入に頼っていても、地政学的リスクは非常に大きくい、永続的に安定的に供給してもらえるかというとその可能性は低いと言わざるを得ない。
資源がないという日本の弱みをカバーするのが、高い技術力という日本の持つ最大の強みである。
プルサーマルや高速増殖炉を活用し、有限なウラン資源を有効活用することにより、国内で資源がなくともエネルギーの供給を十分に賄えるという技術を持つ日本、更にこの技術を世界へと輸出し、世界的なエネルギー不足問題の解決につなげるという使命を日本は持ち、そして果たすべきであると思います。
福島原発については、マグニチュード9.0の地震は想定していなかったとのことですが、ならばマグニチュード10.0の地震を想定し、原発の建設や再建を推し進めればいいだけの話ではないかと思います。
というかこのレベルの地震が起これば原発どうこう以前の問題で、国がなくなるほどの大きな被害をもたらすのだと思いますが。
今回の件で日本国内でもまた海外の多くの国でもnuclear power plantに対する懸念が多く聞かれます。
「危ないからやめろ」と口で言うのは簡単ですが、果たしてそのように言う人は実際に日本から核発電所がなくなったらどうなるのか想像できているのでしょうか。
文章中にもあった通り、やはり私たちは続けるにしろやめるにしろ、それから目を背けてはならないのだと思います。
2011年2月23日水曜日
Red Bull に気をつけろ
‘Caffeine Overload’
米ABCワールドニュースから。
米国では、レッドブル等の「エネルギードリンク」に対する子供達からの人気はますます高くなっている。
実際、このような「スーパーチャージ」の役目を果たすドリンクは、米国のスーパーマーケットのドリンク売場の棚を占領するかのごとく並べられており、その市場は90億㌦(約1兆円)とも言われている。
このようなカフェイン度の高いドリンクが、ヒト、特に子供達に与える影響がどのようなものなのか、ABCの記者が取材した。
「モンスター」や「ロックスター」、「レッドブル」。
これらはどれも、「エネルギードリンク」の名称。
米国の子供達には当たり前のように飲まれる商品名だ。
多くの子供達はこれらエネルギードリンクに中毒になっている。
しかし専門家たちは、これらのドリンクには過度のカフェインが含まれていると警告する。
カフェインによる影響は、子供に対しては大人に対するものの二倍もあるとの研究結果もある。
最近の多くの米国の子供は一日一本以上のエネルギードリンクを飲むという調査結果があるが、一日一本飲むだけでも、子供の身体に対する悪影響は計り知れないものがあるという。
多くの医者によると、18歳以下の子供のカフェインの摂取量は、一日100mg以下にせねばならんという。
缶コーラ1本には、35mgのカフェインが含まれる。
コーヒー1杯で100mg。
「モンスター」というエネルギードリンクには、1缶160mgものカフェインが含まれる。これはコーラ4缶ぶんだ。
「ジョルト」というエネルギードリンクには280mgものカフェイン。なんとコーラ8缶ぶんだ。
ABCの取材に応じたある医師は、「スーパーでは、だれもエネルギードリンクを規制できない。
子供であろうが誰だろうが、過度にカフェインを含んだドリンクをいくらでも買える。
子供のカフェインの多量摂取は、心臓への影響が一番恐ろしい。
心拍数がやたらと上がり、服を着ていても心臓が動くのが分かるほど激しく鼓動するようになる」と述べる。
米国FDAによると、炭酸飲料へのカフェイン含有量の規制は行っているが、
エネルギードリンクに対するそれは対象外とのこと。
米国では、エネルギードリンクは「サプリメント」や「ソフトドリンク」の分類になるというのがその理由である。
米国のビバレッジメーカーは、子供たちはそれほど多くのエネルギードリンクを一日に飲むことはないと信じているといい、責任感は全くない様子である。
また、カフェイン含有量による子供への影響はきちんとテストされており、エネルギードリンクはsafeであると言い切る。
エネルギードリンクへの大人たちの対応。エネルギッシュな物議を醸しそうだ。
(2月14日配信ぶん)
自由主義市場に於いて、企業というのは、やはり未来を担う子供を殺すことになるかもしれないとわかっていても、数字のためなら手段は選ばないという思想から抜けきれないんすね。
一社くらい、「子供たちのために、この国の未来のために、エネルギードリンクの製造を止めよう」とか言う企業が出てくればかっけ~んですがね。
まー日本でも状況は同じですが。
最近の若者が柔らかい食べ物が好きだからということで噛むとふにゃんとなるガムを発売しているケン○ンとか。
冷し中華も柔らかいっすよね。
親がしっかり判断の目を持つしかないっすね。
うちも子供が変なのに手をださないように気をつけるっすよ
米ABCワールドニュースから。
米国では、レッドブル等の「エネルギードリンク」に対する子供達からの人気はますます高くなっている。
実際、このような「スーパーチャージ」の役目を果たすドリンクは、米国のスーパーマーケットのドリンク売場の棚を占領するかのごとく並べられており、その市場は90億㌦(約1兆円)とも言われている。
このようなカフェイン度の高いドリンクが、ヒト、特に子供達に与える影響がどのようなものなのか、ABCの記者が取材した。
「モンスター」や「ロックスター」、「レッドブル」。
これらはどれも、「エネルギードリンク」の名称。
米国の子供達には当たり前のように飲まれる商品名だ。
多くの子供達はこれらエネルギードリンクに中毒になっている。
しかし専門家たちは、これらのドリンクには過度のカフェインが含まれていると警告する。
カフェインによる影響は、子供に対しては大人に対するものの二倍もあるとの研究結果もある。
最近の多くの米国の子供は一日一本以上のエネルギードリンクを飲むという調査結果があるが、一日一本飲むだけでも、子供の身体に対する悪影響は計り知れないものがあるという。
多くの医者によると、18歳以下の子供のカフェインの摂取量は、一日100mg以下にせねばならんという。
缶コーラ1本には、35mgのカフェインが含まれる。
コーヒー1杯で100mg。
「モンスター」というエネルギードリンクには、1缶160mgものカフェインが含まれる。これはコーラ4缶ぶんだ。
「ジョルト」というエネルギードリンクには280mgものカフェイン。なんとコーラ8缶ぶんだ。
ABCの取材に応じたある医師は、「スーパーでは、だれもエネルギードリンクを規制できない。
子供であろうが誰だろうが、過度にカフェインを含んだドリンクをいくらでも買える。
子供のカフェインの多量摂取は、心臓への影響が一番恐ろしい。
心拍数がやたらと上がり、服を着ていても心臓が動くのが分かるほど激しく鼓動するようになる」と述べる。
米国FDAによると、炭酸飲料へのカフェイン含有量の規制は行っているが、
エネルギードリンクに対するそれは対象外とのこと。
米国では、エネルギードリンクは「サプリメント」や「ソフトドリンク」の分類になるというのがその理由である。
米国のビバレッジメーカーは、子供たちはそれほど多くのエネルギードリンクを一日に飲むことはないと信じているといい、責任感は全くない様子である。
また、カフェイン含有量による子供への影響はきちんとテストされており、エネルギードリンクはsafeであると言い切る。
エネルギードリンクへの大人たちの対応。エネルギッシュな物議を醸しそうだ。
(2月14日配信ぶん)
自由主義市場に於いて、企業というのは、やはり未来を担う子供を殺すことになるかもしれないとわかっていても、数字のためなら手段は選ばないという思想から抜けきれないんすね。
一社くらい、「子供たちのために、この国の未来のために、エネルギードリンクの製造を止めよう」とか言う企業が出てくればかっけ~んですがね。
まー日本でも状況は同じですが。
最近の若者が柔らかい食べ物が好きだからということで噛むとふにゃんとなるガムを発売しているケン○ンとか。
冷し中華も柔らかいっすよね。
親がしっかり判断の目を持つしかないっすね。
うちも子供が変なのに手をださないように気をつけるっすよ
2011年1月15日土曜日
'the Power of Love'
新年一発目のPod Cast からのニュースになります。
米ABC World News から。
'the Power of Love'
一部の専門家によると、周りに友人がいると、患者にとって病状の緩和が早くなるという結果が出ているという。
科学的にこの事実を証明できるのか。
ABCの記者が取材をした。
意識のない患者、いわゆる植物人間状態でベッドに横たわっているだけの患者が、
親族や友人が周りにいて、触ったり話しかけたりしてくれることで、
‘助けられる’ことがあるというのは、よく言われることである。
ABCの社員であるボブ・ウッズは、イラクで脳の手術をした。
今は回復して元気に歩き回っているが、
手術直後は昏睡状態でベッドに横たわっている状態であったが、
常に彼の妻と子供たちはベッドに横たわる彼のそばにいた。
そのことが彼を昏睡状態から回復させたと、彼は主張する。
ある大学教授の話によると、
ベッドの周りに家族などの親しい人がいて、話しかけたり触ったりしてくれることで、
植物人間状態の人が早く回復するということは、
科学的には証明できないという。
しかし、これまでそのようなことで、意識不明の患者が回復したという症例が
実際に何件もあるという。
科学的な裏付けがなくとも、家族や友人たちが患者のそばにいるほうがいいという
考え方は広まっているようだ。
デューク大学の研究者たちが、心臓病患者たちに対し、ある実験を行った。
まず患者たちを2つのグループに分ける。
1つのグループは、家庭を持ち、家族や友人がいつもそばにいてくれる患者たち。
もう一方のグループは、結婚もしておらず、友人もおらず、
病室のベッドで一人で過ごすことがほとんどの患者。
研究者たちによると、一人で過ごすことの多かった患者のうち50パーセントは、
5年以内に亡くなってしまった。
一方、家族や友人がいつもいてくれたほうの患者のグループでは、
5年でに亡くなったのは18パーセントの患者にすぎなかったという。
研究者の一人によると、親しい人が周りにいてくれることで、
アドレナリンなどの、患者にストレスを与えかねないホルモンの分泌量が
減少したせいではないかという。
患者がストレスを減らすことで、体が治療や自然治癒に専念できるということだ。
心臓病患者が孤独にずっと過ごし続けることは、
毎日喫煙し続けるのと同じくらい悪影響があると言う専門家もいる。
ABC World News January 13 配信分より。
こういう話はよく聞きますよね。
家族や友人、知り合いが入院したら、
できるだけお見舞い行ってあげましょうね。
ちなみにthe Power of Love というのは、
バックトゥザフュチャという古い映画のテーマ曲です。
2010年12月30日木曜日
Chilean Miners
チリの鉱山事故は、今年の世界仰天ニュースの中でもトップテンに入るんじゃないでしょうか。
英BBC Global Newsから
‘An complicated issue’
今年の八月五日、チリの鉱山で地中深く閉じ込められていた33人が救出された。
その69日後、鉱山から一人一人が奇跡的に救出されるのを世界が見守った。
困難を極めた救出作業の間中ずっと家族や親類や友人はサンホゼ鉱山の外に設営されたテントで待ち続けていた。
BBCの記者はその様子をずっと取材していた。
彼は鉱山近くの町、コピアポに戻ってきて、あの時救出された33人が今何をしているのか取材した。
今私はここコピアポ町の266回目の聖誕祭の中にいる。
町の中央駅に何千という人達が集まり、伝統衣装を身にまとった数十人の子供達がチリの舞踊音楽に合わせて踊ってる。
夜になると、町長や議員なども参列する。
コピアポの『ヒーロー』を讃えるため。
すっと折り目の入ったスーツを身にまとい、顔にはサングラスをかけた男達がいる。
二ヶ月に渡り、サンホゼ鉱山の地中深くに閉じ込められていたあの33人のうちの一部のメンバーだ。
『救出』以降、彼らの生活は一変した。
ガーラさんは救出されたメンバーの一人。
今コピアポ町長から英雄として讃える楯を受けとった。
前に私が彼に会ったのは、救出から二日後のことだった。
かれの家族が私をホームバーベキューパーティーに招いてくれたのだ。
日差しから目を守るためのプロテクターサングラスを着けた彼は、青白く、痩せていた。
そしてあれから二ヶ月。彼が今どうしているのか私は気になり始めた。
彼に会うと、まず世界中を旅したことを話してくれた。
ガーラさん「マドリードに行き、米国に行き、英国にも行きました。そして最近は、あの救出までの奇跡の講演をするめにチリ中をまわっています。講演を通し、特に子供たちに勇気を持つことの大切さを感じてほしいと思っています。勇気があったから33人は生き延びた。そして、神の恵みに感謝し、一生懸命働くことの尊さも感じてほしい」
ガーラさんは救出後、「セレブリティー」としての地位をエンジョイしているように思えた。そして彼の家族にとっても、これは興味深い経験となったようだ。
ガーラさんの義理の妹「ガーラの救出後、ほんとにたくさんの人が彼を見にうちにきたのよ。みんか彼に挨拶をし、話をしたがってた。彼はそれをとても名誉のことと思っていたようで、スーパーに買い物に行っても周りの人に挨拶し、車に乗ってるときでも道行く人々に窓から手を出して応えてたわ」
ガーラさんの孫娘「おじいちゃんが生き埋めになったときいたときは、本当に悲しかった。最近は、サンホゼ鉱山救出の記念碑のあるところへよく行くの。おじいちゃんが誇らしくて」
生活が変わったのはガーラさんだけではない。
あの33人のうちほとんどが新たな道を見つけ、生きている。
マリオゴメスさんは63歳。
33人の中で最年長であった。
私は彼の長年のパートナーであったリリアンにコピアポの喫茶店で会って話を聞いた。
リリアン「今彼は嬉しいはずなのに、実際はそうじゃないの。あの鉱山事故を思い出す度に彼には発作が起こり、涙を流して倒れ込むの。
精神的な回復はまだ遠そう。
一番不安なのは、彼の髪の毛が毎日のように抜け落ちていること。
多くのチリの国民は、マリオゴメスは救出され大金を貰って良い暮らしをしてると思ってるかもしれない。でも、実際は違うの」
再び誕生祭の会場。
鉱山の「ヒーロー」たちは、まだ祭の中心にいる。
しかし、69日を地下で過ごした33人の絆は、必ずしも頑丈であるとは言えない。
ガーラさんがバーベキューパーティーで言った通り、救出の後「恵まれた」メンバーと「恵まれなかった」メンバーに分けられてしまっている。
ガーラさん「私のように収入がある者もいれば、救出以降全く収入のない者もいる。収入のない者にも家族がいる者もいて、教育費だのが払えない者もいる。恵まれたメンバーとメンバーに分けられてしまった。難しい問題が起きてしまった」
(BBC Global News 十二月二十四日配信分より)
あの奇跡的な救出劇を伊豆でテレビで見たとき、多少感動はありました。
ただ、今年はチリの他、中国やオーストラリアなんかでも鉱山事故が起こっていて、生存者なしだったとか。
2010年11月29日月曜日
deportation law in Switzerland
スイスのお話です
BBC Global News から
‘The strictest Deportation Law in EU’
スイスで日曜日、ある国民投票が行われる。
外国からやってきた犯罪者を強制送還できるようにする法律についての国民投票だ。
この法律の賛成者は、スイスでの犯罪率低下を期待しているが、一方この法律の反対者たちは、これにより必ずしもスイスの治安が良くなるとは考えていない。
むしろ、外国からやってきた犯罪者ではなく、スイスで永住権を取得した善良な市民が国外追放になる恐れがあるとして、警戒を強めている。
BBCの記者がスイスで取材をした。
あるアルプスの村。
村人たちが音楽祭と、政治議論のために集会所に集まっている。
ある村人「スイスという国は、そこで一生懸命働きたいという人や、我々の国の文化伝統を推移排してくれている人は、快く受け入れる。しかし、犯罪を犯した者や、労働意欲がないという人間は受け入れられない。そういったものは、むしろこの国から出て行ってもらわねばならない」
別の村人「海外からスイスにやってくる人は、我々の生活スタイルや習慣に合わせてもらわねばならない。犯罪を犯すなどもってのほかだ」
スイスに住む人間のうち23%はスイス国籍を持っていない。
そして、重罪を犯した、国籍を持たない者(海外からやってきた者)に対し、国外退去処分を命ずることのできる法律はすでにある。
今回の新たな法律では、国籍を持たない者の2世や3世の、つまり、彼らの子や孫が犯罪を犯した場合にも国外退去処分が適用されるという特徴がある。
しかも、犯罪と言っても、殺人などの重罪ではなく、年金不正受給といった、ある程度軽度の犯罪でも国外退去処分となりうる。
適用要件が大幅に緩和されたというわけだ。
アルプスの村を離れ、首都ジュネーブでは、この新たな法律に対して「警戒」を怠れない人たちがいる。
「私の名は、ムレノ・カズソラ。父がスイス人、母がイタリア人です。スイスで生まれ、スイスで育ったんです」
「私の名はランゴ・カナカソンデラ。生まれはスリランカですが、スイスで育ちました」
上記のムレノさんや、ランゴさんは、新たな法律の成立を目指すスイス国民党の標的になっていると感じることがあるという。
スイス国民党の作成したポスターには、「他の国からやってきた少数民族の人間は、詐欺やレイプといった犯罪をして追い出された人が多い」といった記述があるのだ。
ムレノさん「外国からやってきた人物が、必ずしも犯罪を犯して追放されたわけではないのに。こんなポスターがあると、外国人はみな犯罪者という印象をスイスの国民に与えかねない。実はもうすでに、スイス国籍を持つスイス国民から、違うものを見る目で見られているという感じがしている。私はセカンドクラスの人間だと思われているような気がするんです」
政治評論家のゲイ・アルクロッド氏は、この法律の成立は、スイス国民党による、ポピュリズムキャンペーン(大衆迎合主義)の一環であると分析している。
スイスでは、総選挙まで1年足らず。
きちんとした国籍を持つスイス国民の間では、外国人追放の感情が強い。
スイスの伝統や習慣を守ろうという運動が盛んになってきたこともあり、この動きを察知したスイス国民党が、支持率向上のために今回の法律の成立を企てたという見方もできるという。
最新の世論調査によると、日曜日の国民投票で、多くの有権者が今回の法律成立に賛成であるといい、EUで最も外国人に対して厳しい法律ができることになりそうである。
注意しなければならないのは、スイスに住む外国人たち。
この法律に関しては、EUの人権団体から批判も出ているが、やはり彼らは、どれだけ長くスイスに住み続けても、容易に追放される恐れがあるということを常に心に留めておかなければならない。
11月25日配信分より。
今日のニュースでも出ていましたが、日曜日に国民投票があり、
この法律は可決されたとのことです。
スイスには、先進国なら普通はある、「犯罪者引き渡し条項」というものがなく、
ある人がが他国で犯罪を犯し、スイスに逃げ込んでしまえば、
スイス政府はその人物を当事国に引き渡さなくてもよいということらしいです。
ダヴィンチ・コードで言ってました。
それ故に、スイスは「犯罪者の逃げ場」となり、
スイス国民にとっては、治安の悪化、伝統の喪失など、悩みの種になっていたんでしょう。
ちなみに、フランスでも、最近ジプシーである「ロマ人」を国外追放する措置を取り、
一時新聞等を騒がせました。
日本でも、尖閣諸島での一件や、北朝鮮の南朝鮮に対する攻撃などがあり、
中国人や朝鮮人排斥の動きが徐々に出てきていると最近聞いたこともあります。
海外から人がやってくるのはいいのですが、
犯罪を犯したり、乗っ取り計画をするなど、余計なことをしないでほしいと思いますよね
BBC Global News から
‘The strictest Deportation Law in EU’
スイスで日曜日、ある国民投票が行われる。
外国からやってきた犯罪者を強制送還できるようにする法律についての国民投票だ。
この法律の賛成者は、スイスでの犯罪率低下を期待しているが、一方この法律の反対者たちは、これにより必ずしもスイスの治安が良くなるとは考えていない。
むしろ、外国からやってきた犯罪者ではなく、スイスで永住権を取得した善良な市民が国外追放になる恐れがあるとして、警戒を強めている。
BBCの記者がスイスで取材をした。
あるアルプスの村。
村人たちが音楽祭と、政治議論のために集会所に集まっている。
ある村人「スイスという国は、そこで一生懸命働きたいという人や、我々の国の文化伝統を推移排してくれている人は、快く受け入れる。しかし、犯罪を犯した者や、労働意欲がないという人間は受け入れられない。そういったものは、むしろこの国から出て行ってもらわねばならない」
別の村人「海外からスイスにやってくる人は、我々の生活スタイルや習慣に合わせてもらわねばならない。犯罪を犯すなどもってのほかだ」
スイスに住む人間のうち23%はスイス国籍を持っていない。
そして、重罪を犯した、国籍を持たない者(海外からやってきた者)に対し、国外退去処分を命ずることのできる法律はすでにある。
今回の新たな法律では、国籍を持たない者の2世や3世の、つまり、彼らの子や孫が犯罪を犯した場合にも国外退去処分が適用されるという特徴がある。
しかも、犯罪と言っても、殺人などの重罪ではなく、年金不正受給といった、ある程度軽度の犯罪でも国外退去処分となりうる。
適用要件が大幅に緩和されたというわけだ。
アルプスの村を離れ、首都ジュネーブでは、この新たな法律に対して「警戒」を怠れない人たちがいる。
「私の名は、ムレノ・カズソラ。父がスイス人、母がイタリア人です。スイスで生まれ、スイスで育ったんです」
「私の名はランゴ・カナカソンデラ。生まれはスリランカですが、スイスで育ちました」
上記のムレノさんや、ランゴさんは、新たな法律の成立を目指すスイス国民党の標的になっていると感じることがあるという。
スイス国民党の作成したポスターには、「他の国からやってきた少数民族の人間は、詐欺やレイプといった犯罪をして追い出された人が多い」といった記述があるのだ。
ムレノさん「外国からやってきた人物が、必ずしも犯罪を犯して追放されたわけではないのに。こんなポスターがあると、外国人はみな犯罪者という印象をスイスの国民に与えかねない。実はもうすでに、スイス国籍を持つスイス国民から、違うものを見る目で見られているという感じがしている。私はセカンドクラスの人間だと思われているような気がするんです」
政治評論家のゲイ・アルクロッド氏は、この法律の成立は、スイス国民党による、ポピュリズムキャンペーン(大衆迎合主義)の一環であると分析している。
スイスでは、総選挙まで1年足らず。
きちんとした国籍を持つスイス国民の間では、外国人追放の感情が強い。
スイスの伝統や習慣を守ろうという運動が盛んになってきたこともあり、この動きを察知したスイス国民党が、支持率向上のために今回の法律の成立を企てたという見方もできるという。
最新の世論調査によると、日曜日の国民投票で、多くの有権者が今回の法律成立に賛成であるといい、EUで最も外国人に対して厳しい法律ができることになりそうである。
注意しなければならないのは、スイスに住む外国人たち。
この法律に関しては、EUの人権団体から批判も出ているが、やはり彼らは、どれだけ長くスイスに住み続けても、容易に追放される恐れがあるということを常に心に留めておかなければならない。
11月25日配信分より。
今日のニュースでも出ていましたが、日曜日に国民投票があり、
この法律は可決されたとのことです。
スイスには、先進国なら普通はある、「犯罪者引き渡し条項」というものがなく、
ある人がが他国で犯罪を犯し、スイスに逃げ込んでしまえば、
スイス政府はその人物を当事国に引き渡さなくてもよいということらしいです。
ダヴィンチ・コードで言ってました。
それ故に、スイスは「犯罪者の逃げ場」となり、
スイス国民にとっては、治安の悪化、伝統の喪失など、悩みの種になっていたんでしょう。
ちなみに、フランスでも、最近ジプシーである「ロマ人」を国外追放する措置を取り、
一時新聞等を騒がせました。
日本でも、尖閣諸島での一件や、北朝鮮の南朝鮮に対する攻撃などがあり、
中国人や朝鮮人排斥の動きが徐々に出てきていると最近聞いたこともあります。
海外から人がやってくるのはいいのですが、
犯罪を犯したり、乗っ取り計画をするなど、余計なことをしないでほしいと思いますよね
2010年11月4日木曜日
breastfeeding
インドネシアで物議を醸す新法の話題。
英BBC Global Newsから。
'Exclusively breastfeeding a baby for 6 months'
ほとんどの医療従事者は「breastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)」が乳児にとって最良であると口をそろえて言う。
東南アジアの一国であるインドネシアで、生後6か月までの新生児は必ずbreastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)で育てなければならないという法律が来年の初めに出来ようとしている。
この法律に違反した者は、罰金を科せられるか、刑に処されるという。
breastfeeding賛成者はこの法律を歓迎する一方、反対者は、インドネシアの赤ちゃんを育てる母親たちの問題解決に必ずしもつながらないと主張する。
インドネシアの首都ジャカルタからBBCの記者がリポートする。
私は今ジャカルタのスラムにいる。
近くに海が見える。
ここでは漁師たちが漁で採ってきた貝の貝殻がたくさん捨ててある。
これらが、すでに衛生状態の悪い子のスラム地区をより一層臭く、かつ汚くしている。
そしてこのことが、小さな子供たちのmortality rate(致死率)を上げてしまっている。
ここで子供たちはすぐに病気にかかってしまう。
医療関係者たちは、ここで子供たちの免疫力を上げるには、
生後最初の6か月間、breastfeeding(母乳による子育て)だけで赤ちゃんを成長させるしかないと主張する。
スラムでbreastfeedingに関するセミナーがあると、多くの赤ちゃんをもと母親が狭い会場に集まり、
breastfeedingの利点とは何なのかを聴きに来る。
チュチュ・アロゥイアさんは、breastfeedignw推進する会のリーダー。
チュチュ・アロゥイアさん「最初は、breastfeedingだけで赤ちゃんを育てるということに、
多くの母親が違和感を持っているようでした。
TVの番組やCMの影響で、市販の子ナムル区などを赤ちゃんに与えるのが1番だと信じていたのです。
しかし、じぶんの乳を赤ちゃんに与えるほうが廉価で済み、かつ赤ちゃんの健康にとっても良いということを訴え続けたのです」
しかし、breastfeedingだけで赤ちゃんを半年も育てなければならないというのは、
ジャカルタのスラムに住む女性たち、特に働く必要のある女性たちにとって、challenge(至難の業)であった。
22歳の女性、ダイアナさんは繊維工場で働く。
出産を機に、時短の申請をした。
彼女は1日に何度も授乳のために作業場から離れなければならない。
しかし、それではその分給料も減り、家族を養う分のお金が得られなくなるという。
ダイアナさん「仕事をする必要なる女性にとって、生後6か月間はbreastfeedingだけで
赤ちゃんを育てなければならないというのは、大変難しいことです。
私の働く工場内には、授乳のための設備もなく、
私たちの悩みなど気にかけてもくれません。
同僚の中には、breastfeedingを諦め、市販の粉ミルクで育てるということに切り替えた者もいます。
そしてもちろんそのようなことは新しい法律に対しては違反となります」
しかし、インドネシア政府は、この新たな法律は、
上記のダイアナのような働く必要のある女性を助けることになると主張する。
政府の報道官、タリー氏はこう話す。
タリー氏「新たな法律により、企業も徐々に授乳のための施設を作るようになる。
粉ミルク製造業者も、母乳に負けない商品をと、高い栄養価の粉ミルクを作ろうと努力を始めるでしょう」
しかし、医療従事者の中には、この新法は不十分だと話す。
医者であるフランシスカさんは、強すぎる粉ミルク製造企業の活動を制限するための努力を政府はすべきだと話す。
フランシスカさん「粉ミルク製造企業は、商品を誇大にアピールしようとする。たとえば、この粉ミルク成分は母乳に限りなく近いだとか、この粉ミルクは赤ちゃんが頭がよくなるだとか、母乳で育てるより健康になるだとか。
消費者をうまくだましているんです。
このような誇大な宣伝を政府は規制すべきなんです」
一方、粉ミルク製造企業はこう反論する。
我々はインドネシアで乳児用食品を展開する大手、ネスレに質問状をおくり、次のような返事が返ってきた。
ネスレ「われわれが我々の商品をインドネシアで誇大に宣伝しているということは、
決してありえない。
ネスレとしては、breastfeedingが赤ちゃんにとって最良の方法であると結論付けているし、
6か月間母乳のみで育てなければならないというインドネシア政府の新法を
支持している」
再びジャカルタのスラムのbreastfeedingのセミナー会場。
参加している母親たちは楽しそうにセミナーに参加している。
しかし、今回の新法の裏にある大きな、かつ深刻な問題についても彼女たちに知らせなければならないのではないかと思う。
栄養不足という理由で毎年数百万もの新生児がここインドネシアで亡くなっている。
今回の新法は、この深刻な事態に対処するための一つの方法であるといえる。
しかし、その他にも解決すべき多くの問題があるということを政府は自覚しなければならない。
この国の未来がかかっている。
BBC Global News November 2 配信分より。
やっぱ粉ミルクよりbreastfeedingってことっすね。
英BBC Global Newsから。
'Exclusively breastfeeding a baby for 6 months'
ほとんどの医療従事者は「breastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)」が乳児にとって最良であると口をそろえて言う。
東南アジアの一国であるインドネシアで、生後6か月までの新生児は必ずbreastfeeding(母乳で赤ちゃんを育てること)で育てなければならないという法律が来年の初めに出来ようとしている。
この法律に違反した者は、罰金を科せられるか、刑に処されるという。
breastfeeding賛成者はこの法律を歓迎する一方、反対者は、インドネシアの赤ちゃんを育てる母親たちの問題解決に必ずしもつながらないと主張する。
インドネシアの首都ジャカルタからBBCの記者がリポートする。
私は今ジャカルタのスラムにいる。
近くに海が見える。
ここでは漁師たちが漁で採ってきた貝の貝殻がたくさん捨ててある。
これらが、すでに衛生状態の悪い子のスラム地区をより一層臭く、かつ汚くしている。
そしてこのことが、小さな子供たちのmortality rate(致死率)を上げてしまっている。
ここで子供たちはすぐに病気にかかってしまう。
医療関係者たちは、ここで子供たちの免疫力を上げるには、
生後最初の6か月間、breastfeeding(母乳による子育て)だけで赤ちゃんを成長させるしかないと主張する。
スラムでbreastfeedingに関するセミナーがあると、多くの赤ちゃんをもと母親が狭い会場に集まり、
breastfeedingの利点とは何なのかを聴きに来る。
チュチュ・アロゥイアさんは、breastfeedignw推進する会のリーダー。
チュチュ・アロゥイアさん「最初は、breastfeedingだけで赤ちゃんを育てるということに、
多くの母親が違和感を持っているようでした。
TVの番組やCMの影響で、市販の子ナムル区などを赤ちゃんに与えるのが1番だと信じていたのです。
しかし、じぶんの乳を赤ちゃんに与えるほうが廉価で済み、かつ赤ちゃんの健康にとっても良いということを訴え続けたのです」
しかし、breastfeedingだけで赤ちゃんを半年も育てなければならないというのは、
ジャカルタのスラムに住む女性たち、特に働く必要のある女性たちにとって、challenge(至難の業)であった。
22歳の女性、ダイアナさんは繊維工場で働く。
出産を機に、時短の申請をした。
彼女は1日に何度も授乳のために作業場から離れなければならない。
しかし、それではその分給料も減り、家族を養う分のお金が得られなくなるという。
ダイアナさん「仕事をする必要なる女性にとって、生後6か月間はbreastfeedingだけで
赤ちゃんを育てなければならないというのは、大変難しいことです。
私の働く工場内には、授乳のための設備もなく、
私たちの悩みなど気にかけてもくれません。
同僚の中には、breastfeedingを諦め、市販の粉ミルクで育てるということに切り替えた者もいます。
そしてもちろんそのようなことは新しい法律に対しては違反となります」
しかし、インドネシア政府は、この新たな法律は、
上記のダイアナのような働く必要のある女性を助けることになると主張する。
政府の報道官、タリー氏はこう話す。
タリー氏「新たな法律により、企業も徐々に授乳のための施設を作るようになる。
粉ミルク製造業者も、母乳に負けない商品をと、高い栄養価の粉ミルクを作ろうと努力を始めるでしょう」
しかし、医療従事者の中には、この新法は不十分だと話す。
医者であるフランシスカさんは、強すぎる粉ミルク製造企業の活動を制限するための努力を政府はすべきだと話す。
フランシスカさん「粉ミルク製造企業は、商品を誇大にアピールしようとする。たとえば、この粉ミルク成分は母乳に限りなく近いだとか、この粉ミルクは赤ちゃんが頭がよくなるだとか、母乳で育てるより健康になるだとか。
消費者をうまくだましているんです。
このような誇大な宣伝を政府は規制すべきなんです」
一方、粉ミルク製造企業はこう反論する。
我々はインドネシアで乳児用食品を展開する大手、ネスレに質問状をおくり、次のような返事が返ってきた。
ネスレ「われわれが我々の商品をインドネシアで誇大に宣伝しているということは、
決してありえない。
ネスレとしては、breastfeedingが赤ちゃんにとって最良の方法であると結論付けているし、
6か月間母乳のみで育てなければならないというインドネシア政府の新法を
支持している」
再びジャカルタのスラムのbreastfeedingのセミナー会場。
参加している母親たちは楽しそうにセミナーに参加している。
しかし、今回の新法の裏にある大きな、かつ深刻な問題についても彼女たちに知らせなければならないのではないかと思う。
栄養不足という理由で毎年数百万もの新生児がここインドネシアで亡くなっている。
今回の新法は、この深刻な事態に対処するための一つの方法であるといえる。
しかし、その他にも解決すべき多くの問題があるということを政府は自覚しなければならない。
この国の未来がかかっている。
BBC Global News November 2 配信分より。
やっぱ粉ミルクよりbreastfeedingってことっすね。
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